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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
1.祝賀御列の儀
11月10日、天皇陛下のご即位に伴う「祝賀御列の儀」が行われました。コースとなった皇居から赤坂御所までの沿道には大勢の人々が集まり、天皇、皇后両陛下はトヨタのセンチュリーを改造したオープンカーに乗り、笑顔で手を振って応えられました。
両陛下にとって1993年6月の結婚時以来のパレード。約50台の車列は400メートルに及び、皇居正門、国会正門前、国立国会図書館前、赤坂見附、青山通りを通って青山一丁目を右折する約4.6キロのコースを走り、午後3時半ごろ赤坂御所に到着しました。
沿道では警視庁や自衛隊などの音楽隊が、両陛下の結婚を記念し「新・祝典行進曲」を演奏。沿道には、前回の平成時の約11万7千人を超える11万9千人の人々が祝福に集まりました。
警視庁は全国の警察から応援を得て、最大約2万6000人態勢で、数メートルおきに警察官を配置する厳重警備を敷かれましたけれども、特に大きな混乱もなく、パレードを終えることが出来ました。
北朝鮮もミサイルを発射することはありませんでした。
2.皇位継承の安定への提言
10月23日、「日本の尊厳と国益を護る会」が総会終了後、「皇位継承の安定への提言」を記者発表しました。
「日本の尊厳と国益を護る会」は今年6月に自民党の青山繁晴参議院議員ら5人の議員が発足したものです。この会は、父系の皇位継承、中国や韓国資本による不動産買収が進む現状から外国資本による土地買収の拡大防止、そしていわゆるスパイ防止法の制定の三本柱の目標を掲げ、必要に応じて立法措置を目指すとしています。
当初は国会議員5人で発足した「日本の尊厳と国益を護る会」参加議員は、10月23日現在で自民党議員43人を数えるまでになっています。
参加議員が自民党議員ばかりである理由は、代表幹事の青山繁晴参院議員によると「超党派ではないのは、野党といまのところ意見が違うこと」であり、「例えば皇位継承について、立憲民主党は既に女系天皇も良いという姿勢ですし、国民民主党も女性天皇は良いとしている。しかし女系、私たちの言い方では母系ですが、これを許すと王朝の交代になってしまって、天皇家の終焉につながってしまうことが十分あり得ます。従って、まず自由民主党のなかで一致点を探して、いまの政権党ですから、立法措置につなげることを目指しています」と説明しています。
件の「皇位継承の安定への提言」の全文はこちらにありますけれども、提言のポイントは「男系継承維持」「皇位継承順位は変えない」「旧宮家の男子が皇族復帰できるようにする」というもので、平たく言えば、原則今のままで、旧宮家を復活させるというものです。
3.旧宮家の復活
宮とは、元々、天皇および皇族の邸の事を指し、転じて住んでいる皇族のことを指すようになりました。
宮家は、鎌倉時代以降「親王宣下」の制によって成立し、有栖川宮家・桂宮家・閑院宮家・伏見宮家の四親王家が有名です。第102代後花園天皇は伏見宮家から、第111代後西天皇は有栖川宮家から、第119代光格天皇は閑院宮家からと、過去、四親王家から3人の天皇が即位しています。
「皇位継承の安定への提言」では、次の2つの案乃至両者の統合案を提言しています。次に引用します。
(イ)養子および婿養子案まぁ、過去、四親王家の存在によって2000年近い皇統が支えられてきたことを考えると、旧宮家の復活は妥当な案ではないかと思われます。
旧宮家の男子が、現皇族の養子となられるか、女性皇族の婿養子となられる案。お生まれになる子が即位された場合、父が天皇の血を引くという男系・父系の原則を満たすことができる。
後者の婿養子となられる場合、その旧宮家の男性がご当主となり新しい宮家を創設することがあり得る。またこの際の重要な注意点は、婚姻はご当人の自由意志に基づく自然なものでなければならないことである。
さらに、皇族の養子を禁じた皇室典範9条、また一般国民の男性は皇族になれないとする皇室典範15条の改正か、特例法の制定が必要となる。
