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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
1.武漢ウイルス
3月11日、アメリカのオブライエン大統領補佐官はワシントンで講演し、新型コロナウイルスの感染拡大について、中国政府の隠蔽を批判しました。
オブライエン大統領補佐官は、新型コロナウイルスについて中国で医師の告発が封じ込まれたことなどを挙げ、「発生が隠蔽された……世界が対応するのにおそらく2ヶ月かかった。本来であれば、中国で起きた事態や世界各地で現在起きている事態をより抑え込むことができた」と述べ、中国政府を批判する一方、「我々は、中国との間の旅客便の運航を停止した。トランプ大統領は、世界の主要経済国の中で、中国からの入国者を止める決断を最初に下した指導者だ」とトランプ政権の対応を擁護しました。
これは、新型コロナウイルスへの対応についてアメリカ・民主党から大統領の危機管理意識が低いなどと批判する声が強まっていることが背景にあり、批判をかわすねらいがあったのではないかとも見られています。
アメリカが中国の情報開示に不満を持っていることについては、他の高官も言及していて、ポンペオ長官は「CNBCテレビ」のインタビューで、中国が世界の医療関係者にとって必要な情報を十分に共有しなかったことが新型コロナウイルスへの対応が遅くなる原因となったと批判しています。
更に新型コロナウイルスに対して中国政府が成功を収めたことについて尋ねられると「あなたが中国共産党に賛辞を送るのはうれしいが、こうした事態を引き起こしたのは、武漢コロナウイルスだということを忘れてはいけない」釘を刺しています。
これは、新型コロナウイルスの発生源について「必ずしも中国とは限らない」との主張を強める中国政府を牽制する意味合いもあると思われますけれども、確かにここ最近はネット等でも「武漢ウイルス」とか「武漢肺炎」とかの言葉を使う事が増えてきている印象があります。
3月10日、麻生副総理は参院財政金融委員会で「武漢発のウイルスの話で、『武漢ウイルス』というのが正確な名前だ」と発言。この発言に自民党の長尾敬衆院議員が「麻生大臣、素晴らしい! 中国は、世界にウイルスを蔓延させたのは日本と韓国の対応失敗によるものとの情報操作を始めています。だから武漢ウイルスと呼ぶ必要がある」とツイート。山本朋広副防衛相も自身のツイッターで「武漢ウィルス対策への災害派遣」などと発信するなど、一定の賛同を集めています。
2.中国に責任なすりつけるべきではない
アメリカが新型コロナウイルス感染について中国が隠蔽していたと批判したのに対し、中国外務省の耿爽報道官は、3月12日の記者会見で、WHOの専門家チームが中国を現地調査した際にも透明性をもって情報を提供したと指摘し、「中国が、透明に情報を公開していることは、国際社会の世論だ……新型コロナウイルスは、全人類共通の挑戦だ。アメリカの高官に望むことは、ウイルス対策に集中して協力を推進することであり、中国に責任をなすりつけ、中国政府や国民の努力をけなすことではない。こうした発言は道徳的でなく無責任で、アメリカの予防対策にとって何の助けにもならない」と激しく反論しました。
けれども、アメリカが批判したのは武漢ウイルス拡散初期の初動対応です。武漢で謎の肺炎が広まっていると告発した李文亮医師の発言が封じ込まれたのは昨年12月末の話であり、WHOの専門家チームが現地調査したのは2月です。
アメリカは12月の段階で隠蔽せずにちゃんと公開していれば、世界は2ヶ月早く対応できたのだと批判したのに対し、2ヶ月後のWHOの現地調査を取り上げて「中国は透明に情報を公開している」などというのは論理のすり替えです。
中国が自身を透明に情報を公開しているというのなら、なら12月の段階で公表しなかったのか、李文亮医師の告発を封じ込めたのは何故なのかを説明しなければなりません。
3.米軍が新型コロナを武漢に持ち込んだかもしれない
けれども、中国はそれだけでは飽き足らず、新型コロナウイルスを中国へと持ち込んだのは米軍じゃないのかとさえ言い始めました。
