モバイル遺伝子検査機

今日はこの話題です。
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1.日本医師会の要望

2月29日、安倍総理が記者会見を行い、新型コロナウイルス感染に関する政府対応について小中高校の全国一斉休校の要請などを示したことについて、日本医師会からの要望だったと言われていますけれども、それ以外にも医師会の要望が反映されているようです。

筆者なりに安倍総理の会見のポイントと思った点は次の通りです。
A)今から2週間程度、国内の感染拡大を防止するため、あらゆる手を尽くすべきである
B)全国的なスポーツ、文化イベントの自粛、全国小中高校に一斉休校を要請
C)雇用調整助成金などの経済支援対策
D)PCR検査の保険適用。検査能力の増強。
E)重症化予防の観点からは、治療のために必要な病床の確保
F)治療薬の早期開発
G)国民生活への影響を最小とするための立法措置
これに対し、日本医師会が2月27日付で安倍総理に送った要望は次の通り。
1.患者クラスターや地域の流行状況に応じ、学校医と相談のうえ、地域における学校の臨時休業や春休みの弾力的な設定
2.医療現場におけるマスク、手袋、防護具、消毒薬等を含めた医療資機材の確保と迅速な配備
3.医師の判断によるPCR検査を確実に実施する体制の強化
4.診断キット、治療薬、ワクチンの早期開発への最大限の尽力
5.感染症危機管理体制の強化、並びに健康医療情報を学術的な見地から国民に発信し情報共有ができる「いわゆる日本版 CDC」の創設
医師会の要望の1、3、4は安倍総理が会見で明言しています。また、5についても、安倍総理は2月17日の衆院予算委員会の集中審議で、公明党の伊佐進一議員から対外情報発信の充実やアメリカのCDCに相当する組織設置を提案され、「新型ウイルスへの対応を検討するなかで考えていきたい」と答弁しています。

おそらく、医師会から要望書を出される前に、対策会議などで事前に要望内容が上がっていたのだと思われます。まぁ要するに、日本医師会の要望をほぼそのまま受け入れて対応するということです。

安倍総理は会見時の質疑応答で品不足になっているマスクについて、月6億枚生産していから買いだめしないよう求めていますけれども、「新型コロナウイルスから身を守る方法 前編」のエントリーで述べたように、国民一人当たり月6枚にしかなりませんからこの程度の供給量では全然足りません。

更に、医師会の要望の中に「医療現場にマスク、手袋、防護具、消毒薬等の確保と配備」が入っていますから、そちらに優先的に回される筈で、おそらく品薄はまだまだ続くものと思われます。


2.PCR検査の保険適用

安倍総理の会見で筆者が注目したのは、安倍総理が新型コロナウイルス感染のPCR検査の医療保険適用と、15分で検査できる装置について言及したことです。

安倍総理の会見では日本でのPCR検査能力は一日あたり4000件以上の検査能力があるということですから、PCR検査の保険適用によってかなりの数の検査が可能になります。

尤も、検査は医師の判断で行われることになるかと思いますので、無暗矢鱈な検査はしないと思いますし、医療崩壊にならないよう注意を払うと思います。

これについて、危機管理血液内科医の中村幸嗣氏は、「検体の採取をどこがやるのか、疑い患者をどこが診るのかはとても重要な問題」だと指摘しています。ここは別途情報待ちですね。




3.モバイル遺伝子検査機

そして、安倍総理が取り上げた、15分でPCR検査できる装置の開発についてですけれども、これはおそらく、産業技術総合研究所が日本板硝子株式会社などと協力して開発した「モバイル遺伝子検査機」のことだと思われます。

この装置は高さ20センチ、幅10センチ、厚さ5センチ、重さ約500gの手の平サイズのもので、従来のPCR検査装置と比べて物凄く小型化されています。

遺伝子検査はランプ法ではなく、従来のリアルタイムPCR法なのですけれども、薄くて小さなプラスチック基板にマイクロ流路を作って、そこに試料を注入し、高温・低温の領域間で試料を高速に移動させることにより遺伝子を増幅させ、蛍光で検出するというものです。

性能テストでは、大腸菌で10分、ノロウイルスで12分、インフルエンザウイルスでも12分で従来の大型装置と同等の精度を出したそうです。画期的な装置だと思います。

この装置は既に2017年に開発済で、あとは量産して検査機関に配布するだけだと思います。ですから安倍総理が"開発"といったのは、PCR検査装置本体というよりは、寧ろ、新型コロナウイルスのプライマー、試薬の方を指しているのかもしれません。

筆者は「ランプは新型コロナを照らせるか」のエントリーで、東京オリンピックを考えると、可能な限り、入管で感染の有無を検査する体制を取って置かなければ厳しいと述べましたけれども、或いは、安倍総理はこのモバイル検査装置を全国の入管に設置して、10分かそこらで入国する人を検査する体制を取ろうとしているのかもしれません。

もっとも、10分といっても、これは単純に遺伝子増幅だけの時間に過ぎず、検体の前処理は、そもそも検体採取の医師などの専門家の確保やその体制確立など現実には難問が山積みです。

何万もの検体をPCRに掛けているうちに検査官が感染してしまっては元も子もありません。それを考えると現実にできるかどうかはまた別の話だと思います。

或いは、モバイル検査装置を相手国に貸与して、出国時に検査して貰い陽性の人は入国拒否するという形にした方がよいかもしれません。画期的な装置を戦略的に使う。そうした観点もあってよいと思います。

ともあれ、検査体制が整っても、例えば陽性判定された人が落ち着いて自宅療養してくれるなり、重くなったら直ぐに隔離入院できるなり、その後のケアの方がずっと重要です。やはり安倍総理ではないですけれども、政府の力だけでは解決できず、医療機関、企業、自治体含め、国民全体の協力が欠かせないことを忘れてはいけないと思いますね。

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この記事へのコメント

  • インド辛え~

    今晩は、日本も中国武漢市や韓国大邸市の様に、

     「医療現場の最前線にての医療スタッフの崩壊!。」

    此が一番怖いと思われているのでしょう。名古屋市にて、似たような事例があります?との、ネット報道も有ります。

     また、今回の武漢COVID-19 に関しての内容のリンク先を、貼り付ける事をお許し下さいませ。

     >https://blog.with2.net/out.php?1840947;https%3A%2F%2Fblog.goo.ne.jp%2Fjiuhime007%2Fe%2F7d3d4c73b0367ec6b2ce0ea132b59797%3Ffm%3Drss
     (拝啓 福沢諭吉様より引用致しました。)

     SARS の時の対策が、通じない可能性がございます?。 恐らくは、日本医師会・日本看護婦協会・検査技師達や、マスク・アルコール・防護服・ゴーグル等々の製造・販売メーカー各社も、最早パンデミックの可能性に備えて、様々な「提言や対策及び政府の専門家会議への助言」を行われておられると、思われます。

     野党や親中派の与党側の議員達が、脚をひっぱらない様に、祈るばかりですね(苦笑)!。
    2020年03月03日 23:31

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