(ロ)旧宮家の皇籍復帰案
政府機関の非公式な調べによると10代5人、20代前半2人の皇位継承者たり得る男子、すなわち男系・父系で皇統につながる男子が旧宮家にいらっしゃるという現況に鑑み、国民的理解に基づく立法措置を経たのちに、そのなかから了承の意思を持たれる方々に皇籍に復帰いただく案。
上記の皇室典範15条を改正するか特例法を制定すれば可能となる。
《中略》
上記を統合すると以下のようになる。
「旧宮家の男子について、了承いただける方には皇籍に復帰いただけるよう、また現皇族の養子か女性皇族の婿養子となられることがあり得るよう、皇室典範の改正または特例法の制定を行う」
4.皇室の伝統
11月5日放送のテレ朝「羽鳥慎一モーニングショー」で、皇位継承をテーマに取り上げ、旧皇族の竹田家に生まれた作家の竹田恒泰氏が講師として解説しました。その模様は動画でネットにアップされていますけれども、こちらでは、その模様を文字起こしされています。次に引用します。
玉川:伝統は世の中が変われば変わってゆく。天皇家が続いたのは側室制度があったから。男系だけだと継承の半分だけでやってゆくことになり、皇統維持は不合理的。側室も伝統だったかも知れぬがやめたのは世の中が変わったから。世論がどういう風に考えているかが重要。このように、議論は現行の皇室制度を否定する3人のコメンテーターと、皇統の伝統から解説する竹田氏と今一というか殆ど噛み合っていない議論の印象を受けました。
竹田:欧州は側室を認めないから基本的に男系だがブルボン王朝も500年以上続いた。かつては乳児の死亡率が高く、明治天皇のお子様も15人中5人しか成人しなかった。宮家も出生率は高かったが女子が多かった。医療水準が上がった今日、側室なしには成り立たないという理屈はない。
玉川:根本論をやるのなら医療も生殖技術も進み、望めば子供を得られる時代が遠からず来る。だったらこのままいけば良いのでは。
竹田:このままでは宮家がゼロになる。この提言は旧宮家を活用して宮家を用意しておけば、何百年後かに訪れる万一の事態に備えられるとの趣旨。
玉川:それでも何で女系が駄目なのかが判らない。
菅野:宮家を復活させるのが良いのか、それとも女性女系が良いのか、まずそれが大事では。
青木:「護る会」は安倍さんや安倍さんのコアな支持層で、安倍さんが仰れないことを代弁した。世襲で特定の地位を継承してゆくことが近代民主主義と整合するのか。基本的人権が制約されるがそれで良いのかという根本議論がある。天皇制は主権の存する国民の総意に基づく象徴。皇室に親しみを持っている人が8割だが、今後の存続も国民の総意で考えねば。その時に男系男子に拘泥し続けるのか、時代に合わせて女性や女系を認めてゆく方が良いじゃないか、という辺りを議論すべき。
竹田:(女系天皇の場合)将来、男系の血を引かない天皇が誕生した時に、認める人と認めない人とに分かれてしまう、これが一番の問題。
菅野:それを言ったら養子を認めないという人もいる。世論調査で宮家の復帰や養子と女性女系天皇とどっちでしょうという話になる。
竹田:旧宮家が復帰してもその方が天皇になる訳でないし、皇位継承権を与えない方法もある。将来の皇位安定に備えることをするなという主張は理解できない。
玉川:今の皇室典範ができたのは終戦直後の話。男女平等とか何もない。
竹田:秋篠宮妃ご懐妊の前は女系女性天皇容認が90%以上あったが、女性と女系の違いの理解が進んで世論が変化し、局によっては5割5分との調査結果になった。半年間に4千万人が意見を変えた。国民世論と秋の空、一つの参考にはなろうが、これだけを以ってやれというのは間違い。
青木:女性天皇を認めるのなら、早くしないと愛子さんとか真子さんとか人生に関わる。結婚して民間に出てゆくか、残って場合によっては天皇になるということ。
菅野:女性天皇を認めるのと女系天皇を認めるかの議論もある。
竹田:女性女系を認めるというのは血統に関わる大変革だが、私の考えるのは現状維持。要は皇室典範で皇族に限っているのを旧宮家に広げるという法律レベルの話。
