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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
1.どれが解決案なのかよくわからない
1月17日、茂木敏充外相は記者会見で、韓国の文在寅大統領がいわゆる徴用工判決をめぐり韓国側はすでに解決案を示したとして日本側にも案を示すよう求めたことについて「どれが解決案なのかよくわからない。少なくともボールが韓国側にあるのは間違いない」と述べました。
これは、記者会見での質疑応答で、韓国・聯合ニュースのイ記者からの質問に答えたもので、そのやり取りを外務省のサイトから引用すると次のとおり。
韓国情勢(文在寅大統領の新年記者会見)このように茂木外相は、韓国・文在寅大統領がが解決策を日本に出させる形で責任を擦り付けようとしているのを、ボールは韓国が持っていると、ばっさりと斬って捨てています。
【聯合ニュース イ記者】韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は,新年記者会見で,徴用の問題解決のために日本も頭をつきあわせる必要がある,知恵を絞りたいという見解を示しました。そして韓国の提案に対して修正の意見があったら積極的に出してくださいと促したんです。そして最近,日韓両国の徴用被害者の支援団体と弁護士らが,徴用の問題の解決策を議論する両国による協議会の設置を提案いたしました。それに関して大臣のご見解をお願いします。
【茂木外務大臣】まず,原告側やその支援団体等の動きの一つひとつについて,コメントすることは差し控えたいと思います。旧朝鮮半島出身労働者問題に対する我が国の立場は一貫しておりまして,韓国に対して国際法違反の状態の是正を引き続き強く求めていきたいと思っております。韓国政府として既に解決案を示していると,どれが解決案なんだかよく分かりません。少なくともボールは韓国側にあるのは間違いない,こんなふうに考えます。
【聯合ニュース イ記者】両国の支援団体は,「徴用による人権侵害の事実を日本政府と企業が受け止めて謝罪することが,問題解決の出発点になるべきだ」というような見解を示しました。大臣がおっしゃった,解決済みとか国際法律の批判とかそういう話は,結局請求権の問題,いわゆる財産,請求権,お金の問題に関する見解の表明だと思うんですけれども,支援団体が謝罪ということ,人権侵害の事実を認めるということを主張したのは,結局被害者本人たちの心の問題,感情の問題に対する立場を取り上げていると思うんですけれども,それに関してはどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
【茂木外務大臣】お金の問題だとは申し上げておりません。問題が解決したかしていないかということでありまして,それは日韓両政府で合意した問題であると考えています。国と国との約束,これは守られるべきだ,このように思っております。
2.戦略の階層で上に立つ日本
これはこれで見事な対応だと思いますけれども、それ以上に特筆すべき点は、聯合ニュースの記者が、「日本は解決済みだとか国際法違反だというが、結局はお金の問題ではないか」と食い下がったのに対し「問題が解決したかしていないか」という問題である、と断言していることです。
これは非常に大事な視点です。なぜなら、この韓国記者のいう"お金の問題"とやらを包含・規定するものとして請求権協定があるからです。
つまり、請求権協定という補償をするしないの話があって、その下にお金で払うか謝罪で済ませるかといった方法論がある構造になっているからです。
これを戦略の階層でいうと、日本から韓国に対して経済協力が行われるための手順規定である請求権協定を「いつどこで戦いをするか」という「作戦」階層だと置くと、文大統領のいう"解決策"だとか、韓国記者のいう"お金の問題"だとかはその下の「勝つためにどう戦うか」という「戦術」階層になるでしょう。
韓国は戦略の「作戦」階層である請求権協定で勝てないこと避け、その下の「戦術」階層で部分的勝利を得てお茶を濁そうとしているように見えます。
そこを茂木外相はブスリと突き刺した。韓国が「戦術」階層の話で誤魔化そうとしているのを、これは「作戦」階層の話だ。誤魔化すなと釘を刺した訳です。
3.韓国の戦略階層に請求権協定はない
韓国にしてみれば、自分達が主張する「戦術」階層に日本が降りてきてくれない限り、勝利はありません。戦略の下位階層は、より上位の階層に規定され、その上位階層である請求権協定を韓国が破っているからです。
今後、韓国が自らの主張を「作戦」階層に上げて、自分の非を素直に認め、徴用工判決を国内問題として処理しないとすると、どうするか。
おそらく、局所的にでも勝利の目がある「戦術」階層でなんどもしつこく揺さぶりを掛けてくるだろうと思われます。というかそれしか出来ることがない。
「戦術」階層は「勝つためにどう戦うか」という方法論が主なものになりますけれども、韓国が自身の「戦術」階層の上の「作戦」階層に請求権協定を置いていなければ、請求権協定とはなんの関係のない事例で攻撃してくることになります。
実際、日本の貿易管理適正化措置であるホワイト国除外に対してGSOMIA破棄という全く関係のないカードを持ち出してきた韓国です。それこそ手段を選ばずなんでもかんでもやってくることが考えられます。
たとえば、不買運動や東京オリンピック・パラリンピックでの旭日旗問題や福島における原発事故に関連し、競技施設周辺の放射能汚染問題や、汚染水の問題を持ち出して、国際社会で日本を批判するなどです。これは既にやっていることですし、GSOMIAもまたぞろ3月までに破棄するどうのこうのと言い出しています。
4.世界を敵に回す韓国
戦略の階層で見る限り、日本は請求権協定という「作戦」階層から降りることがない限り不敗の地にあります。これを揺るがさないことが大事です。なぜなら、日本が「作戦」階層においている請求権協定は国際法であり、その上の戦略の階層をずっと登っていけば、戦後世界秩序という世界観にまで繋がっているからです。
韓国が持っている戦略の階層の「世界観」或いは「政策」を考えてみた場合、恐らくはその中に戦後世界秩序を形作る「法の下の平等」はないのではないかと思います。だから、日本とはそもそもにして話が合わない。
今の世界秩序が「法の下の平等」を基礎にしている限り、韓国が日本の請求権協定に違反することは最終的に戦後世界秩序の否定になります。最後には世界を敵に回すことに繋がるのですね。
まぁ、韓国がそこまで認識しているのか分かりませんけれども、日本としては、韓国が敗れる、あるいは自滅した後の事を考えて準備を怠らないことが大事です。
武藤正敏前駐韓大使によると、韓国人は物事に対し、元々自分達に都合のいいように解釈する側面があり、日本として受け入れられないものは、韓国側の面子をたてて、曖昧な反応をするのではなく、きっぱりと断ることが肝心だと指摘しています。さもなくば韓国側は誤解し、解決が一層難しくなるというのがこれまでの経験から感じていることだと吐露しています。
その一方、日韓の対立が長引き、日本が譲歩しないとわかった時、韓国は日本との関係を一方的に断ち切って来るリスクがあるとも述べています。
つまり、少なくとも文在寅政権あるいはその流れを組んだ左派政権が続く限り、韓国が断交してくるリスクが付き纏うということです。
それを考えると、日本は、今の内から、関係を徐々に無くしていく、ダメージを最小にしていく仕込みが必要になってくるのではないかと思いますね。
この記事へのコメント
詠み人知らず