新型コロナウイルスの初期症状に注意せよ

更に続きです。
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1.新型コロナウイルスによる肺炎の世界的なリスクは高い

1月26日、世界保健機関(WHO)は新型コロナウイルスに関する報告書で、新型コロナウイルスによる肺炎の世界的なリスクを、それまで「並」としていた評価を「高い」に修正した。修正は評価を変えたためではなく、「記載ミス」だったと説明しています。

23日、WHOのテドロス事務局長は「中国では緊急事態だが、まだ国際的な事態ではない」と、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」の宣言を見送り、25日の日報では中国では非常に高い、周辺地域では高い、世界的には低い」という内容でした。

それが「記載ミス」だったというのであれば、23日から25日の間に評価を変えたか、世界的リスクは高いにも関わらず緊急事態宣言をしなかったことなります。

記載ミスという説明は納得できないですね。

それはさておき、これで感染者が周辺国その他に移動することによる感染拡大リスクが認められたことになります。

ロンドン・インペリアルカレッジの感染病専門家のニール・ファーガソン教授研究チームは、今月18日段階で既に武漢での感染者が4000人を超えており、これが平均2~3人にウイルスを伝播したと主張しています。

また、イギリス・ランカスター大学研究とグラスゴー大学、そしてアメリカのフロリダ大学の研究者からなる研究チームは、現在の速度でウイルスが拡散する場合、来月4日ごろには武漢だけで感染者が25万人に達するとの見通しを示しています。

報告をみると、感染者の日本への入国は2月4日には、一日あたり15人とタイ、韓国、USAなどを抑え、日本が一番になっていますからやはり気になります。

ネットでは25日段階で、現地医師の声として感染者は10万人になっているのではないかという投稿があったりしますし、27日には、人民日報が、「新型肺炎の患者を収容するため、胡北省全省病床10万個を開設」との胡北副省長の発表を報じたのですけれども、市民から「10万個も必要なら、公表した患者数はおかしくない?」と疑問の声が一気に上がり、その後「病床10万個開設」の部分だけ削除される一幕もありました。

それらを考えると、やはり、現実は千や万の単位ではなく十万単位で考えたほうがよいかもしれません。

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2.プロテアーゼ阻害薬

1月26日、北京市衛生健康委員会は新型肺炎を発症した患者の治療計画に、アメリカ・バイオ医薬品会社アッヴィの抗HIV薬「カレトラ」を含めたことを明らかにしました。

カレトラはロピナビルとリトナビルの配合剤で、主成分のロピナビルは、エイズウイルスのプロテアーゼという酵素の働きを阻害することで、エイズウイルスの増殖を抑制するもので、「プロテアーゼ阻害薬」と呼ばれています。

もう一つのリトナビルは、主成分のロピナビルの血中濃度を高め、その効力を増強・維持するのが目的の成分で、多くの薬剤の代謝・分解にかかわる体内酵素「CYP3A」を阻害する働きを持っています。このような使い方は「リトナビルブースト」と呼ばれています。

新型コロナウイルスがよく似ていると言われているSARSについては、発生以来、その治療法の研究が進められていて、ロピナビル/リトナビル合剤(カレトラ)とリバビリンの併用が有用であったとする成績や、抗HIV治療を受けていた患者にはSARSが感染しにくかったとする報告があり、プロテアーゼ阻害薬がSARSの治療に使用できると主張する大規模な研究も発表されているようです。

中国の保健当局の専門家チームを率いる鍾南山チーム長は、中国メディアの取材に対し、「いまのところ、すでに安全性が確認された数種類の薬を臨床治療に使う準備をしている」と対応を急いでいることを明らかにしていますけれども、その一方で、「ただ、具体的な治療効果はさらに観察する必要がある」と時間がかかるという認識も示しています。

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3.新型コロナウイルスの凶悪さ

国立国際医療研究センターに努める感染症専門医の忽那賢志氏は自身のブログで新型コロナウイルスについての見解を述べていますけれども、新型コロナウイルスは1人の感染者からだいたい2~3人(1.4-2.5)に感染する程度であり、それほど感染力は強くなさそうだが、病院などの特定の環境では感染しやすくなる可能性がある、と評価しています。

また、マスクの着用についても、マスクは、予防のために使うものではなく、感染してしまった人が周囲に広げないために使うもので、正しく着用する必要があることや、マスクの着用よりも手洗いが大事だと述べています。

仮に、抗HIV薬「カレトラ」が新型コロナウイルスに効果があったとしても、結論が出るのはまだ先の話ですし、それまでにどこまで発症者が拡散するか分かりません。

また、厄介だと思うのは、潜伏期間が平均9日と長いのと発熱しないケースもあるということです。

現地の武漢大学人民病院は、多くの患者を診察した結果、「初期症状が発熱やせきではない患者も多くいた」との見解を示し、当初の症状は、下痢や吐き気、頭痛や全身のだるさなど、消化器系や神経系の症状の場合もあり、早期の診断を難しくしているとしています。

新型コロナウイルスは生物兵器なのか」のエントリーで、ウイルスは、武漢にあるバイオ研究所から漏れたのではないかという報道を取り上げましたけれども、熱がないからいいかと動き回って肺炎を悪化させ、ウイルスを拡散した挙句、ばったり倒れてしまうこともあり得ますし、そんな症状を発生させるウイルスは、事実上生物兵器と呼んでもよいくらいの凶悪さを持っていると思います。

やはり、個人レベルで自衛につとめ、出来ることをやるしかなさそうですね。

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