GSOMIAで勝ちを収めた日本と前近代的な韓国

今日はこの話題です。
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1.パーフェクトゲーム

韓国が終了宣言を凍結するとして、継続が決まったGSOMIAですけれども、日本政府高官が「ほとんどこちらのパーフェクトゲームだった」、「日本政府はほとんど譲っていない。米国から迫られ、韓国が折れたのが実態だ」と述べているように、日本側は「完全勝利」だという受け止めが大勢のようです。


GSOMIA破棄をカードにして輸出管理適正化の撤回を求める韓国に対し、日本政府は「GSOMIAと輸出管理は次元が違う」として韓国側の土俵には乗らず、ひたすら「賢明な対応」を求めるとして突っぱねました。同時に政府は様々なレベルでアメリカに働きかけました。

安倍総理はトランプ大統領に如何に韓国の対応がおかしいかを繰り返し説明することで、アメリカを日本側に引き込むことに成功。GSOMIAの破棄は米韓の問題でもあるとして「アメリカから韓国にガンガン言ってもらう」形に持ち込みました。

政府高官によると、アメリカは「トランプ大統領は安倍晋三総理側に立つ」と韓国側に伝えてたそうで、日本政府は、韓国からの輸出管理厳格化の撤回要求を拒否し続けた上、アメリカが韓国に圧力をかける構図を作り上げたことが、韓国政府の今回の決定につながったとみているようです。

ただ、日本政府筋によると、韓国側から「何とか文大統領の顔を立ててほしい」と伝えられ、外務省内では一時、譲歩案が浮上したのだそうです。けれども、輸出管理を担う経済産業省は強硬姿勢を崩さず、首相官邸も「絶対に譲らない」と一蹴したことで、日本政府は方針を維持。完全勝利となったようです。その意味では、日本およびアメリカの国益守ったのは経産省と官邸だったといえるのかもしれません。 

水面下の紆余曲折はあったものの、現時点では、日本政府は貿易管理をめぐる当局間の協議再開には応じるものの、「一切妥協はしない」方針と伝えられています。


2.文政権の欺瞞

日本が「完全勝利」だとする一方、韓国政府も自身の勝利だと主張しています。

11月22日、韓国・与党「共に民主党」のスポークスマンは「文在寅大統領の国益のための原則ある外交の勝利だ!……安保の不安要素を解消したことに大きな意味がある」と政府の決定を支持してみせました。

けれども、韓国世論はそうとは見ていません。

「朝鮮日報」は、今回の一件が日本の「判定勝ち」と報じた上で、11月23日付の社説で、「結局、得たものもなく抜いた刀を鞘に再び入れることになった。……韓日葛藤が韓米葛藤に飛び火するとんでもない事件が発生した。日本には何の打撃も与えられなかった。文政権が反日カードで国内政治の視線を変えようと破棄を強行したことで、名分も失い、身動きもできない状況を自ら招いた。……無能外交で恥ずかしい」と政府を批判。

「中央日報」も11月23日付の社説で「強硬一辺倒の未熟な対応策が表した限界だ」と文在寅外交をばっさり。更に、文政権寄りとされる「ハンギョレ新聞」でさえも、23日付社説で、「アメリカ政府がGSOMIA問題について韓国政府を一方的に圧迫してきたことに対しては、遺憾を示さざるを得ない。……アメリカは韓国国民が感じた不快感を深く認識してほしい……GSOMIAの条件付き延長決定がなされたが、解決されたことは事実上何もない」とアメリカに皮肉を言いながらも文政権に不満を述べています。

また、ソウル駐在のジャーナリストは「8月22日のGSOMIAの破棄決定からの3カ月は何だったのかというのが、国民の本音だと思います。そもそも、GSOMIA破棄が迫ったこの1カ月、韓国政府も与党も日本批判を煽って、破棄に向けた世論づくりをしていました。破棄回避が発表された11月22日にも、国会で開かれた党の幹部会議で与党代表が『朴槿恵政府が弾劾直前に導入したもので正統性はない』とまで発言していたくらいです」と文政権の対応を批判。

ノンフィクションライターの崔碩栄氏も、「22日の午前、与党・共に民主党のFacebookを確認すると、〈韓国政府は、様々なチャンネルを通じて、日本との外交正常化のために努力しましたが、日本政府は不動の姿勢でした。GSOMIAは、私たちの安全保障にとって非常に重要であるが、不可欠なことではありません〉との投稿が更新されていた。これを見て、失効まで24時間を切った後の書き込みですから、さすがに私も破棄を覚悟しました。……それが一転、夕方には失効回避が発表され驚いて、同じFacebookのページを確認すると〈政府のGSOMIA終了猶予の決定を歓迎します。これは国民の安保不安を解消し、韓米同盟をより堅固にするためにも肯定的に働くでしょう〉と、正反対のことが書き込まれていた。午前の書き込みから7時間しか経っていない。これでは国民に失望が広がるのも仕方ありません」とコメントしています。

