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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
1.蔡英文総統再選
1月11日、台湾総統選の投開票が行われ、民進党現職の蔡英文総統が817万231票と過去最多の得票で、最大野党・国民党の韓国瑜・高雄市長、親民党の宋楚瑜主席を破り、再選を果たしました。
投票率は74.9%で、韓国瑜氏の得票数が552万2119票、宋楚瑜氏が60万8590票ですから、大差の勝利といっていいでしょうね。
また、同時に行われた議会にあたる立法院の選挙も、113議席のうち、民進党が61議席、国民党が38議席などとなり、民進党が過半数を維持して第一党となりました。比例選で出馬していた国民党の呉敦義主席は落選。第3勢力として注目された柯文哲・台北市長の台湾民衆党は5議席を得ています。
蔡総統は11日夜、記者会見を行い、中国に対して「武力による脅しを放棄すべきだ」と述べ、将来の台湾統一を目指し、武力の行使も辞さないとする中国に対抗する姿勢を示しました。
蔡総統は、自由や民主主義の価値観を共有するアメリカや日本と協調しながら中国に対抗する基本路線を堅持すると見られています。総統任期は4年で、最長2期までですので、あと4年はこの路線が維持されそうです。
選挙選で蔡総統は、最大の争点となった中台関係について、中台が同じ「一つの中国」に属するとは認めず、「台湾の主権、民主、自由を守る」と訴え、若年層を中心に、幅広い支持を集めました。
中でも決定的な勝因となったのは、何といっても、「一国二制度」を適用している香港で昨年6月以降続く、中国・香港両政府に対する抗議運動でした。台湾では「今日の香港は明日の台湾」という危機感と反中感情が広がり、蔡総統に強い追い風が吹きました。
2.香港抗議活動のダメージ
一方、香港抗議活動が逆風になったのは韓国瑜氏でした。
蔡英文政権が中国との関係を悪化させ、経済を低迷させていると批判して中台関係の改善を訴えていた韓国瑜氏でしたけれども、香港活動が続くにつれトーンダウン。中国が「一国二制度」を通じて台湾統一を目指すことに反対するとまで訴えました。
けれども、具体的な議論になると発言を避ける場面もあったそうですから、どこまで本気なのか疑われても仕方ありません。
評論家の石平太郎氏は、「台湾のあるネット番組の選挙特番で、蔡英文総統再選を助けた5人の部外功労者の筆頭に、中国の習近平がめでたく選ばれた。それを聞いて大笑いした!」とツイートしていますけれども、それほど、台湾の抗議に対する中国共産党の対応は警戒されたということです。
中国も今回の台湾総統選挙の結果はショックのようで、台湾の選挙中、中国本土でNHKの海外向けテレビ放送「ワールドプレミアム」で台湾総統選挙の投票に関するニュースを伝えた際、蔡英文総統が1票を投じた場面で映像と音声が中断されて画面が真っ黒になり、その後、国民党の韓国瑜氏が投票した場面では放送が通常どおりに戻ったそうです。
中国のテレビや新聞では、今回の選挙についての詳しい報道はほとんどなく、習近平指導部は、台湾の有権者が「1つの中国」を受け入れない蔡総統を支持していることを国民に印象づけないようにしていますから、まぁ、お察しです。
今回の台湾総統選挙の結果について、中国政府で台湾問題を担当する国務院台湾事務弁公室は談話を発表し、蔡英文総統が過去最多の得票で勝利したことには触れず、「われわれは平和的な台湾統一と一国二制度の基本方針とともに『1つの中国』の原則を堅持する……いかなる形の台湾独立のたくらみと行為に断固反対する……『1つの中国』の共通認識と台湾独立反対の政治的基礎の上で、台湾の同胞とともに両岸関係の平和的な発展と祖国の平和的統一を推し進め、中華民族の偉大な復興をともに切り開いていきたい」と警戒感を滲ませました。
3.日台関係を強化せよ
逆に日米はこの結果を歓迎しています。
アメリカのポンペイオ国務長官は、「蔡英文総統の再選をアメリカは歓迎する」という声明を発表。「台湾は民主主義の力強さを改めて示した。アメリカと台湾は、政治的、経済的、そして国際的な価値観を共有する同じ民主主義の一員だ……容赦のない圧力にもかかわらず、台湾海峡の安定に対する蔡英文総統の取り組みを称賛する。蔡総統のリーダーシップのもと、台湾が引き続き、民主主義を求める国々の手本となることを望む」と台湾を"民主主義の一員"と強調しました。
また、日本も茂木外相が、談話で「民主的な選挙の円滑な実施と蔡英文氏の再選に祝意を表する。台湾は、わが国にとって、基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナーで大切な友人だ。政府としては、台湾との関係を非政府間の実務関係として維持していく立場を踏まえ、日台間の協力と交流のさらなる深化を図っていく考えだ」と述べ、中台問題についても「当事者間の直接の対話により平和的に解決され、地域の平和と安定に寄与することを期待する」としています。
日本にとって台湾はシーレーンの要です。中国に台湾が飲みこまれないよう蔡政権の4年でより一層台湾との関係を強めるべきだと思いますね。
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