今日はこの話題です。
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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
1.河野防衛相の中国牽制発言
1月14日、河野防衛相は、ワシントンのシンクタンク戦略国際問題研究所(CSIS)で講演し、沖縄県尖閣諸島周辺での中国公船の活発な活動に懸念を示しました。
河野防衛相は、中国当局の船が月3回程度、沖縄県の尖閣諸島周辺の領海に侵入し、接続水域は毎日航行していると指摘し、「東シナ海、特に尖閣諸島周辺で、『力』を背景とした一方的な現状変更の試みが、間断なく続いている。日本はこうした挑戦的な活動を見過ごすことはできない……自由や民主主義といった国際的なルールをないがしろにするならば、国際社会と連携して相応のコストを支払ってもらう状況を作る必要がある」と述べ、中国側の姿勢を牽制しました。
そして、「この春、私たちは、中国の習近平国家主席を国賓として迎えることを計画しています。習国家主席の訪問を心から歓迎します。中国は、この状況を改善するためにもっと努力する必要があります。そうでなければ、訪問のための環境に困難を見いだすかもしれません」と、中国側に対応を促しました。
まぁ、ワシントンのCSISでの講演に加え米中対立が激しさを増す中、習近平主席を国賓として迎えようとしている状況を考えると、この河野防衛相の発言は、アメリカに対する言い訳とはいわないまでも、日本が手放しで話を進めている訳ではないということを示す意味はあったかと思います。
河野防衛相は昨年末の定例記者会見で、尖閣諸島周辺での中国の活動が非常に活発になっているとし「南西諸島の防衛に一層しっかりと努めていかなければならない」と強調していますから、現在、防衛大臣として尖閣や南西諸島の防衛に意識を向けていることは間違いないところでしょう。
2.マルチドメインバトル
尖閣や南西諸島の防衛についてはアメリカ軍も意識を向けています。
1月10日、アメリカ陸軍のライアン・マッカーシー長官は2022年までにインド太平洋地域にサイバー分野や極超音速ミサイルの運用など複数領域で作戦を実施する新たな部隊を2ヶ所に配備する方針を示しました。
マッカーシー長官によると、来年、最初の部隊を設置、再来年に二つ目の部隊を配備するようです。マッカーシー長官は、アメリカのシンクタンク、ブルッキングス研究所で行われたインタビューで「今後、米中関係が悪化し、対立が激しさを増すネガティブな状況になった場合、どのように配備するか」と問われた「尖閣諸島、もしくは南シナ海のどこかに、この新しい部隊を配備することができる」と回答しています。
この新たに配備を計画している部隊とは、「マルチドメインタスクフォース(Multi-Domain Task Force:MDTF)」と呼ばれる部隊で、2017年にアメリカ陸軍特殊作戦司令部(USASOC)が発表したマルチドメインバトル(Multi-Domain Battle:MDB)という戦闘概念に対応できるように編成された特別部隊です。
マルチドメインバトル(Multi-Domain Battle:MDB)とは、現在の戦闘が、陸上、海上、空中だけでなく、電子戦やサイバー攻撃、情報作戦など多様化していることから、軍や部隊の垣根を越えて、多様な作戦領域の能力を統合して全領域において優勢を保ちながら、同時進行できる作戦能力を指した概念です。
従来、陸軍は海外の紛争において海軍や海兵隊の支援を受けて上陸していたのですけれども、このマルチドメインタスクフォースによって、陸軍も地上から海軍、海兵隊への支援を行う事ができるようになるとされています。
既に、2018年に行われた「RIMPAC環太平洋合同演習」では海上自衛隊とアメリカ海軍に加え、アメリカ軍のマルチドメインタスクフォースと陸上自衛隊の地対艦ミサイル連隊が参加し、マルチドメインバトルに基づくミサイルの実射訓練を行っています。
このことから、マルチドメインタスクフォースの1つは日本に配備される可能性は高いと見られていたのですけれども、尖閣に配備されるようなことになれば、尖閣および南西諸島の防衛に大きな力になることは間違いありません。
3.マルチドメインタスクフォース「アルバちゃん」
ただ、尖閣防衛というものを、単に自衛隊とかアメリカ軍にお任せではなく、もっと広義で捉えるならば、国民にも出来ることがあります。それは尖閣に対する認知と関心をもっと寄せるということです。
香港デモで明らかなように、その模様が全世界に報道され、世界の注目が集まった結果、世界各国からの批判を浴び中国は天安門のような強硬策を獲れないでいます。
また、香港デモの勢いは台湾に波及し総統選で蔡英文氏が圧勝しました。
河野防衛相が、中国がもっと尖閣の状況を改善しないと習近平主席を国賓として迎えることが出来なくなると、牽制しているように、民意の反発が強くなれば、政治的な力を発揮するのですね。
これはつまり、中国の軍事侵略に備え、物理的抑止力を持つのは当然として、それ以外にも政治的分野において、民意という抑止力があるということです。
1月14日、沖縄県石垣市の市民会館で開かれた尖閣諸島開拓の日式典で、政府が選んだ尖閣諸島のイメージキャラクターがお披露目されました。
これは、アホウドリをモデルにした「アルバちゃん」というキャラで、尖閣諸島のとある島で暮らすアホウドリの女の子。羽根や足が小さく、飛んだり泳いだりするのは苦手だが、近隣の島の友だちと遊んだり、おしゃべりするのが大好きという設定だそうです。
見た目はまん丸で可愛らしく、ゆるキャラといってよいと思います。式典で中山義隆市長は「内閣官房領土・主権対策企画調整室の協力で、尖閣のイメージキャラクターが誕生した。アルバちゃんを活用し、多くの皆さんへ尖閣を周知したい」と述べていますけれども、こういった試みを通じて、尖閣の周知を行うことは悪くありません。
ネットでは「可愛い」という声がある一方、「くだらないね…こんなモノに国の税金を使うなら…尖閣諸島周辺を警備する海上保安庁の為に使うべきだね」など賛否あるようですけれども、筆者なら、この「アルバちゃん」のアドバルーンを作って尖閣の上に浮かべてやることを考えます。
そして、「アルバちゃん」の目にCCDカメラを仕込んでおいて、24時間ネットでライブ中継してやればよいと思います。そうすれば、尖閣にいかに中国船が侵入しているかを満天下に晒すことが出来ますし、日本のネットユーザーがその画像を解析して、やってくる中国船の船籍から武装から何から丸裸にして公開してくれるかもしれません。
24時間監視の目を入れることで、世論を喚起して、政治的抑止力を高めてやる。そうした工夫もあってよいのではないかと思いますし、24時間監視の結果、政治的軍事的優位を確保できるのであれば、これも「マルチドメインタスク」の一つになるかもしれませんね。
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