

1.外交に関する世論調査
12月20日、内閣府は、外交に関する国民の意識を把握し、今後の施策の参考とするため行っている「外交に関する世論調査」の結果を発表しました。
調査は、調査員による個別面接で、10月19日~10月30日に掛けて行われました。対象は、全国18歳以上の日本人3000人に対して行われ、有効回答数は1608人(53.6%)です。
対象国は米露中韓の4ケ国なのですけれども、平成30年の前回調査と比べて、相手国に対する親近感では、米露中は大きな変化がなかったのに対し、対韓国については大きな変化がありました。
まず、現下の日韓関係について良好だと思うか思わないかという設問では、「良好だと思う」と答えた人は30.4%から7.5%へと、調査開始以来過去最低となり、「良好だと思わない」と回答した人は65.7%から87.9%へと激増。
また、韓国に親しみを感じるか感じないかという問いでは、「親しみを感じる」が39.4%から26.7%へと低下し、「親しみを感じない」が58.0%から71.5%へと大きく上昇する結果となりました。
更に、今後の日本と韓国との関係の発展は、両国やアジア及び太平洋地域にとって重要だと思うかの設問では、「重要だと思う」が69.8%から57.5%へと低下し、「重要だと思わない」が25.8%から37.7%へと上昇しています。
いずれの設問も10ポイント以上の変化で、韓国への印象の悪化が顕著に見えてきたのですけれども、筆者には、今後の日韓関係について重要だと思わない回答が増えていることから、もはや韓国への関心が薄れ、嫌韓から離韓へと向かっているように見えます。
今回の調査について、政府関係者は今回の結果を、いわゆる徴用工をめぐる問題など、日韓政府の対立を踏まえた結果として「粛々と受け止める」としています。
他の民間の世論調査でも、韓国に譲歩する必要はないとか、日韓首脳会談で日韓関係が改善するとは思えないという回答が6割、7割を占める状況です。
マスコミは日韓関係は過去最悪だとかなんとか騒ぎ立てていますけれども、筆者は4年前のエントリー「50年経ってようやく正常化に向かう日韓関係」や「最悪へと正常化する日韓関係」で、日韓両国は「普通の両国関係」へと"正常化"に向かっていると述べ、その後のエントリーでも何度も、日韓関係は悪化のように見えるかもしれないがそれこそが"正常化"なのだ、と指摘してきましたけれども、令和の時代になって、それが世論としてはっきり認識されつつあるのではないかと思います。
2.韓国の身勝手な発言
そもそも、24日に行われる日韓首脳会談でも何か成果が出るとも思えません。
昨日のエントリーで、韓国の文喜相・国会議長が元徴用工賠償判決問題の解決策として「記憶・和解・未来財団法案」について触れましたけれども、文議長はこの法案について、1998年の「日韓共同宣言」を取り上げ、「宣言を再確認するための日韓首脳間の謝罪と許しがなければこの法案もない。存在する意味がなく、進めることもない……文在寅大統領と安倍晋三首相が新たな共同宣言を通じ、日韓共同宣言に盛り込まれた日本の反省と謝罪を再確認し、日韓請求権協定を再確認しなければならない」とし、日本はホワイトから韓国を除外した措置を撤回し、韓国はGSOMIAを延長する措置を同時に取らなければならないと述べています。
そして、両首脳が同法案の内容について、大筋で合意すれば「両国が和解に向け出発する……この法案が解決のスタートだ。日韓間でこのような事態が続くのは不幸なこと……今回の首脳会談でこの内容が議論に役立つのではないかと考えて発議をした」と今度の日韓首脳会談に期待を寄せています。
首脳会談に期待するのは韓国の勝手ですけれども、実に「身勝手」な発言です。
これまで何度も行った謝罪では飽き足らず、「日本の謝罪を前提とした法」などとよく言えたものです。正常な国家同士ではこんな発言は在り得ないことをいい加減に知るべきです。
12月20日、菅官房長官は、時事通信のインタビューで、韓国の「記憶・和解・未来財団法案」について質問され、「政府の方針は明快で、1965年の日韓請求権協定が全てだ」と述べ、日韓首脳会談に対しては「首脳同士の忌憚のない意見交換をしていくことは日韓関係にとって極めて大事だ」と述べています。
ただ、いくら忌憚のない意見交換だからといって、解決済みの問題を蒸し返してしまっては、一歩も先に進みません。
3.謝罪は一度言えば十分だ
2005年、ロシアのプーチン大統領は、ロシア・EU首脳会談後の記者会見でエストニアの女性記者から、「ロシアはなぜ、協定について謝罪しないのか」と質問を受けました。
この協定というのは、1939年にソ連とナチス・ドイツとの間で結ばれた不可侵条約を指し、署名したモロトフ・ソ連外相、リッベントロップ・ドイツ外相の名前に因んで「モロトフ・リッベントロップ協定」と呼ばれています。
協定には別に秘密議定書があり長らく公開されなかったのですけれども、独ソ両国がバルト諸国のソ連併合とポーランド分割を密約し、ドイツによる第2次大戦開戦の端緒を開いたものとして知られています。
バルト3国は半世紀の併合時代を得て、ソ連のペレストロイカによる民主化で独立することになります。
バルト3国は秘密議定書によるソ連への併合で大戦後にソ連の「占領状態」が続いた上に、ロシアがいまだにこの史実を「謝罪」していないことを長年非難してきました。
こうした背景があって、エストニアの記者がプーチン大統領に質問をぶつけたのですね。
これに対しプーチン大統領は、1989年にソ連最高会議が協定の非を公式に認めたことを指摘し、「解決済みの問題だ。一度言えば十分だ……これ以上何が必要なのか。毎年非難し続けなければならないとでもいうのか。ロシアはこの問題に立ち戻る気はない」と、謝罪は一度で十分だと言ったのですね。
日本の政治家でプーチン大統領ばりの発言が出来る政治家が居るとは思えませんけれども、世界ではこうした対応が当たり前ですし、またこうした対応が出来なければ、対等な外交など出来ません。
一応、安倍政権は、1965年の日韓請求権協定で解決済みの立場を崩していませんから、最低限のラインだけは守っているとは言えますけれども、プーチン並とは言わないまでも、謝罪などとっくに済んでいることは強調してよいと思いますね。
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