今日はこの話題です。
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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
1.安倍総理の施政方針演説
1月20日、通常国会が召集され、安倍総理が施政方針演説を行いました。この中で安倍総理は、今年の東京オリンピック・パラリンピックを最高の大会とし、新しい時代へと踏み出そうと呼びかけ、憲法改正の議論を進めるよう訴えました。
その一方、外交面では韓国への言及に変化が見られました。
安倍総理は、外交に関するパートの中で、「日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決し、不幸な過去を清算して、国交正常化を目指します。……北東アジアの安全保障環境が厳しさを増す中で、近隣諸国との外交は極めて重要になっています」と、北朝鮮に向き合うという前提を付けた上で、韓国に関し、「韓国は、元来、基本的価値と戦略的利益を共有する最も重要な隣国であります。であればこそ、国と国との約束を守り、未来志向の両国関係を築き上げることを、切に期待いたします」と述べました。
韓国が「重要な隣国」だという表現は、「戦略的利益を共有」と合わせて3年振りのことであり、「基本的な価値の共有」という表現に至っては、2014年以来6年振りのことです。
いずれも、文在寅政権になってから初めてのことです。
ネット界隈では、「約束を守れないなら基本的価値も共有できない」という三行半だ、とか、「元来がついているから皮肉表現に過ぎない」とかいう意見もあるようですけれども、元徴用工をめぐる問題が解決せず、自衛隊機への火器管制レーダー照射の謝罪もない中での、安倍総理の「韓国は重要な隣国」発言は、大きな変化であり、韓国に妥協した外交メッセージとして受け止められかねません。
国際法違反を放置したまま何のアクションも取らない韓国に対し、なぜこのタイミングで手を差し伸べるような発言をしたのか。
2.陰りが見えてきた憲法改正
これは、筆者の単なる憶測にしか過ぎませんけれども、安倍総理は自身の退任後の準備を始めたのではないかと思います。つまり、今の"悪化した"日韓関係をそのまま次期総理に引き継ぐのが忍びなく、少しでも良い状態、ニュートラルな状態にして渡したいと考えて居るのではないかということです。
おそらく安倍総理の本音では、韓国を"丁寧に無視"する戦略でいきたいのだと思いますし、まだ総裁任期があるなら、今の韓国・文在寅政権に対して「重要な隣国」などとは言わなかったと思います。だからあえて、”元来、基本的価値と戦略的利益を共有する”という枕詞を付けた。今の韓国は"ニュートラル"な状態ではないと思っているということです。
自民党の総裁任期は2021年9月迄です、一部では安倍総理4選論も取り沙汰されていますけれども、安倍総理は1月12日のNHK番組「日曜討論」のインタビューで、総裁連続4選について「全く考えていない、頭の片隅にもない」と否定しています。筆者はこれは本心ではないかと見ています。
なぜかというと、安倍総理に、自身の手による憲法改正を諦めた節も感じられるからです。
施政方針演説の中で、安倍総理は憲法改正について「国のかたちを語るもの。それは憲法です。未来に向かってどのような国を目指すのか。その案を示すのは、私たち国会議員の責任ではないでしょうか。新たな時代を迎えた今こそ、未来を見つめ、歴史的な使命を果たすため、憲法審査会の場で、共に、その責任を果たしていこうではありませんか」と一番最後に付け足しのように触れているだけです。
本当に憲法改正する積りであるならば、演説の前の方で触れてしかるべきだと思いますし、何となれば、"国会の場"で憲法改正の発議を行うべく、と前置きしても良いくらいです。けれども、安倍総理は"憲法審査会の場"で、憲法改正の議論をしようとしか述べませんでした。
昨年、麻生副総理は、文芸春秋のインタビューで憲法改正について「残り2年を切った総裁任期で、憲法改正案を発議し、国民投票に持ち込むのは政治日程上、非常に厳しい。安倍総理が本気で憲法改正をやるなら、もう1期、つまり総裁4選を辞さない覚悟が求められるでしょうね」と憲法改正には安倍総理の4選が必要だと述べています。
3.安倍総裁四選の目はほぼ無くなった
まぁ、具体的な憲法草案についての議論も深まっていないのに、憲法改正の発議なんて早すぎる。どうせ今国会で憲法改正の発議は出来ないのだから、施政方針演説では、そういう必要はないのだ、という理屈を付けるのも出来なくはありません。
けれども、残り任期が2年を切った今の段階で、"憲法審査会の場"とだけしか言わないのは、安倍総理自身、憲法改正は厳しいと思っているのではないかと思うのですね。あるとすれば、今年中に行われるのではないかといわれている総選挙の争点に憲法改正を前面にだして勝負を掛ける場合くらいだと思いますけれども、現時点では分かりません。
政治コラムニストの後藤謙次氏は、前回、自民党の総裁任期を「連続2期6年まで」から「3期9年まで」に改正した際、その議論が総裁選の実施の2年前から始めていたことに着目。今年の自民党党大会が3月8日であるのに、自民党の総裁任期の党規則改正の動きが全く見られないことから、安倍総理の4選はほぼ無くなった、と指摘しています。
このように、政治日程および安倍総理周辺の動きを見る限り、安倍総理の4選の可能性はやはり低いのではないかと思います。
まぁ、一部には4選ではなく、任期を1年延長する裏技があると報じているところもあるようですけれども、現時点ではなんとも言えません。
筆者は、今の日韓関係について、日本が韓国を普通の隣国として扱うようになったことで、ようやく"正常な"状態に向かっているという認識なのですけれども、国政を預かる立場からみれば、今の状態で引き継ぐのには二の足を踏むところがあるのかもしれません。
いずれにしても、今回の施政方針演説での安倍総理の「韓国は重要な隣国」発言は、安倍総理の心変わりというよりは、次期総理への引継ぎの準備を意識しだしたという側面が強いのではないかと思いますね。
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この記事へのコメント
さんさん
韓国政府自らが所謂「徴用工問題」も解決せねば成らないと言い放った上に、元来、日韓は価値観を共有出来る関係なのに韓国の自らの反日が暴走が、其れを阻んで、自らの意志と行動が未来志向に背を向けてると皮肉的に言った演説ですね。
「未来志向」と「共有する価値観」を逆手に取って皮肉にして牽制したんですよ。
「未来志向」と「価値観の共有」が入ってるから、ブレ出した、後退傾向だと取るのは完全な誤解ですよ。
未来志向と入れば親韓的と単純に捉えてしまうのは、脊髄反射的に見えます。
しかも、きちんと改憲にも言及してますね。
中共関連でも、尖閣の問題を取り上げ、習近平にジャブを送ったと思いましたが。
私的には意欲的な演説に見えましたがね。
習近平の国賓来日問題も引っかかってるんですか。
さんさん
尖閣は入ってませんでした。
日本と中国は地域の平和と安定の責任を有してるでしたね。当然此も尖閣の問題を含んだジャブですけどね。