消された武漢ウイルス論文と中国の偽情報工作

今日はこの話題です。
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1.消されたコロナ論文

武漢ウイルスの感染拡大が止まりません。

米中は、「ウイルスは中国から来た」とか「米軍が中国へ持ち込んだのだ」とか、武漢ウイルスの「出所」について激しく対立しています。

前々から陰謀論として武漢ウイルスは「中国の生物兵器だ」説が流れていたのですけれども、

議論が渦巻いている。「中国の生物兵器だ」などとする説がネット上ではまことしやかに流れる一方、中国政府は「米軍が中国へ持ち込んだのだ」と主張。

そんな中、海外メディアなどで、中国の研究者が書いた「消された論文」が話題となっているようです。

論文は、広東省広州市にある華南理工大学・生物科学与工程学院の肖波濤(シャオ・ボタオ)教授らの研究者で、2020年2月6日、武漢ウイルスの発生源について研究者向けサイト「ResearchGate」に投稿したものです。

これについては、2月21日のエントリー「武漢市政府は新型コロナウイルスの流出元を知っていた」で取り上げたことがあります。

件の論文がネットで公開されると、肖教授が消息不明となり、その公開された論文も削除されたのですけれども、やはり、論文そのものをなかったことは出来ず、内容はネットで拡散しているようです。

件の論文(The possible origins of 2019-nCoV coronavirus)については、こちらで、その全訳が公開されていますけれども、それほど長い論文ではなく、要旨は次のとおり。
・患者から検出されたゲノム配列の96%あるいは89%が中型コウモリ由来のZC45型コロナウイルスと一致した。
・ZC45型コロナウイルスを運ぶコウモリは、雲南省または浙江省で発見されたが、どちらも海鮮市場から900km以上離れている。コウモリが武漢の海鮮市場まで飛んでくる可能性も非常に低い。
・コウモリは食料源だったことはなく、市場で取引されてもいなかった。
・コウモリコロナウイルスの研究を行っている2つの研究所がある。海鮮市場から280メートル以内にある武漢疾病管理予防センター(WHCDC)と市場から約12km離れたところにある中国科学院・武漢ウイルス研究所だ。
・武漢疾病管理予防センター(WHCDC)の研究目的の1つは病原体の収集と識別だ。センターの専門家は、ウイルス採取の際、コウモリに襲われ、コウモリの血が皮膚についたと述べていた。感染の危険性が著しく高いことを知っていた専門家は、自ら14日間の隔離措置を取った。コウモリの尿を被った別の事故の際にも同じように隔離措置を講じた。
・中国科学院・武漢ウイルス研究所は、中国のキクガシラコウモリが2002年から2003年にかけて流行した重症急性呼吸器症候群(SARSコロナウイルス)の発生源であるとの報告を行っている。
・中国科学院・武漢ウイルス研究所でSARSコロナウイルスの逆遺伝学システムを用いてキメラウイルスを発生させるプロジェクトに参加した主任研究者は、ヒトに伝染する可能性について報告している。
・憶測ではあるが、SARSコロナウイルスまたはその派生物が研究所から漏れたかもしれない。武漢にある研究所は、自然発生的な遺伝子組み換えや中間宿主の発生源であっただけでなく、おそらく、猛威を振るうコロナウイルスの発生源でもあったのだ。
実に端的に武漢ウイルスが研究所由来ではないかと指摘しています。中国政府が武漢ウイルスがアメリカから持ちこまれたとか、イタリアが発生源というのであれば、この論文を削除する必要はなく、海外の研究者に武漢を研究所含めて隅々まで調べさせればよいだけの話です。


2.127種の新型ウイルス

疑惑はそれだけではありません。

ネットでは、2013年5月6日に中国政府系研究機関の中国科学院の公式ウェブサイトで掲載された「H5N1はA型インフルエンザウイルスとの結合で人から人へ感染する可能性がある」と題する記事が掘り起こされ、ツイッターで拡散。話題になっています。

記事は、中国農業科学院(CAAS)傘下のハルビン獣医研究所(HVRI)の陳化蘭教授が率いたウイルス研究チームが、2013年5月2日付けのアメリカの科学雑誌「Science」で発表した論文で、遺伝子組換え技術を用いて、毒性が強い鳥インフルエンザ(H5N1型)ウイルスを感染力が強いインフルエンザ(H1N1型)ウイルスに結合し、127種の新型ウイルスを作成したと述べたことを伝えています。

人工合成されたこれらの新型ウイルスは、そのうちの3分の2以上がマウスを使った動物実験で高致死性を示したほか、5種はモルモット感染実験で空気中を伝播することが実証されたのだそうです。

陳教授は実験の目的について 「理論上は自然界でウイルスがこのように変異する可能性があるため、自ら作り出せば、予防ワクチンの開発に役立つ」としているのですけれども、ネットでは、致死性の高いウイルス感染症といった「軍事用の生物兵器」を研究するのが本当の目的ではないかと疑問の声が上がっています。

実際、この研究は多くの専門家からも酷評されていて、2013年5月3日付のアメリカFOXニュースによると、イギリス政府の首席科学顧問、生物学者のロバート・メイ教授はこの研究がインフルエンザの予防には何の役にも立たないとし、「彼らはワクチンの開発を助けるためだと主張しているが、実際は何の常識もなく野心に駆られて人間が作り出した危険なウイルスだ。全くの無責任」と強く批判しています。


