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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
1.新型コロナウイルスとの闘いは未知の領域に入った
3月2日、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、中国は一部で感染拡大が落ち着いてきたのに対し、それ以外で過去24時間に報告された感染件数はその9倍近くに上ったとして、新型コロナウイルスとの闘いは「未知の領域」に入ったと述べました。
その一方、適切な措置を取れば封じ込めは可能との見方を示したものの、市中感染する呼吸器疾患の病原体で封じ込めが可能なケースは過去にみられなかったとも指摘しています。
それでも、パンデミックはいまだ宣言しませんでした。
新型コロナウイルスとの闘いは「未知の領域」で、市中感染する呼吸器疾患の病原体は過去封じ込め出来た例がないのに、適切な措置を取れば封じ込めは可能だなんて、全く意味が分かりません。
2.アビガンに薬効あり
WHOによると、未知の領域に入った新型コロナウイルスですけれども、いくつかの薬で効果があると報告されています。
以前取り上げた富士フイルム富山化学のアビガンもその一つです。
アビガンは2014年に日本で承認された抗インフルエンザウイルス薬で、インフルエンザウイルスの遺伝子複製酵素であるRNAポリメラーゼを阻害することでウイルスの増殖を抑制します。
新型コロナウイルスもRNAウイルスであることから、効果を示す可能性があると期待されていたのですけれども、中国科学技術省生物センターによると、投与開始3~4日目で一定の効果が見られたとしています。
更に、中国の「科技日報」社は、アビガンには副作用がなく、また発熱患者に解熱効果があり、服用してから2日以内に約72%が解熱し、3日以内に肺の画像から38%が改善、6日目には70%改善が見られたと報告しています。
アビガンは新型インフルエンザが発生した場合にしか使用できないため、市場には流通していないのですけれども、日本は新型インフルエンザに備えて200万人分を備蓄しているそうですから、当面の治療には有効な力を発揮するのではないかと思われます。
3.シクレソニド
また、抗インフルエンザウイルス薬以外にも効果がある薬があるとも報告されています。喘息薬です。
3月2日に公開された症例報告では、神奈川県立病院機構 神奈川県立足柄上病院、愛知医科大学らの研究チームが武漢肺炎確定者3名に喘息治療薬である「シクレソニド(Ciclesonide)」を使用して、症状が好転するなどの効果を確認したと報告しています。
3名の患者はクルーズ船「ダイヤモンドプリンセス」搭乗客で、73 歳の女性、 78 歳の男性、67 歳の女性です。
それぞれの症状の経緯は次の通りです。
1)73 歳の女性劇的な改善です。
2/11:入院。意識清明。血圧 105/65, 脈拍 103/分、呼吸回数 11/分、体温 36.7℃、倦怠感強く、殆ど臥床状態で食事もほとんど摂取できない
2/14:酸素吸入開始、ロピナビル/リトナビル投与で解熱傾向。
2/19:CTで陰影増強、下痢と肝酵素上昇にてロピナビル/リトナビル投与中止。
2/20:シクレソニド吸入開始、経口摂取不良1週間持続のため、経鼻経管栄養を開始。
2/22:37.5℃以上の発熱なし、酸素化も改善。食欲回復。経口摂取できたため経管栄養を中止。倦怠感改善、室内独歩可能
2/25:SARS-CoV-2陰性判定
2/26:SARS-CoV-2陰性判定
2) 78 歳の男性
2/16:入院。意識清明だが倦怠感著明。血圧 146/83, 脈拍75/分、呼吸回数 16/分、体温 37.5℃。水様便が持続、食事もほとんど摂れない。
2/17:38℃の発熱
2/19:酸素吸入開始。シクレソニド吸入開始。
2/21:食欲が徐々に改善し、下痢も回復し普通便。
2/22:酸素吸入中止。倦怠感改善。食事ほぼ全量摂取。室内で日課のスクワットをする程度まで回復。
2/25:SARS-CoV-2陽性判定
2/27:SARS-CoV-2陽性判定。シクレソニド増量継続中。
3)67 歳の女性
2/16:入院。体温36.4℃。倦怠感あり、ベッドで横になっていることが多い。食事は半量程度。
2/20:増悪予防でシクレソニド開始。午後から食欲改善傾向。
2/21:体動時に血中酸素(SpO2)90%未満の為、酸素吸入開始。シクレソニド投与のみで経過観察。
2/22:酸素吸入中止。食事全量摂取可能。全身倦怠感も急速に改善
2/25:SARS-CoV-2陽性判定
2/27:SARS-CoV-2陽性判定。シクレソニド増量継続中。
シクレソニドは、気道の慢性炎症の抑制に効果があるとされ、未熟児・新生児から高齢者まで広く用いられている吸入用ステロイド剤です。
新型コロナウイルスに対し、このシクレソニドが、強い抗ウイルス活性を持っていると国立感染症研究所村山庁舎のコロナウイルス研究室から報告され、それで投与を試みたようです。それでこの効果は凄いの一言です。
ただ、シクレソニド以外の吸入ステロイドには、新型コロナウイルスに対する抗ウイルス作用は認められないそうで、ステロイド薬としてはこれしか効果がないそうです。投与時期は重症化する前の、感染早期〜中期あるいは肺炎初期が望ましく、ウイルスの早期陰性化や重症肺炎への進展防止効果が期待されると報告されています。
まだ症例としてはわずか3例であり、正式に使用されるまでにはまだまだ症例を積み重ねる必要があるかと思いますけれども、意外なところに見出した僅かな光明が突破口に繋がることを期待したいですね。
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