日韓局長級政策対話

今日はこの話題です。
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1.日韓局長級政策対話

12月16日、経産省は3年半ぶりとなる韓国との貿易管理当局による局長級の政策対話を行いました。

日本は経済産業省の飯田陽一貿易管理部長、韓国は産業通商資源部の李浩鉉貿易政策官がそれぞれ首席代表として出席。韓国側は、日本による輸出管理適正化の見直しを協議する場だと勝手に位置付けていますけれども、実際はそんなことはなく、経産省のサイトによると、機微技術管理をめぐる情勢・課題や、通常兵器キャッチオール制度やリスト品目の該非判定を含む日韓双方の輸出管理制度について意見交換を行いました。

政策対話は午前10時に始まり、予定時間を3時間以上超えて午後8時過ぎまでというロングラン対話だったそうですけれども、
記者会見した経産省の飯田陽一貿易管理部長は「見解の違いもある」と述べた上で、日韓ともに「従来の考えをぶつけ合っている」とも指摘し、また経産省は「両国の輸出管理制度・運用について専門的観点から幅広く議論が行われ、相互の理解を促進することができました」発表していますから、韓国の事情は聞いたということでしょう。それ以上のものではなかったようです。

それでも、経産省は、両国の輸出管理制度・運用についての更なる改善状況をアップデートすることも含め、輸出管理政策対話と意思疎通を継続していくことに合意した、とありますから話し合いを続けることだけは決まったということです。


2.日韓双方の公式発表

一方、韓国はというと、産業通商部は対話終了後に発表文を出し、「両国は輸出管理制度・運用について専門的観点から相互の理解を促進することができた」として、「現下の国際的な安全保障環境にかんがみ、今後ともそれぞれの責任と裁量の下に、実効的な輸出管理を推進することが必要であるとの認識を共有した」と説明。更に「両国の輸出管理制度・運用についてのさまざまな改善状況をアップデートすることを含め、今後も懸案の解決に資するべく、輸出管理政策対話と意思疎通を継続していくことに合意した」と公表しています。

ここで注目したいのは韓国の発表文の表現です。いつもであれば、自分の都合のよいように無い事無い事吹聴する韓国が、実に大人しいというか無難な表現に抑えています。

実はこの表現は経産省の発表とほぼ同じなのですね。

おそらく、発表内容について、政策対話の中ですり合わせを行い、その通りに発表したものと思われます。

産業通商部の李浩鉉貿易政策官は、政策対話後、在日韓国大使館で記者会見を行っていますけれども、そちらで少し本音を覗かせています。

李浩鉉貿易政策官は、「7月以前に戻る必要性を明確に示した」として、「戻るための要件や条件などについて議論した」と述べていますから、ホワイト国に戻せと要求はしたのでしょう。

また、通常兵器のキャッチオール制度や輸出管理の審査要因などについても意見交換したとし、「韓国の輸出管理制度が正常に作動していると説明した」と伝えたとしています。


3.全面降伏した韓国

李浩鉉貿易政策官の記者会見でのコメントを見る限り、韓国は経産省にほぼ全面降伏したのではないかという印象を筆者は持ちました。

なぜなら、李政策官のコメントは、経産省が韓国に突き付けた三条件に沿ったものであるからです。要するに経産省の土俵に上がった時点で、輸出管理は日本が決めるものであり、協議でどうこうする問題ではないことを韓国は認めているのですね。

11月28日のエントリー「韓国の嘘を公言して非韓三原則を発動させよ」で筆者は、韓国がホワイト国に復帰する為の三条件として、経産省が「通常兵器に関する輸出管理の不備」「輸出審査体制、人員の脆弱性」「日韓の2国間政策対話が開かれていないなど信頼関係が損なわれている」を挙げていることを取り上げました。

また、信頼関係が損なわれた理由として経産省は「二国間のやり取りの内容について、双方の事前合意なく公開されるような状況が改善されない限り、信頼関係に基づいた政策対話の開催は難しい」としていることも指摘しました。

これを踏まえて李政策官のコメントを見ると、通常兵器のキャッチオール制度や輸出管理の審査要因などについても意見交換したとしているのは、正に「通常兵器に関する輸出管理の不備」と「輸出審査体制、人員の脆弱性」に対応するものでしょう。

また、信頼関係についても、韓国側の対話終了後の発表文が経産省のそれと同じであることを見ても、経産省が指摘した「二国間のやり取りの内容について、双方の事前合意なく公開されるような状況」を改善しようという意思を示したものだと言えます。

これらを見ても、やはり韓国側は事実上、経産省に白旗を上げたも同じだと思いますね。


4.韓国のホワイト国復帰は遠い

けれども、降伏したことと、ホワイト国復帰はまた別の話です。なぜなら、経産省の条件をクリアしているかどうかの"審査"と"承認"が必要になるからです。

先に取り上げた韓国側の記者会見で、李政策官は、韓国の輸出管理制度は正常に作動していると説明したとしていますけれども、これに対し、日本側は「韓国側の説明について、確認が必要な部分もあるが理解を深めたと説明し、実務的に議論して確認する事項があると話した」とし、「認識の差はあるが、韓国側の説明で理解を深めたといえる」とコメントしています。