番組:安倍総理のこれまでの発言を説明。
青木:最長といわれる安倍政権でこの問題の議論をしてこなかったが、安倍さんを支持する竹田さんのような方々は今回結論を出そうとしているのか。
竹田:私は議論を先送りしてきた安倍さんの姿勢には不満。
青木:では法改正をするのか
竹田:法改正と実際に旧皇族をどうするかという具体的な中身との整合が取れてこないといけない。
青木:先送りすれば女性皇族がみな出て行って、結果的に悠仁親王しか残らなくなる、安倍さんはそれを狙っているのではないか。
竹田:そういうことではなくて、将来宮家がゼロになることがほぼ確定しているので、今手を打って早く宮家を充実させることが重要と考えている。
玉川:国の象徴たる天皇に女性は駄目なんだよ、と言われ続ける国ってどうなんだろうと思う。つまり女は駄目だよって、国の象徴ですからね。
竹田:女性天皇は例がある。が、女系天皇の入り口になるし、先例がない。
玉川:女系ってそんなに駄目なんですか。
竹田:駄目というより先例がない。2000年の間ずっと女系継承で来たなら、今私はここで女系継承を言うと思う。
番組:欧州の王朝が女性差別撤廃などを理由に長子継承になっている事情を説明。
竹田:欧州の王は財産を継承するので王位継承は権利、英国国王は大富豪。女子差別撤廃以降、女は財産を継承できないのは差別になった。日本の皇族は基本的に財産をお持ちにならない。日本の皇室はむしろ義務中心の継承で、欧州の王室とは異なる。
菅野:女性女系を認めないことがどれだけ女性にとって苦痛か。男を生むことを強いられる。
竹田:だからこそ宮家を充実させる訳ですね。天皇を認めておきながら女性差別を持ち込むのはバランスを欠く。
玉川:皇族に生まれ、人権を制限されながらも国民のことを思うから国民に尊敬される。やはり皇族に生まれることが大事で、一度皇族を離れた方は相応しくない。
竹田:復帰させた皇族に子供が生まれるから、その子供に皇位継承権を与えるということ。民間に行ったら皇族はおかしいというが、皇后陛下も民間から皇族になられた。
青木:宮家を増やすというが税金を使うんでしょう。人権を制限される方を増やしていいんですか。
5.23年の歴史しかない女系天皇論
「羽鳥慎一モーニングショー」での皇位継承の主な議論は女系天皇の是非を巡ってのものだったのですけれども、憲政史家の倉山満氏によると、女系天皇論が出てきたのはここ23年かそこらの話であって、久仁親王殿下がお生まれになる前、このままでは皇統が途絶えるという危機感から当時の学者達が捻り出した説なのだそうです。
確かに久仁親王殿下がお生まれになる前であれば、女系天皇論も意味あるものだったのかもしれませんけれども、既に久仁親王殿下がいらっしゃる今、どう皇統を継続しているかを議論する方が自然であり、その方法の一つとして、歴史も実績もある旧宮家の復活というのは非常に妥当な案のように思われます。
それをわざわざ女系天皇を認めろとか、言葉は悪いですけれども、皇統断絶を狙っているのかと穿ってしまう程です。
古事記に記されているように、国の神話と天皇家がそのままダイレクトに繋がり、その皇統が維持されているというのは、稀有なことであり、まさに日本国民統合の象徴になるものだと思います。
実際、即位礼正殿の儀で、古事記の記述そのままに、天叢雲剣が雨を呼び、即位礼の時だけ雲間が晴れて天照大神の陽光が指して虹が浮かぶという、神話がそのまま起こったかのような現象が起こったのです。
それを考えると、建国神話からつづく皇統を守ることがどれだけ日本人の心の拠り所になるのか。その大きさと重さは計り知れません。
政府では、「女性・女系天皇」の議論を先送りする一方、女性皇族が結婚後も皇籍に残る「女性宮家」を容認する案が浮上しているそうですけれども、「女性宮家」の創設は将来、「女系天皇」への道を開く危険性も指摘されています。
政府も議論から逃げるような真似はせずに、「皇位継承の安定への提言」に従い、旧宮家を復活させることでよいのではないかと思いますね。
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