苦しい文在寅

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1.文在寅の大見得

1月2日、韓国の文在寅大統領は、大韓商工会議所で開かれた政府主催の新年合同挨拶会で演説し、「権力機関が国民から信頼されるようになるまで、法的・制度的な改革をやめない……国政基調の大枠を変えるのは非常に大変なことだが、必ず進むべき道だ。新年はこれまで以上に『確実な変化』をつくり出していく。『権力機関の改革』と『公正社会への改革』がその始まりだ……どんな権力機関であっても国民の上に存在することはできない……法の前で誰もが実際に平等で、公正であるときに社会的信頼が形成され、その信頼が共生と国民統合の基盤になる」と権力機関の改革を強調しました。

一方、経済政策については、経済活力を取り戻すため、官民合わせて100兆ウォン(約9億4000億円)の大規模投資プロジェクトと企業投資促進のための税制優遇措置などで投資を促すと説明。その上で、「2020年は生活SOC(社会資本)10兆ウォン時代の元年でもある……共生型地域雇用、地域主導型の若年層雇用、都市再生など地域住民の暮らしの質を高めて国家発展をリードするよう、地方自治体と積極的に協力する」とぶち上げています。

けれども、文大統領の言葉どおりに成長できるのかどうかには不安が残ります。


2.成長率1%台の韓国経済

韓国銀行が2019年1月24日に、韓国の実質GDP成長率として2.6%と予測していました(その後4月に2.5%に下方修正)。

ところが蓋を開けてみれば、第1四半期が前期比マイナス0.3%。第2四半期は前期比1.1%。第3四半期が前期比0.4%と2%に遠く及びません。

実際、多くの民間経済研究機関は、2019年の韓国のGDP成長率見通しは1%台と予測しています。年初の予測を更に大きく下回る実績しか出せていない文大統領の経済政策を聞いても、素直にはいそうですかとはいかないでしょう。

昨年7月、韓国経済研究院のチョ・ギョンヨプ主任研究委員は、日本の対韓輸出管理見直し措置について「半導体素材が30%不足した場合、韓国のGDPを2.2ポイント押し下げ、日本のGDPも0.04ポイント押し下げる」と述べています。

仮にこれがその通りであり、日本の対韓輸出管理見直しによって、GDP成長率が2.6%から1%台に低下したとするならば、対日関係改善が急務であり、それによって、経済成長の土台とするのが順当でしょう。ところが、御存知の通り、文在寅政権は対日関係改善への具体的動きをしていません。

安倍総理は昨年12月24日の文在寅大統領との会談で「韓国が国家として日韓関係を健全な関係に戻すきっかけを作るよう求める。韓国側の責任において解決策を示してほしい」と韓国側の行動を求めていますから、文大統領が今の態度を変えない限り、事態は動きません。


3.共に豊かに暮らす国という欺瞞

韓国経済は厳しさを増しています。

1月2日、韓国の毎日経済新聞は、シン・グァンヨン中央大教授チームに依頼して韓国労働パネル資料をもとに、2007年と2017年の労働所得の資料から、中間層の保持率を分析した結果、2007年の所得が高く、管理職・専門職などを構成していた層のうち、10年過ぎても、その職群を維持した割合は、管理職で平均35%に過ぎないことが分かりました。

これは、韓国社会の中産階級の主軸を占める経営管理職群が縮小していることを意味しています。

これについて、ジョンユ・シン西江経営学部教授は、「ITの発達で、エンタープライズリソースプランニング(ERP)をはじめ、経営管理部門の電算化が急速に行われており、景気低迷で組織スリム化の風が吹きながら、企業が管理職を継続的に削減している……最大の問題は、シーズン中の子供たちが成長して消費が旺盛する40・50代の年齢に中産階級の地位を維持せず、離脱するようになるだろう……教育費だけでなく、老後の準備も不安になって、社会と経済全体に及ぼす否定的影響が大きい」と述べています。

文大統領は昨年1年間について「内外の厳しい環境を乗り越え『共に豊かに暮らす国』の基盤を築いた」と評価していますけれども、中産階級が縮小している状況で、そんな事を言われても「共に貧乏に暮らす国」ではないのかと思ってしまいます。

今年春の韓国総選挙でどういう結果になるか分かりませんけれども、文大統領が苦しい立場に立たされる可能性はかなり高いのではないかと思いますね。

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