3.武漢コロナが招いた中国包囲網

中国政府は、武漢ウイルスは中国の責任ではないと宣伝活動を行っていますけれども、世界はそれに踊らされてはいません。

3月16日、アメリカ、イギリス、そして、中国の7人の研究者が、米国の科学誌「サイエンス」に「記録されていない感染者が、新型コロナウイルスの急速な伝播を促進する」というタイトルの論文を発表しました。

この論文では「1月23日に武漢市が封鎖されたが、その管理措置がとられる以前、感染者の8割以上が記録されていなかった。その後の大部分の感染は、この部分的集団から拡散し、その後、急速に蔓延したことが制御不能になった主因」と結論づけています。

また、3月13日、アメリカ・フロリダ州マイアミのバーマン法律グループは、中国と湖北省、武漢市、および複数の中国政府機関が、武漢ウイルス発生の初期段階の処理を誤ったとして、人身傷害や不当な死亡、財産の損害、その他の損害を受けた人々に、数十億ドルの損害賠償を支払うように求める連邦集団訴訟を起こしました。

メディアも中国の責任を連日追及しています。

3月18日、アメリカ最大のニュース放送局「FOXニュース」の政治トークショー「タッカー・カールソン・トゥナイト」では、キャスターを務めるタッカー・カールソン氏は、この日、トランプ大統領が記者会見で、「中国ウイルス」と連発し、中国共産党の隠蔽と情報操作を攻撃したことを受け、「中国共産党がの流行を隠蔽したことで、パンデミックという結果をもたらした。さもなければ、パンデミックは完全に避けることができたはずだ」と糾弾。

同じく、「FOXニュース」のニュース番組「ハニティー」では、キャスターのショーン・ハニティー氏が「中国共産党による一連のウソが世界中の人々を苦しめ、命を落とすことになった……彼らは今、世界中で死、破壊、殺害を引き起こしている」と断言。更に女性キャスターのローラ・イングラハム氏は「我々は中国政府に対して、より厳しい措置を検討する必要がある」と述べています。

中国に対する批判はアメリカだけではありません。

3月17日、フランスの日刊紙ルフィガロは「台湾の民主的な統治モデルは防疫に成功した。中国の中央集権的な防疫モデルへの挑戦だ」と、感染拡大を食い止めている台湾を称賛し、独裁体制の中国を非難する記事を掲載しています。


4.中国の武漢ウイルス「偽情報工作」が主要議題

パンデミックを起こした武漢ウイルスの責任を他国に擦り付ける中国の態度に世界は「中国包囲網」を形成し始めました。

3月25日、アメリカのポンペオ国務長官は、テレビ会議で行われたG7外相会合で、中国共産党体制による武漢ウイルスの「国際的な偽情報(ディスインフォメーション)工作」をめぐる議論に多くの時間が費やされたと明らかにしました。

ポンペオ国務長官は「『武漢ウイルス』の問題が明確に示したように、中国共産党体制は保健と生活様式に対する重大な脅威だ……中国高官が『ウイルスは米国が中国に持ち込んだ』と主張しているが、ばかげた駄法螺だ」と一蹴。中国の偽情報工作を「加盟各国は把握していた」と指摘し、中国に対する懸念が共有されたとの認識を示しました。

今回のG7外相会合では共同声明の発表が見送られたのですけれども、ポンペオ国務長官が新型コロナウイルスを「武漢ウイルス」と呼ぶよう訴えたところ、国際協調に水を差すとしてその他国の反対を受けたためとも伝えられています。それだけ頭に来ているということなのでしょうね。

更にポンペオ国務長官は、アメリカ議会で「中国はアメリカと世界各国に賠償を支払うべきだ」との議論が浮上していることに関しても「今は中国からも正確な情報提供が必要だ」としつつ「危機への対処が一段落したら、責任の所在について検証するときが来る」と中国への賠償請求に含みを残しています。


5.チャイニーズ・ヘルス・オーガナイゼーション

一方、そんな中国に肩入れする組織にも批判の目が向けられています。WHOです。

取り分けWHOのテドロス事務局長への風当たりは強く、署名サイトの呼び掛けで始まったテドロス事務局長辞任を求める署名は、3月26日現在で既に53万人を超えています。

署名サイトは「中国政府が発表した死者、感染者数を鵜呑みにした……テドロス氏は事務局長に全くふさわしくない」と批判しています。

3月25日、トランプ大統領は記者会見で、武漢ウイルスへの対応をめぐり、WHO(世界保健機関)が中国に配慮しすぎているのではないかとの指摘が連邦議会の議員らから出ていることについて記者団から問われ、「多くの人はWHOがとても不公平で、中国に肩入れしていると感じている。そして、それに不満を抱えている人も多い」と不満を顕わにしています。

また、日本の麻生副総理も26日の参議院財政金融委員会で、「早い話が、WHOが『ワールド・ヘルス・オーガナイゼーション』ではなく、『チャイニーズ・ヘルス・オーガナイゼーション』ではないかと、『CHO』に直せという声が、わんわん出たことがもとだ……『最初からもっと大変だと言っておけば、もっと早く対応ができたんだ』というのが、賛同する30万人、50万人の人たちの殆どの不満のもとだ」と指摘しています。

今はどの国も武漢ウイルス対応に追われていますけれども、落ち着いた後、世界が中国とWHOを糾弾することになるかと思いますね。

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