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「妖印刻みし勇者よ、滅びゆく多元宇宙を救え」連載中!
1.国民生活安定緊急措置法
この程、厚生労働省は、新型コロナウイルスの感染拡大で品薄が続くマスクについて、製造・販売メーカーに対し、400万枚の売り渡しを指示しました。
厚労省が買い取ったマスクは、まず緊急事態宣言を出した北海道に配布。人口に占める患者数の割合が特に多い中富良野町と、感染者クラスターが発生し、今後の患者数増加が懸念される北見市へ、6日から順次配送されるとしています。
用意されたマスクは400万枚で、およそ6万4,000世帯分。1世帯あたり40枚程度が行き渡るようです。
また、政府は、布製のマスクを海外から1億枚規模で確保し、全国の高齢者施設など、感染リスクが高いところから配布する方向で検討しているそうなのですけれども、なぜ輸入や生産を急ぐのかというと、マスクの備蓄が全然足りてないからです。
3月4日、参院予算委員会理事会で、国が保有するマスクは2日現在で、各府省庁分を合わせて計約743万枚であることが明らかになっていますけれども、30万人以上にも及ぶ全国の医師数を考えると全く足りていません。
では地方自治体であれば備蓄しているのかというと、自治体によって備蓄に大きな差があり、ANNが首都圏の備蓄状況を取材したところ、東京都は100万枚以上、千葉県や茨城県は数万枚単位の備蓄がありました。一方、栃木、山梨、神奈川ではそもそも備蓄をしていませんでした。また、群馬県はすでに病院に提供して備蓄がなくなったということです。
今回の措置は、1973年の第1次石油ショックの際に物価安定などを図る目的で制定された「国民生活安定緊急措置法」に基づくもので、物資を配給するために売り渡しを指示するのは初めてのことです。
また、昨今横行しているマスクの転売についても、政府は禁止する方針で、この緊急措置法の26条を適用し、懲役5年以下、または、300万円以下の罰金を科すことを検討しているそうです。
2.スーパースプレッダー
新型コロナウイルスはサイズが小さく、マスクの網の目を抜けるからしても意味ないと言う意見もありますけれども、飛沫感染がメインであることを考えると、少なくとも他人にうつさないという意味で感染者がマスクをすることは非常に意味があります。
最近、次々と報道される新たな感染者もライブハウスやスポーツクラブで感染したとも言われています。
ライブハウスだと周りは叫ぶ観客ばかりでそれこそ"飛沫感染祭り"でしょうし、スポーツクラブでマスクをしたままトレーニングする人はそうそういないでしょう。ましてやシャワールームやジャグジー、風呂でマスクを付けたまま入ったら変質者と思われかねません。そう考えると確かに密閉された中で叫んだり飛び跳ねたりする空間は非常に危険はことは誰の目にも明らかです。
またネットでは医療従事者に配布するマスクが全然足りないとの声も上がっているようです。
マスクを確保し、つけるべき人に優先して手配するのは当然のことだと思います。
3.それはあり得ない
先日、政府は、特定地域からの入国拒否対象を拡大する手続きを簡略化した際、法的根拠がないことを理由に法務省が反対したのを官邸が押し切ったと報じられましたけれども、同様のことが厚労省との間でも起こっていたことが分かりました。
1月、政府は中国・武漢に滞在する日本人をチャーター機で帰国させました。彼らは東京都内の国立国際医療研究センターで検査を受け、無症状の人も千葉県の勝浦ホテル三日月で経過観察となりましたけれども、実は、厚労省は症状のない帰国者については、自宅に帰らせる方針だったのだそうです。
1月27日、自民党本部で開かれた「新型コロナウイルス対策本部」では、厚労省の担当者と自民党議員との間でこんなやり取りが交わされていたそうです
厚労省担当者:「今回は検疫官や医師を乗せていき、機内で健康チェックをして、感染が疑われた場合には機内の場所を分けてさらに検査し、羽田かどこかに着いてからも隔離して引き続き対応します。そうでない方は帰宅してもらい経過観察と…」更に、その後、総理官邸で行われた会議で厚労省担当者が「症状が見られない人については、帰国後に全員自宅などに戻ってもらう対応を取る」との方針を話したところ、安倍総理は「それはあり得ない」と却下。結局、無症状の帰国者たちについても、当面は政府が用意した施設に滞在してもらうよう「お願い」する方針が政治主導で決まりました。
自民党議員:「ちゃんと2週間でもなんでもしっかり検査して様子を見た方がよいのでは」
厚労省担当者:「症状もない人も留め置くということは、検疫の方の考え方ではちょっと…」
自民党議員:「それで責任取れるのか?」
厚労省担当者:「……」
なぜ、「お願い」になったのかというと、ここでも法的根拠がなかったからです。
チャーター機第1便で帰国した日本人のうち2人が、帰国後の検査を拒否したことが判明し、大騒ぎになったことがありました。