これは要するに、「韓国の言い分は理解した。ただし、それがどれくらいのものなのかについて、これから実務の面で色々ツッコミするよ」ということでしょう。

韓国は「戦略物資管理院」の職員を来年1月に現在の56人から70人に増やすと公表したそうですけれども、経産省は7月の時点で、武器そのものの輸出入に携わる人員や民間機関の職員を含めた人数を除いた、軍事転用可能な民生品の審査に携わる職員数は、貿易保険やダイヤモンドの輸出管理に携わる職員も含めて11名である、と指摘しています。

また、それ以前に、通常兵器の管理をめぐる法整備を行わなければならないという問題もあります。

これについても経産省は「韓国のキャッチオール制度の根拠条文である対外貿易法19 条と戦略物資輸出入告示50 条は、大量破壊兵器関連物品等を対象とすることが明記されており、通常兵器キャッチオール制度については、法的根拠が不明確である」と指摘しています。

嘘や言い逃れは通じない。

経産省は、今後継続する政策対話について「次回の輸出管理政策対話は、近い将来にソウルで開催する予定です」と公表していますけれども、「近い将来に行う」という言い方はなんとも突き放した表現です。

まぁ、今回の会議の中で次回の日程が決められなかったという時点でお察しというべきかもしれません。これは筆者の単なる"下衆の勘繰り"ですけれども、経産省は次回の対話を行うために、例えば、「通常兵器キャッチオール制度の法整備についての日程をだせ」とか、なんらかの宿題を韓国に出したのではないかと思いますね。

いずれにせよ、韓国の早期のホワイト国復帰はないと思いますね。

この記事へのコメント

  • 韓国政府は、指示に素直に従うことを敗北と捉えて、恨みますので、
    アメリカ、日本がリーダーシップを持つと、反発して反米、反日になります。
    今迄はこの局面打開として、
    1.政治家との交渉で、現場無視の妥協強要の解決
    2.アメリカを中心とした国際社会の介入依頼
    3.マスコミ・対立野党による政治スキャンダルでの圧迫
    4.反社会勢力の活用による恫喝
    5.国連や国際機関での日本の協力や支援
    6.その他(民間交流、利権の許認可、etc)
    等で揺さぶっていたと思いますが、
    1.安倍政権下では、日韓議員連盟や自民党の人脈が機能しない
    2.アメリカは仲介者から降りている、中・露・北朝鮮に頼る他ない
    3.モリカケ、桜など、国民の支持が得られず、返って野党支持率が低迷する事態になる
    4.嫌韓ムードがさらに増長して、訪韓旅行者や消費に多大な影響を及ぼす
    5.すでに是々非々であり、圧迫も効かず、北朝鮮支援においては対立さえしている
    6.市民交流など、善意の支援が途絶える
    など正攻法の解決が図れないための、相手の節を曲げる策略が悉く機能していません

    大前提が「日本に屈したくない」なので、今後も正論は受け入れがたく、
    正論を受け入れるための理由探し(今迄は日本の譲歩・敗北が受入理由)に終始しますので
    実務面でいくら体制が整っても、それを実効あるものとして稼動・運用開始するのは別です。
    たとえ経済産業省が納得するまで実務を改善しても、韓国政府は納得しません。

    日本が屈したという政治的な勝利が路線転換にどうしても必要なので、
    首脳会談で日本政府から形だけでも譲歩や忖度を得たいという、動機に変化は微塵も感じられません。
    今回の譲歩は、日韓関係の大前提の請求権協定を毀損しますので、日本側は応じられない。
    故に理由を欲しているのは韓国側なので、未曾有の国難が韓国を襲い、日本に屈するどころではない
    という局面になれば、正論を受け入れて大人しく従うと思われます。
    但し、どのような展開であっても、問題が生じた原因は相手方と環境にあるとこじつけますので、
    従ったという結果が残る限り、溜飲は下がらず、恨の精神から憎み続けることは変わりません。
    今迄は恨まれないようにする外交でしたが、正義のために恨まれても構わないとするのかを、
    日本外交は決めなくてはなりません。

    韓国政府側の理由さがしに付き合う限り、正論は通りがたく、正論に日本が固執する限り、
    韓国側にそれどころではない事態が発生しない限り、日韓関係が前進することは無いでしょう。
    2019年12月19日 02:57
  • 匿名希望

    日本側から次回の対話日程を請求する必要は無いと思います、Aグループに戻りたいのは韓国側であり「現下の国際的な安全保障環境にかんがみ、今後ともそれぞれの責任と裁量の下に、実効的な輸出管理を推進することが必要であるとの認識を共有した」訳ですから日本側が先に手を差し出す(手助けする)必要は今は無いと思います。
    自国の管理制度は自国で決めれば良い訳で、其れを信用するしないは相手国が決めると言う枠を日韓は認識したと言う事だと思いますが、認知機能に障害の多い国の人は自国に帰ってどの様に反応するか楽しみです。
    2019年12月19日 10:22

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