流石の韓国国民も文政権の欺瞞に憤慨している様子です。文在寅大統領の支持率にも影響があるものと思われます。


3.前近代的な韓国社会

「朝鮮日報」ではないですけれども、抜いた刀を鞘に戻すくらいなら最初から抜かなければ良かったと見られるのが普通の反応です。それを瀬戸際外交よろしくギリギリまで引っ張って何も得られずみっともなく引き下がることになりました。

なぜ、延長をギリギリ前まで決められなかったのか。

今、韓国でベストセラーとなっている『反日種族主義』の共著者である落星台経済研究所の李宇衍研究委員は、「週刊文春デジタル」のインタビューに「韓国の政治家は、対話と妥協が苦手で、互いを誹謗することが政治の中心になっている。さらに、固い支持基盤もないので、相手をどれだけ攻撃するかで支持率が乱高下する。民主主義が韓国において成長しないのは、そのあたりに限界があるからです……「韓国の政治的水準が非常に高いように話す人もいますが、韓国はまだ民主主義の経験が乏しい。本来、政治とは、利害関係の違う他の勢力と意見を調整して統合させるものです。今の韓国には、その能力がないため、ひたすら相手が"悪魔"であるかのように追い込んでいくことしか出来ません」と指摘しています。

対話と妥協が苦手で、相手を誹謗するというのは要するに一方的に自分の要求だけを主張して、いうことを聞かない相手は罵倒するスタイルだということです。相手が"悪魔"であるかのように追い込んでいくやり方を韓国国内でそれをやる分にはどうぞ御勝手にかもしれませんけれども、それを国際政治に持って来られても困ります。

李宇衍氏は韓国社会を「前近代的」だとする3つの理由を挙げています。それは次のとおり。
1つ目は『観念的な性格』です。いまの韓国社会は、客観的な現実に基づかず、思い込みのレベルで『日本は絶対悪』という一つの総体を作っています。つまり、日本政府や個人、または日本社会が倫理的もしくは政治的に悪い点があるという具体的な話ではなく、観念的に『ただ一つの絶対悪』として日本が存在している。

2つ目の理由は『非科学的な性格』。いまの韓国社会が客観的な事実でないことを主張し、受け入れていることです。例えば、韓国の慰安婦問題の支援者らが言うような、20万人の少女を連行して慰安婦としたというような一連の主張です。合理的、理性的な思考ができず、極めて感情的になっています。

3つ目は『歪んで偏った現実認識』です。韓国社会は、日本については"下"と考える一方、中国や米国に対しては迎合する。その極めて事大主義的な態度によって、国としてバランス感覚を喪失している点です。
観念的で非科学的で現実認識が歪んでいる、漫画や小説に出てくるのならキャラ立ちするのでしょうけれども、現実にはちょっと付き合いたくない相手です。それが現実に隣国として存在している。

その意味では、筑波大学大学院の古田博司教授が提唱する「助けない、教えない、関わらない」という非韓三原則は非常に的確かつ優れた指針ではないかと思いますね。

しかも、今回のGSOMIA騒動で、韓国の瀬戸際外交には、付け入る隙を与えず、妥協もせず、丁寧に無視するのが非常に有効であることが明らかになりました。

韓国の無茶苦茶を相手にして日本が「完全勝利」を収めるなど、あまり記憶にありません。今回の経験を奇貨として、韓国に対する「正しい対応」を日本人がより知って、政府にそうしやすいように支持することも大事ではないかと思いますね。

この記事へのコメント

  • さんさん

    一昨日、此処のブログで取り上げられた、ジーソミア21条3項の終了通告に関する条項で、一度通告したなら再度交渉が必要だと取れる条文が有り、その解釈が正しければ、韓国側の土俵に乗せられる事と成り完勝したと云う気には成らないのですね。
    この条文に触れて解説してる記事を見掛ける事が有りませんので、あの条文の存在と解釈が正しければ完勝だと言い気がしませんね。
    一寸混乱してしまいます。
    2019年11月25日 08:41
  • 日比野

    さんさん、さん。こんばんは。

    コメントありがとうございます。

    >あの条文の存在と解釈が正しければ完勝だと言い気がしませんね。

    実は筆者もそう考えています。本エントリーの題名を「勝利を収めた」として「完勝」としていないのはそういう理由からです。

    これについては、明日のエントリーで、少し書いておきたいと思います。
    2019年11月25日 20:12

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