政府関係者は、チャーター機第2便以降の対応について「帰国者がチャーター機に乗る前に口頭で『着陸後に詳細な検査を受けてもらいますがよろしいですか?』と伝えて、それを了承してくれた方を乗せています……指示ができないからこそ、口頭で強くお願いするしかないのです」と述べていますけれども、「症状がない人」に対する強制力を持った指示ができないという現行法についてはもっと議論があってしかるべきだと思います。
4.新型インフルエンザ等対策特別措置法
2月4日、安倍総理は、立憲民主党の枝野幸男代表ら野党5党の党首とそれぞれ国会内で会談し、新型コロナウイルス感染症について、新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象とする改正案の早期成立に協力を求めました。
但し、対象期間は2月1日から2年以内の時限措置とする方針で、2月10日に特措法改正案を閣議決定し、来週中にも成立させたい考えとしています。
新型インフルエンザ等対策特別措置法には緊急事態宣言に関する条項があり、感染拡大防止の為に不要不急の外出自粛などを求めることができます。
該当すると思われる32条、45条は次の通りです。
(新型インフルエンザ等緊急事態宣言等)これに対し、安倍総理との会談での野党党首の反応は次の通りです。
第三十二条 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等(国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがあるものとして政令で定める要件に該当するものに限る。以下この章において同じ。)が国内で発生し、その全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるものとして政令で定める要件に該当する事態(以下「新型インフルエンザ等緊急事態」という。)が発生したと認めるときは、新型インフルエンザ等緊急事態が発生した旨及び次に掲げる事項の公示(第五項及び第三十四条第一項において「新型インフルエンザ等緊急事態宣言」という。)をし、並びにその旨及び当該事項を国会に報告するものとする。
一 新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施すべき期間
二 新型インフルエンザ等緊急事態措置(第四十六条の規定による措置を除く。)を実施すべき区域
三 新型インフルエンザ等緊急事態の概要
2 前項第一号に掲げる期間は、二年を超えてはならない。
3 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等のまん延の状況並びに国民生活及び国民経済の状況を勘案して第一項第一号に掲げる期間を延長し、又は同項第二号に掲げる区域を変更することが必要であると認めるときは、当該期間を延長する旨又は当該区域を変更する旨の公示をし、及びこれを国会に報告するものとする。
4 前項の規定により延長する期間は、一年を超えてはならない。
5 政府対策本部長は、新型インフルエンザ等緊急事態宣言をした後、新型インフルエンザ等緊急事態措置を実施する必要がなくなったと認めるときは、速やかに、新型インフルエンザ等緊急事態解除宣言(新型インフルエンザ等緊急事態が終了した旨の公示をいう。)をし、及び国会に報告するものとする。
6 政府対策本部長は、第一項又は第三項の公示をしたときは、基本的対処方針を変更し、第十八条第二項第三号に掲げる事項として当該公示の後に必要とされる新型インフルエンザ等緊急事態措置の実施に関する重要な事項を定めなければならない。
(感染を防止するための協力要請等)
第四十五条 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。
2 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。
3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる。
4 特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない。
立憲民主党:枝野幸男代表「現行法のまま新型コロナを適用対象にすべきだが、審議には協力する……緊急事態宣言は安易にやるべきではない」
国民民主党:玉木雄一郎代表「協力するが、現行法で対応できる」
共産党 :志位和夫委員長「現行法で対応可能……法改正を断念すべきだ」
社民党 :福島瑞穂党首 「個人の権利制限について抑制的な対応を求める」
日本維新の会:片山虎之助共同代表「改正案に賛成する」
抵抗野党のなんでも反対は今に始まったことではありませんけれども、検査や隔離したくても「お願い」しかできない法整備を放置したまま、新型コロナウイルスが今以上に拡大したらどうする積りなのでしょうか。
まぁ、厚労省の反対を安倍総理が押し切った件が今頃リークされたのも、法案成立のための世論作りの一環の可能性もあるのだと思いますけれども、国民を守るのに必要な法整備はやはり進めるべきだと思います。
すみやかな審議と法案成立をお願いしたいですね。
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