GSOMIAは破棄に向かって一直線 ~トランプの算盤(前編)~

今日はこの話題です。今日、明日と前後編でエントリーします。
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1.韓国と日本が解決すべき問題で、アメリカとの同盟には一切関係ない

11月10日、韓国大統領府の鄭義溶・国家安保室長は、文在寅大統領が5年の任期を折り返したことを受けて記者会見を行いました。

鄭義溶・国家安保室長は日韓関係について、「最も近い隣国であり、北東アジアの平和と安定のためのパートナーだ」と、重要性を強調する一方で、「日本との関係が難しくなっている根本的な原因は日本側にある」と指摘。GSOMIAについて「日本との関係が正常化すれば、協定の延長を再検討する用意がある」と述べ、GSOMIAについては「韓国と日本が解決すべき問題で、アメリカとの同盟には一切関係ない」と強調しました。

あれほど、アメリカにGSOMIAをカードにして、日本による韓国へのホワイト国解除の仲裁をお願いしておきながら、今になってこの言い草。

おそらく、ここにきて、中央日報が「GSOMIAの廃棄、迅速に撤回を」と、文政権に警鐘を鳴らす韓国メディアも出てくるなど、GSOMIA破棄による米韓同盟への影響を危惧する韓国内の声を牽制する為と思われます。つまりそれだけ焦っているということです。


2.GSOMIAは破棄に向かって一直線

現在、アメリカ政府高官が次々と韓国にやってきては文在寅政権に圧力を掛けています。

11月6日、アメリカのデイビッド・スティルウェル国務次官補と在韓米軍のロバート・エイブラムス司令官は金鉉宗・国家安保室第2次長と会談。GSOMIA破棄撤回を促しました。

中央日報は、アメリカ側が韓国外務省や国防省の高官ではなく、金鉉宗・国家安保室第2次長と会談したのは、GSOMIA破棄決定を覆す為には、青瓦台に君臨する「文大統領の側近」を直接説得する必要があると判断したためと報じています。

金鉉宗氏は「反日強硬派」として知られ、日本が韓国をホワイト国から除外したことに猛反発し、アメリカを仲裁役に引きずり出すために訪米したのですけれども、見事に失敗しました。

なのに帰国後、彼は職務外であるGSOMIA問題にも口を挟み、破棄を決めた8月22日のNSC(国家安全保障会議)の議論も主導。「GSOMIAファイター」とも呼ばれたそうです。

スティルウェル国務次官補とエイブラムス司令官との会談は、韓国外務省や国防省幹部との面会の2倍以上に当たる140分にも及び、「GSOMIA終了の決定を再考すべきだ……米韓韓同盟は東アジアの安全保障上、核心軸だ。在韓米軍の駐留経費負担などの懸案は、未来志向で解決しよう」などと説得したようです。

けれども、金鉉宗氏は説得に応じませんでした。今のところ、GSOMIA破棄に向かって一直線です。


3.北京、モスクワ、平壌を喜ばす

11月8日、韓国の康京和外交部長官は国会予算決算特別委員会で、最大野党・自由韓国党の金碩基議員から、GSOMIAがが予定通り失効した場合、北朝鮮と中国が安全保障上の利益を得ると指摘したのに対し「そのように評価できそうだ」と答えました。

そして、「GSOMIA終了で得られる国益は何か」との質問に「日韓間が対立する状況で避けられない決定だった……その決定の余波が他の外交関係の管理にも負担になり得るということを十分に勘案した」と説明。さらに「敏感な情報を交換し、信頼するに足る関係かの問題だ……不当な報復措置を突然受けた時に原則的な立場を取ることも国益の一部だ」と強調。

更に、GSOMIA破棄が米韓同盟に及ぼす影響については「アメリカに失望感があるのも事実だ……何も問題がないとは申し上げられないが、余波について最大限協力を通じて管理し、結果的に同盟をさらに強化しなければならないという意志がさらに固まった」と言及しました。

11月1日、アメリカのマーク・ナッパー国務副次官補が日経新聞のインタビューでGSOMIA破棄について「北京、モスクワ、平壌には喜ぶ人がいる」と指摘していますけれども、何のことはない、文政権も同じように認識しているということです。

その上でGSOMIA破棄が国益だとすることは、北京、モスクワ、平壌を喜ばすことが韓国の国益であるということです。レッドチーム入りを宣言したということですね。


4.アメリカは韓国の返答を待っている

現在、アメリカは韓国に次々と高官を送り込んで韓国に圧力を掛けています。そこにはGSOMIAだけでなく、在韓米軍駐留費の交渉も含まれます。

朝鮮日報は、来年以降の在韓米軍駐留費の負担額を巡る交渉で、アメリカは今年の5倍以上となる47億ドル(約5100億円)を提示したと報じています。外交筋によると、6日にアメリカ大使官邸で開かれた会合でスティルウェル国務次官補とディハート防衛費分担金交渉首席代表は「アメリカは既に政府に提示し、それに対する返答を待っている」と述べたのだそうです。

分担費交渉を巡っては、アメリカがこれくらいの金額を要求するのではないかとは囁かれていました。

4月27日、トランプ大統領はウィスコンシン州での演説で「我々が毎年防衛費として50億ドルを負担する国があり、彼らは5億ドルしか分担しない……国名には言及しないが、電話1本で今年5億ドルをより多く出させた……私は『今回は事情を理解するが、来年は我々がはるかに多くを要求する考えであり、あなたたちはそれを支払わなければいけない』と釘を刺した」と述べていました。

韓国の有力な野党政治家によると、アメリカ側関係者が「トランプ大統領が文大統領に数字を提示した……50億ドル」と話したと述べ、その時期は「今年3月と6月」だとしています。

47億ドルはその時の50億ドルからは多少ディスカウントされていますけれども、大枠では殆ど変わっていないといっていいでしょうね。


明日に続きます。

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