日・イラン首脳会談

今日はこの話題です。
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1.ロウハニ大統領との会談

12月20日、安倍総理は首相官邸でイランのロウハニ大統領と会談しました

安倍総理は、会談冒頭で「中東地域の緊張の高まりを強く懸念する。緊張緩和のためにできる限りの役割を果たしたい……核合意の完全な履行が大事だ」と述べ、ロウハニ大統領は核合意から離脱したアメリカを強く非難した上で、日本を含めて各国が維持に動くことを強く期待する。中東地域の平和と安定が大事だ」と語りました。

会談では、安倍総理がホルムズ海峡近くでのタンカー破壊事件などを踏まえ、沿岸国として船舶の安全な航行への責任を果たすよう働きかけました。

そして、中東に派遣する海上自衛隊の護衛艦などの規模を説明し、情報収集を強化する目的だと主張。アメリカの「海洋安全保障イニシアチブ」には参加せず、日本独自の取り組みだと訴えました。

日本側の説明によると、ロウハニ大統領は「自らのイニシアチブによって航行の安全確保に貢献する日本の意図を理解する……日本が透明性を持ってイランに説明していることを評価する。引き続き日本と緊密に連携したい」と発言したようです。

ロウハニ大統領は核合意の重要性に言及した上でイランの立場を説明したそうです。

両首脳は会談後の夕食会を含め、約3時間意見交換しましたけれども、安倍総理はロウハニ大統領との会談を2013年以降、毎年開いていて、6月には日本の現職総理として41年ぶりにイランを訪問しています。

今回のロウハニ大統領の来日はイラン側が打診したもので、安倍総理のイラン訪問の答礼だったようです。


2.ロウハニ大統領が安倍総理と会談するメリット

6月の訪問時にイラン最高指導者ハメネイ師との会談で、ハメネイ師から「日本はヘタレ国家。アメリカにびくびくするな」と言われた安倍総理は「冗談じゃない。日本はかつてアメリカと戦ってるんだ!」と啖呵を切ったと伝えられていますけれども、それだけに、今回の会談でも安倍総理は、アメリカの「海洋安全保障イニシアチブ」には参加せず、独自の動きをしていることを口にしたのかもしれません。

あるいは、今後の中東石油の安定供給をするためにも、日本は「アメリカの犬」ではないことを見せて置く必要があるのかもしれません。

そうした事情はさておき、イラン大統領の来日は2000年11月のハタミ大統領以来19年ぶり2回目のことだそうで、答礼とはいえ滅多にあることではありません。それだけにイラン大統領の来日は外交メッセージ的に、重い意味を帯びることになります。

因みに、ハタミ大統領来日翌年の2001年にはアメリカ同時多発テロ事件とアメリカ、イギリスなどの連合諸国によるアフガニスタン侵攻が起こっていることと、今年の世界情勢を考えると何やら来年2020年は平穏に済むのか不安を覚えます。

無論、報道等々で表に出てくる内容以外にも多々話し合われたものと思われます。

12月17日のエントリー「イランも裏切る韓国」で取り上げましたけれども、イランが韓国に「イラン産原油と超軽質油の輸入代金を支払え」と請求していることや、或いはそれに付随して、フッ化水素横流し疑惑についても議題に上がったかもしれません。

また、イランにとっても、自分の言い分を安倍総理に伝えるということは、そのままアメリカを初めとする西側主要国にその内容が伝わるということを意味します。


3.世界の中継器としての安倍総理

21日、安倍総理は、アメリカのトランプ大統領と電話会談し、イランのロウハニ大統領との会談内容を説明した上で、引き続き外交努力を続ける考えを伝えたそうです。イランとアメリカの直接会談が出来ない現状でも、間に安倍総理が入るだけで、間接な会談が可能となっています。

そう考えると、何だかんだいっても、西側諸国でイラン大統領と普通に会談が出来る日本というポジションは世界からみて軽いものではないと思います。

12月13日、安倍総理は内外情勢調査会全国懇談会での講演で、「これまで、日本は、ひたすらルールを守る側だった。しかし、この7年、地球儀を俯瞰しながら、80か国を訪問し、800回を超える会談の積み重ねの上に、今、日本は自由貿易の旗手として、いよいよルールをつくる側に回りました」と述べています。西側諸国の中でも更にそれらをリードしていく立場に立っているのですね。

その安倍総理は世界中の首脳と繋がりを持っている。これは実に大きな資産ではないかと思います。

安倍総理はロシアのプーチン大統領とも良好な関係を持っていますし、最近は中国に接近し、関係改善を計っています。また西側諸国からみても、トランプ大統領と親密な関係を持ち、信頼を得ている安倍総理はEU諸国からも頼りにされているとも聞きます。そしてイランともパイプがある。

まるで世界中の首脳の電話交換手というか互いを繋ぐハブ的役割をしているようにさえ見えます。

これは穿ち過ぎなのかもしれませんけれども、安倍総理もそれを自覚していて、香港やウイグルなど人権問題で批判を集めている中国の習近平主席に敢えて接近しているのではないかとさえ。

今年6月にはイランが米軍無人機を撃墜した報復として、アメリカがイランを攻撃する寸前まで行きました。そうした事態を少しでも食い止める為に相手国にパイプを持っていることは大事なことだと思いますし、安倍総理は今のポジションを存分に活かして国益に結び付けていただきたいと思いますね。

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