昨日の続きです。
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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
1.揺れたグリーンゾーン
1月4日、イラクの首都バグダッドの北およそ90キロのバラドにある、アメリカ軍も使用するイラク空軍基地にロケット弾が撃ち込まれる事件が発生しました。
基地司令部によれば、3個の迫撃砲が基地内に落下した後、3人のイラク人員が負傷。ロケット発射地点を特定するために監視ドローンを基地上空に送ったとしています。
更に、同じ頃、バグダッドの「グリーンゾーン」と呼ばれる、アメリカ大使館がある地区にもロケット弾が2発、撃ち込まれました。米国大使館に通じる道路は、攻撃を受けて閉鎖。犠牲者の報告は上がってないようです。
ただ、4日、イラクの親イラン・イスラム教シーア派組織「カタイブ・ヒズボラ」が、イラク治安部隊に対し、国内の米軍基地から5日夕以降、「1000メートル以上」離れるよう警告したと、レバノンのテレビ局が伝えています。
明らかに今後の報復に対する警告ですれども、「1000メートル以上」離れろ、といっているところからみて、ロケット砲などによる局所的な攻撃に止まるものと思われます。
また、警告を出したのがイラン軍ではなく、イラクの「カタイブ・ヒズボラ」なので、建前上は直接的にアメリカとイランの衝突という訳ではありません。
2.イスマイル・カニ
もっともそのイランですけれども、アメリカへの報復を示唆する発言をしています。
1月3日、イランの最高指導者ハメネイ師とアメリカに殺害されたソレイマニ司令官の後任となったイラン革命防衛隊のイスマイル・カニ司令官が、ソレイマニ司令官の遺族のもとを訪ね、ハメネイ師は「彼は誰も何も恐れていなかった。彼の闘争は偉大な闘争であり、彼の殉教は偉大な殉教だった」とその死を悼みました。
また、カニ司令官はソレイマニ司令官殺害の報復として「中東中のアメリカ人の遺体を見ること」には、辛抱強くあるべきだと述べました。
そして、イラン国家安全保障理事会はソレイマニ司令官暗殺への対応について話し合った後、声明を出し、報復は重くて苦痛であり、中東地域全体を含む……アメリカがソレイマニ司令を暗殺することにより、この地域で「最大の戦略的過ち」を犯したと述べています。
更に翌4日、ロウハニ大統領も遺族のもとを訪ね「アメリカによるこの犯罪が、忘れられることはないだろう。この偉大な男は、普通の人やテロリストに殺されるのではなく、歴史上最大のテロリストによって殉教するのがふさわしい……アメリカは、大きな過ちを犯したことをわかっていない。彼らは今後、この過ちがもたらす影響に直面することになるだろう」と何らかの報復措置をとる可能性を示唆しました。
ただ、後任のカニ司令官が「アメリカ人の遺体を見るまで我慢してくれ」と遺族に語ったところをみると、直ぐに報復攻撃を行うということではないようです。
カニ司令官は、「革命防衛隊」の精鋭部隊「コッズ部隊」で20年間副指令を務めた人物で、イランのメディアは、彼をソレイマニとそれほど変わらないタフな男だと説明。ソレイマニの「最も過激な影」と見なされているようです。
また、アメリカの公共政策研究所は、カニ司令官について「ソレイマニよりも目立たず、差別の少ない軍司令官」と説明しています。
これをみる限り、イラン革命防衛隊の「コッズ部隊」の体制に大きな動揺はないものと思われます。
3.イランの報復と第三次世界大戦
あとはイランが国としてどういう対応に出るのか。
何らかの形で報復するとして、それが懸念される第三次世界大戦に繋がってしまうのか。
カニ司令官の発言から、報復として考えられるのは、中東全域でアメリカが持つ権益に対する攻撃です。
たとえばアラブ首長国連邦、サウジアラビア、イラク、シリア、レバノンといった中東各地のアメリカ大使館に対する攻撃。または、シリアなどに駐留するアメリカ軍部隊基地に、攻撃を掛けることなどです。
筆者としては、一番の懸念というかポイントはイスラエルではないかと見ています。
アメリカに対する攻撃が勢い余ってというか、大使館や米軍基地への攻撃だけでは飽き足らず、更なる報復をと考えたとき、イスラエルも標的になる可能性は十分にあります。
実際、イランのメディアは4日、革命防衛隊幹部のアブハムゼ氏が中東地域にある35の米関連施設や対立するイスラエルの都市テルアビブ、ホルムズ海峡を航行する船舶などが攻撃目標の候補になると述べたと報じています。
1月4日、トランプ大統領はツイッターで、革命防衛隊精鋭部隊の司令官殺害にイランが報復した場合、イランの重要施設を含む52カ所を短時間で攻撃し「大きな打撃を与える」と警告していますけれども、たとえ、トランプ大統領が、アメリカ大使館や駐留米軍基地への限定的な攻撃までは我慢できても、イスラエルにミサイルが撃ちこまれて多数の民間人が殺傷された場合、そのまま放置するとは思えません。
それ以前にイスラエル自身が黙っていません。報復攻撃が行われ、そのまま第三次世界大戦にならないと限りません。
トランプ大統領は「戦争を始めるつもりでやったんじゃない。戦争を止めるためにやったんだ」といっていますけれども、自国の英雄ソレイマニを殺害されたイランにとってみれば、そんな言葉は戯言にしか聞こえないでしょう。
かなり危険な状態になってきているかもしれません。
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