

1.入国拒否拡大
日本政府は武漢ウイルスの世界的な感染拡大を受け、アメリカ、中国、韓国の全土と、欧州のほぼ全域、そして東南アジアやアフリカの一部からの外国人の入国を拒否するなど、水際対策を大幅に強化する方針を固めました。
外務省はこれらの地域の感染症危険情報を上から2番目の「レベル3」とし、日本からの渡航中止を勧告するとしています。
今週前半にもある国家安全保障会議(NSC)の緊急事態大臣会合の決定を経て、出入国管理法に基づく入国拒否の措置が発動されれば、2週間以内に対象地域に滞在歴のある外国人は特段の事情がない限り入国できなくなります。
おそらく、これらを受けてのことだと思いますけれども、29日河野防衛相は「新型コロナウイルス感染拡大防止の水際対策強化のため、本日、自衛隊に対し、自主派遣による災害派遣命令を発出しました。自衛隊は空港での検疫支援、帰国者の空港から宿泊施設への輸送、宿泊施設での生活支援等を実施します。都道府県の感染拡大に関しては、知事の要請で災害派遣します」とツイート。
水際対策へ自衛隊を投入したと明言しています。河野防衛相は、この中で感染拡大に関しては、知事の要請で災害派遣するとも述べていますけれども、地方自治体が感染爆発した時やあるいは都市封鎖になった場合の対応をも視野に入れてのことかもしれません。
2.外出自粛ひとまず効果
東京都など首都圏の1都4県が共同で不要不急の外出自粛を求めた3月28、29日、商業施設の多くが臨時休業となって人通りも途絶え、それなりの効果が見られたようです。
夜の六本木でも多くの飲食店などが臨時休業。六本木交差点も行き交う人は数えるほどで、人手も普段の10分の1くらいだったようです。
横浜市でも、みなとみらい周辺の「横浜赤レンガ倉庫」などが全面休館。中華街も人出が激減しました。
日本危機管理防災学会の市川宏雄会長は自粛要請の初日について「実際に多くの人が外出を控え、要請は一定の効果があったといえる」と述べています。
ただこれらの自粛の結果がどれくらい感染拡大を抑えるのに効果があったのかが見えてくるのは1~2週間先の話です。油断するのはまだ早い。
3.医療崩壊する海外
武漢ウイルスの猛威は止まりません。イタリアでは28日、死者が1万人を超え、感染者は9万2472人になっています。
医療従事者の感染も相次いでいて、医師会連盟のまとめによると、27日の時点で、感染した医師50人が死亡。感染者が集中している北部では、医師や看護師、医療機器が不足しているため、政府が医療従事者を募って現地に派遣したり、臨時の病院を設営したりして対策をしているのですけれども、この10日間で死者は3倍近くに増えています。
また、外出制限によって仕事を失った人たちの不満も募っていて、南部のシチリア島では27日、スーパーマーケットが襲われて食料品が奪われるなどしているようです。
欧州ではイタリアの次に感染者の多いスペインは外出制限を大幅に強化。必要不可欠な業種を除き30日から4月9日まで出勤を控えるよう国民に指示をだしています。
一度医療崩壊してしまうと、もう、どうにもならないといった有様です。
4.迫りくる医療崩壊の危機
医療崩壊の危機は日本にも迫っています。
日本政府は武漢ウイルスの感染が広がる事態に備えて、個室管理などができるベッドを全国で21000床、重症者向けの人工呼吸器を3000台確保したとしていますけれども、日経新聞が感染者の多い5都道府県に調査したところ、東京都は既に専用に確保した病床数を超え、一般病院に協力を求めている状態になっていて、東京都を含め、専用の集中治療室(ICU)の病床数がどれくらい空いているかなどの把握が不十分な自治体が目立っているそうです。
この事態に29日、西村康稔経済財政・再生相は「経済産業省で人工呼吸器を3000台確保しているが、万が一の事態に備えて増産ができないかと調整している……日本は製造業はしっかりとした技術があるので、経産省で調整して、しっかり確保したい」と、人工呼吸器の増産に向けた調整を始めたことを明らかにしています。
東京がロックダウンするかどうかは分かりませんけれども、安倍総理が会見で述べたようにギリギリで踏みとどまっていることには変わりません。一人ひとりが感染を極力避ける行動を取る。もはやその積み重ねしか残っている手はないのかもしれません。
この記事へのコメント
ななしさん
ハッキリは言わないが、今日本政府のやろうとしている対武漢肺炎戦略は、重症化しにくい世代の若い人に、本人の気が付かない間に武漢ウイルスを蔓延させ、集団免疫を獲得させる事のように私には見えます。社会構成員の6~8割程度の人が感染して抗体を獲得すれば、ウイルスの流行は収まるからです。
この時重要なのは、感染が広がる速度を遅くコントロールする事です。重症化しにくい世代であっても、一定程度は武漢肺炎を発症して重篤化する恐れがあるからです。
よって、感染拡大速度が早ければオーバーシュートして医療機関がバーストしてしまう。それを避けるには、一人あたりの感染再生産数を下げ、感染拡大速度を遅くしてやる必要がある。どうすればそうできるかと言うと、なるべく他人と会う頻度を少なくしてやればよい。ウイルスが他人に乗り移る機会を減らせれば、感染再生産数を減らせるからです。そうすれば、感染拡大速度が遅くなるので、オーバーシュートさせないで感染を広げられます。だから、不要不急の用事以外は家から出るなと広報しています。
そのようにして、働く若い世代の間に遅い速度で集団免疫を獲得させるのが、日本の戦略だと私は見ています。その為に、意図的にグズグズした対策を打っているのです。よって、緊急事態宣言もロックダウンも無いように思います。しかしその間、高齢の方は家に籠っている必要があります。高齢の方は、感染すると命の危険が大きいからです。