税制は朝三暮四で

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1.緊急事態を宣言する状況ではない

3月14日、安倍総理は総理官邸で会見を行いました。会見の模様は既に色んなところで報じられていますので、詳しくは取り上げませんけれども、安倍総理は。新型コロナウイルス対策の特別措置法の成立を受け、諸外国と比べ日本の感染者数は抑えられているとした上で、現時点では「緊急事態」を宣言する状況ではないと述べました。

更に新たな経済対策の策定も念頭に必要な措置をとる考えも示しました。

2週間間に2回目の記者会見はここあまり無かったことで、筆者はすわ「緊急事態宣言」なのかとも思ったのですけれども、専門家の意見を聞きながら慎重な判断を行っていくとして、特に宣言はありませんでした。

一部には国民の不安を払拭する狙いがあったとも言われています。

ただ、会見全体としては従来方針の経過報告と方針の継続の確認の印象が強く、特に新たな何かがあったという印象はありませんでした。

東京五輪についても、トランプ大統領が「無観客で開催するより1年延期する方が良い選択肢だ」と述べたことについてどう思うか質問され「われわれとしてはIOCを含めた関係者と緊密に連携を取って対応していくことに変わりはない。トランプ大統領には、昨日、私からオリンピックの開催に向け努力をしていくむねを説明しまして、大統領からは『透明性のある努力を』という言葉がありました。『延期』や『中止』については、一切、話に出ていない」と開催方針に変わりない事を強調しています。


2.五輪延期は既定路線

トランプ大統領の発言ではっきりと世間の視野に入ってきた五輪延期ですけれども、既に政界では既定路線になっているようです。

自民党幹部は「トランプ大統領が延期と言ったんだから、7月の開催はもう無理だろう。アメリカ、ヨーロッパは日本より1か月ほど遅れて新型コロナウイルスの感染者が増えている。ピークが4月中旬から下旬になり、厚生労働省に聞くと、そこからまた1ヶ月して南米、豪州などオセアニアへ拡大していくだろう。IOCはWHOから話があれば、五輪延期はありえると言っていた。日本がどう言っても五輪は、IOCに権限がある」とコメント。

五輪には世界中から選手が集まってくるのですから、仮に日本が武漢ウイルスを抑え込んだとしても、世界での感染が落ち着かない限りまともに開催できるはずもありません。

筆者は五輪開催に悲観的です。


3.景気悪化と総選挙

政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、トランプ大統領が五輪延期を発言した3月12日に、小池都知事が官邸に入り、安倍総理と面会していることを取り上げ、一連の動きは全部が仕組まれたセットじゃないかと述べています。

これは東京五輪が延期ないし中止になることで7月、8月の予定が空いてしまうことを見越してのことで、都知事選と衆院選挙のダブル選挙の可能性があるとも見られています。

もしそうだとしたら、選挙の争点になるのはほぼ間違いなく経済ということになると思われます。

東京五輪の延期、中止による経済損失は30兆円以上にもなるとも言われています。争点にならない訳がありません。

先に取り上げた自民党幹部は景気の先行きについて「景気は1~2年は低迷するだろうから安倍さんは消費税を5%ぐらいまで引き下げて、人気回復を狙って衆院を解散するのではないか。いまの景気動向をみれば、回復は1~2年では足りないだろう」と述べています。

安倍総理も14日の記者会見で「景気対策の一環として消費税を一時的に5%に下げるようなことも聞くが、消費税の引き下げについてどのように考えるか」と問われ次のように答えています。
今回の感染症が経済に与えている影響については甚大なものがあると考えています。その中でですね、また世界中のマーケットに動揺が見られるわけでありますが、各国当局と、そして日本銀行とも緊密に連携しながら、必要とあればですね、G20の合意に沿って適切に対応していきたいと考えているところであります」

えー、まあ、自民党のですね、若手有志の皆様方からも、この際、消費税については思い切った対策をとるべきだという提言もいただいているというふうに承知をしていますが、今回の消費税の引き上げ、昨年の引き上げについてはですね、全世代型社会保障制度へと大きく転換していくために必要な措置であったということは申し上げてきたところでありますが、今、この経済への影響は、相当な影響があるわけであります。