3月12日、中国外務省趙立堅報道官はツイッターで「アメリカでペイシェントゼロ(感染源)確認はいつなのか?何人が感染しているのか?病院はどこなのか?米軍が新型コロナの流行を武漢に持ち込んだのかもしれない。データを公表し、透明性を向上させるべきだ。アメリカは中国に説明する義務がある!(When did patient zero begin in US? How many people are infected? What are the names of the hospitals? It might be US army who brought the epidemic to Wuhan. Be transparent! Make public your data! US owe us an explanation!)」と発言。物議を醸しています。
まぁ、言い方だけでいえば、売り言葉に買い言葉的な単なる応酬に見えなくもありませんけれども、ただ、政府高官同士ですからね。国として上のレベルでの公式発言ですから、そうそう聞き逃せる発言ではありません。
今の所、米軍が新型コロナウイルスを持ち込んだなどという説を支持する人はそう多くはないと思いますけれども、中国が今後のそう主張するのなら、それ
なりの証拠を出してこないと駄目でしょうね。
4.スペインが感染源ではなかったスペイン風邪
過去にパンデミックとなった疫病でよく取り上げられるのにスペイン風邪があります。
スペイン風邪は第1次世界大戦末期の1918年春にアメリカやヨーロッパで流行し、秋には世界中で流行、さらに翌年の春以降にも世界中で流行したインフルエンザです。
スペイン風邪は世界中での感染者数は5億人前後と推定され、死亡者数は4000万~1億人とも見積もられています。
スペイン風邪はスペインと名がついているだけにスペインが発生源かと思いきや、実ははっきりしておらず、アメリカのカンザス州からだという説の他、フランスだったとする分析や、中国だったとする分析などがあります。
スペイン風邪が蔓延する前年の1917年、アメリカ政府は第1次世界大戦への参戦を決定しました。アメリカ政府は軍の兵力増強のために徴兵を行い、全国32ヶ所に、2万5000人から5万5000人の新兵を集めて大規模な訓練駐屯地を設置しました。
1918年3月にアメリカ国内でインフルエンザが発生すると、カンザス州に設置されたアメリカ陸軍訓練駐屯地だったキャンプ・ファンストンで100人以上の兵士がインフルエンザに感染。1週間と経たないうちに500人以上の兵士にうつりました。これがアメリカでの大規模なスペイン風邪の伝染の始めとされています。
他方、フランスのエタプル駐屯地には、イギリス軍をはじめとする連合国軍側の大規模な病院施設を含む軍事拠点が設置されていました。
エタプル駐屯地では毎日10万人以上の将兵が出入りし、豚や鳥などの家畜が食用として飼育されていました。その鳥の間で増殖したインフルエンザウイルスが兵士に感染したのを大感染の起源とするフランス起源説です。
更に、その前年の1917年に中国で軽度のインフルエンザが大流行していたのですけれども、それに感染した多数の中国人労働者たちが、ヨーロッパの軍事施設の建設現場などに送り込まれ、そこから連合国軍将兵や、相手国のドイツ軍将兵の間にも感染が広がっていたとするのが中国起源説です。
アメリカ、フランス、中国と「スペイン風邪」と呼ばれているにも関わらず、起源にスペインが少しも出てきません。なのに何故スペイン風邪と呼ばれているのか。
第1次世界大戦の主戦場だったヨーロッパと、ヨーロッパ戦線に将兵を送り出し始めていたアメリカでは、インフルエンザが猛威を振るい、莫大な数の感染者と死亡者が出ていました。
けれども、戦時中で会ったため強力な情報管制を敷き、インフルエンザに感染しているとの情報は秘匿されたのですね。敵味方どちらも隠蔽したのです。
けれども、ウイルスは人間の事情に忖度などしてくれません。インフルエンザの大流行を隠し続けている間に、どんどんと感染は広がり、第1次世界大戦に参加しなかったスペインにも及びました。
スペインは、国王もインフルエンザに感染したため、インフルエンザ大流行の情報を正確に公表しました。けれども度の為に1918年のインフルエンザ大流行は情報の発信源であるスペインを取って「スペイン風邪」と呼ばれるようになったとされています。
本当は被害者であるのに、声が大きかったためにあたかも発信源として記憶され歴史に名を刻んでしまう。中国が「武漢コロナウイルス」を中国発ではないとか嘯くのを呑気にスルーしていると、いつの間にか「日本コロナウイルス」にされてしまう危険があることを忘れてはいけないと思いますね。
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