

1.切り貼りステーション
12月10日放送の『報道ステーション』で、情報の切り取りによる「印象操作」が行われたと批判が集まっています。
これは、超党派の野党議員が「桜を見る会」について安倍総理を追及していることを取り上げた映像で、菅官房長官が追及の声に対し、「理解をいただけるような対応を取っていきたい」と話す場面に「政権幹部とは対照的に与党幹部は早くも年越しムード」とナレーションを入れ、世耕参議院自民党幹事長の記者会見の様子を流しました。
世耕幹事長が「説明できる範囲はしっかり説明をした」と話すと、次の場面に飛び、年内の定例会見について「いつまでやるんですか?」との質問に、世耕幹事長が「良いお年をというか…」と笑う様子が放送されました。
このVTRを見た徳永有美キャスターは「これだけ納得出来ない声が挙がっているのに、良いお年を迎えられないと思ってしまう」とコメントする場面に続きます。
これだけみれば、自民はもうこの問題はお開きにしようとしているんだな、という「印象」を持つかもしれません。
けれども、事実はそうではありませんでした。それを知らせたのは党の世耕幹事長本人です。
世耕幹事長は自身のツイッターで「今夜の報道ステーションの切り取りは酷い。私は定例記者会見が終わった後、今日の会見が今年最後になるかもしれないという意味で『良いお年を』と言っただけなのに、それを桜を見る会をと絡めて、問題を年越しさせようとしているかのように編集している。印象操作とはこのことだ……今日の世耕の会見の『総理は十分説明した』というコメントと、会見終了後に今年最後の会見の可能性があるので『良いお年を』と言ったことは時間的にも、文脈的にも繋がっていない。なのに 報道ステーションは『総理が説明したから、良いお年を』という風に繋げて編集している。印象操作」と糾弾。そして、「『良いお年を』発言は会見の終了後で、収録するべきではない部分」とコメントしました。
世耕幹事長のツイートを読んだ上で、改めて件の報道ステーションの報道を見ると、確かに酷い。というか事実を報道していないことが明らかです。そんな編集をした上で、キャスターの「これだけ納得出来ない声が云々」のコメントを被せてくる。悪質です。
この報道に批判の声が広がり、作家の百田尚樹氏が世耕幹事長のツイートをリツートした他、作家の門田隆将氏も自身のツイッターで、「放送法4条など無視」と批判しています。
世耕幹事長本人の反論と広がる批判の声に拙いと思ったのか、テレビ朝日は翌日、世耕幹事長に謝罪したようです。
世耕幹事長が11日18時49分のツイートで、「先ほどテレビ朝日報道局長が幹事長室に来訪し、謝罪がありました。①会見終了後の映像を使用したこと。②文脈の異なる部分を繋いで編集したことが不適切で、今夜の番組内で何らかの対応をするとのことです。放送内容を見て、謝罪を受け入れるか判断します」と述べています。
2.全く謝罪になってない
世耕幹事長のクレームを受け、11日、報道ステーションは番組内で謝罪したのですけれども、印象操作の批判についてはスルーし、「桜を見る会とは直接関係のない発言で、放送ではその説明が丁寧ではありませんでした」と触れただけでした。
これには「全く謝罪になってない」とネットは炎上。
丁寧な説明とは何か。そもそも何故説明な丁寧に出来なかったのか。根本的な原因は何だったのか。再発防止策はなにか。彼らマスコミは、企業の不祥事については、そうしたことをトコトン追求します。けれども、いざ自分のこととなると、「再発防止に努めます」の一言すらありません。ダブルスタンダードもいいところです。
既に指摘されて久しいですけれども、テレビ、新聞などのオールドメディアは、自らの報道に責任を取りません。誤報をして訂正記事を出すにしても、どこに載せたのか分からないくらい隅っこにチラリと書くだけ。他人の間違いは厳しく追及する癖に自分の間違いにはとても甘い。明らかにバランスを欠いています。
ネット時代を迎えた今、そんな態度は通用しません。過去の報道がネットを介して記録として保管され、あとからあらゆる角度から検証・批判されるからです。
3.公共工事が悪と書いたのはテレビ朝日だったんじゃないか
麻生副総理はいつぞやの記者会見で「公共工事が悪と書いたのはテレビ朝日だったんじゃないかと思わないでもないけどね。自分達はその責任は感じないのかね。八ッ場ダムはとんでもねーと言ってたけど今回の嵐でダムが出来てなかったら偉い騒ぎになってたよ。八ッ場ダムやっといてよかったねって記事はどっかでたかね?」と批判していますけれども、筆者も、八ッ場ダムは正しかったとテレビでやったなんて聞いた事がありません。
新聞もそうですけれども、オールドメディアに欠けているのは自らの報道とその結果について、きちんと検証して公表する姿勢です。
検証もせず、責任も取らない報道は、もはや報道というよりは宣伝、プロパガンダの方に近いというべきでしょう。
麻生副総理は先日の文春のインタビューで「朝日がいくら安倍さんを攻撃しても、若い人はもう新聞を読んでいませんよ。部数は減るし、記者の質も下がる。1番手間がかかる地取り取材を政治部は全くやらなくなりました。結果、スキャンダルは全部週刊文春におんぶに抱っこ。その文春の記事を読んで、新聞記者は『文春によれば――』と記事を書き、野党議員は国会で質問する。だから週刊文春は喜ばなきゃいけねぇな」と答えています。
麻生副総理の指摘の通りとするならば、新聞は名実共に信用されていないということになります。
9日、森友問題で有名になった籠池氏の長男の佳茂氏が「『朝日新聞は廃刊した方が良い』と思う人はリツィートをお願いします」とツイートしたところ、瞬く間に15000を超えるリツイートが集まったそうです。
世間の朝日を見る目はこうなのですね。時代が本当に変わっていることをどこまで彼らが自覚しているのか分かりませんけれども、このままでは、新聞を読まない人、テレビを信用しない、見ない人たちが増える一方だと思いますね。
4.自分の頭で考え判断する世代
一方、ネットやSNSに代表されるニューメディアには、情報の双方向性があり、それが情報を検証することを担保しています。要するに、ある報道があったとして、あらゆる方向からツッコミや追加情報なりが加えられ検証されていくのですね。それゆに、切り取り報道や、捏造などは直ぐに指摘され、修正されていきます。
もはや一方通行だけの垂れ流しでは、時代に取り残されていくばかりです。
これについて、安倍総理は12月9日の記者会見で次のように述べています。
そしてまたですね、本年、令和の時代がスタートした際にですね、新元号の発表に当たっては、インスタグラムやツイッターなど、インターネットでライブ中継を行ったところ、たくさん若い皆さんがですね、関心を持って見てくれました。国民を見ている政治家は、こうした現実の変化をちゃんと認識しています。
今の若い世代の皆さんはですね、こうしたSNSなど、新しいツールを使いこなし、自らの意見を発信し、あるいは今までの通常のメディアからだけではなくて、ネットを通じて世界中のですね、様々な出来事を自分自身の情報収集力によってですね、自分の頭で考え、判断をしている、そういう世代がいよいよ台頭してきたと、こう思っています。
その中でですね、ですが、そういう意味においては、ただただ関心がないということではないのだろうと思いますが、ただ、国会においてですね、一方が提案するだけ、一方は批判するだけということではですね、国民の関心を喚起することは難しいと思います。
様々な政策テーマについてそれぞれの政党がしっかりと対案を示し、建設的な議論をすることが若者に求められている、私たちの責任ではないかと、こう思います。
明日に続きます。
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