しかし、その中でわれわれはしっかりと雇用を守り抜き、成長軌道に、確かな成長軌道に戻していかなければならないわけでありまして、何をすべきか、何をすべきかということについてはですね、こうした提言も踏まえながら、そして世界経済の動向を注意深く見極めて、さまざまな可能性を想定しながら、今後必要かつ十分な経済財政政策を間髪を入れずに講じていきたいと、こう考えております。
筆者が注目したいのは、安倍総理が同じ経済に対する悪影響についても武漢ウイルスによるものと、消費税増税によるものと分けて答えていることです。

経済失速を武漢ウイルスのせいにすることで消費増税の悪影響をうやむやにすることも出来たかもしれないのにそうしなかった。これは消費増税単体で影響があることをちゃんと認識していることの現れだと思いたいですね。


4.財務相は否定

安倍総理が口にした「若手有志からの消費税に対する思い切った対策」というのは、11日に自民党の安藤裕衆院議員ら有志議員が西村康稔経済再生担当相に、当分の間、消費税について軽減税率を0%にした上で、全品目に適用するようし、6月頃には減税が実施できるよう調整を速やかに行うべきと求めています。

更に減税分も含めて総額30兆円規模の補正予算を編成することも盛り込み、財源には国債を充てるとしています。

安藤議員は政府の緊急対策について、「今の日本経済の影響を見ていると、とても規模が小さいし遅い……今までにないような規模、発想の大胆な経済政策を打つべきだ」と述べています。
けれども、財務省は消費税減税には否定的です。

3月13日、麻生財務相は記者会見で消費税減税について、「そういう話があることは知っているが、それだけだ」と述べるにとどめた。また、「われわれは財政も預かっている。両方考えながら常にやっていかなければならない」として、減税措置には慎重な姿勢を強調。

そして、消費税増税に伴う景気刺激策でキャッシュレス決済のポイント還元制度が最も国民から利用されたことを挙げ、「効果があるものにしないと意味がない。経験を大事にして対策を考える……持っている人が使ってくれなきゃ意味がない」と説明し、追加経済対策では給付措置による消費喚起に力を入れるべきだと述べています。


5.税は朝三暮四

とはいえ、今回は世論からも与野党からも消費税減税すべきだとの声が大きくなっています。識者からも消費税減税すべきとの発言があるなど、今までとはちょっと雰囲気が違う感じがしています。

消費税減税に否定的な麻生財務相でさえ、3月10日には参議院財政金融委員会で「景気対策として減税が一案というのは世界の潮流。反対するつもりはない」と述べていたくらいです。ですから、政府としてもなんらかの形で減税に相当するものはやろうとしているのではないかと思います。

ただ、実際に消費税減税をやろうとなると、法改正は勿論のこと各企業や店舗のレジ、自動販売機や券売機の入れ替え等々インフラ切り替えのコストと時間が必要になります。もしも消費税減税を旗印に総選挙をやるとしても、武漢コロナウイルス感染のピークが4月とか5月とか言われてる最中では出来ないでしょうから、夏の総選挙、そこから法改正で施行となると来年の話になると思われます。

即効性でいうなら麻生財務相のいうキャッシュレス決済のポイント還元の方が、インフラ切り替えの手間がない分即効性があります。そこをどう判断するかだと思います。

けれども、景気の"気"の部分がどう振れていくか、国民の気持ちがどう動いていくかまでを考えると筆者は無理をしても消費税減税にした方がよいと思います。なぜなら、最初の支払いの段階で感じる負担感が違うからです。

例えば、ポイント還元で、5%キャッシュバックするとして実質消費税5%にするようにしたとしても、最初にレジで払うのは10%の消費税です。レジで清算する度に10%という負担感が消費者の心に刻まれます。この負担感はたとえ後でポイント還元で5%分が戻ってきたとしても、それで一度感じた負担という記憶を掻き消してくれる訳ではありません。時間を遡れないですからね。スーパーで買い物する度に10%の負担感を感じ続ける訳です。

それに対し、消費税減税にすると、支払いの段階で5%ですから、確実に「安くなった」、「負担が減った」という感覚を持つはずです。それが景気の"気"を浮上させていくと思うのですね。

まぁ、「朝三暮四」の故事ではないですけれども、景気においても「朝三暮四」の原理は働く。トータルで同じでも目先の税の負担感を減らすという考えは大事だと思います。

どっちにせよ、武漢コロナが落ち着くまでは消費は伸びないでしょうから、その間手間のかかる消費税減税の準備を進めておく。

総選挙をやるやらないは別として、国民の"気"をちゃんと上向かせる政策をとって頂きたいと思いますね。

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