緊急事態宣言はいつまで続くか

今日はこの話題です。
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1.メガクラスターからミニクラスターへ

4月19日、東京都は、武漢ウイルスの感染者が新たに107人確認されたと発表しました。内67人は感染経路がわかっていないとしています。これで都内の感染者の累計は3082人となりました。

年代別では10歳未満が1人含まれ、50代以下が全体のおよそ7割を占めています。

都によると、181人の感染者が確認された18日は濃厚接触による感染が56人で、うち7割超が自宅などで同居する人からの感染である一方、「夜の街」での感染疑いは4月上旬は全体の2~3割だったが、最近は1割ほどにとどまっているそうです。また、19日の感染でも濃厚接触にあたる40人のうちおよそ10人が家族間での感染がみられるとしています。

都は、夜の街での感染は減る一方、家族間での感染が増えているとみていて、国と同様家に感染疑いの人がいる場合、生活する部屋を分けるよう呼びかけています。

尤も、都の担当者は「家庭内で感染を広げないことは簡単ではない。まずは外で感染しないことが大事なので、引き続き不要不急の外出は控えてほしい」と述べていますけれども、「夜の街」の感染が減って、家庭内感染が増えたということは、所謂「メガクラスター」が「ミニクラスター」に移っているということであり、日本全体の感染拡大を抑えるという意味ではよい方向なのではないかと思います。




2.収束傾向が見え始めた日本

では、日本の感染拡大が収まるのは何時になるのか。

こちらのサイトでは、武漢ウイルス終息について様々な説の検証をしていますけれども、パンデミックの終息もさることながら、日本国民としては、目下の自粛がどの程度続くのか。5月6日までとした緊急事態宣言がその日に解除されるのか、というのが興味あるところだと思います。

20日の都の発表では新規感染者は102名と17日の201人からは半減近くにまで減っているのですけれども、前日19日は日曜日で、そもそもPCR検査数そのものが少ないことから、見かけ上少なくなっているだけということも考えられます。

これについては、火曜日以降の推移をみる必要があるかと思います。

ただ、これまでのデータから、都の感染拡大は頭打ちになりつつあるのではないかという見方もあります。

こちらのサイトでは、感染拡大傾向を日々の数字を追うのではなく、移動平均でみることで大まかな傾向を分析しています。

移動平均とは、時系列データを平滑化する手法で、ある一定区間ごとの平均値を区間をずらしながら求めたものです。この移動平均を用いてグラフを作成すると、長期的な傾向を表す滑らかな曲線が得られ、株式チャートなどではよく用いられています。

件のサイトでは、7日移動平均を用いて新規感染者の推移をグラフ化。都、全国共に漸減の傾向が見えているとしています。

また、こちらの「新型コロナウイルス感染速報」というサイトでは、武漢ウイルス感染に関する様々な情報を纏めていますけれども、こちらの国内状況推移にある新規感染者のグラフには3日移動平均と5日移動平均があり、こちらでも漸減傾向が見えているといえば見えています。

あとはこのまま1週間後、2週間後で新規感染者が減る傾向が見えてくれば、GW明けの緊急事態宣言の部分解除も見えてくるかもしれません。

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3.感染拡大のピークは四月

専門家によると、日本の武漢ウイルス感染のピークは今月中にあるという見方もあるようです。

台湾大学化学部の徐丞志准教授は、日本の公式統計から、感染症数理モデルを使って日本の武漢ウイルスの感染者数の今度の動向について試算を行っています。

徐丞志准教授は、1月から中国・湖北省や韓国などの感染予測を行いそれぞれの予測が的中に近い形となり、イギリスの雑誌『エコノミスト』にも紹介され、台湾のメディアなどから注目されるようになった方です。

徐准教授は試算について「隣国の日本については台湾でも非常に関心が高く、日本の状況を知ってもらうことに役立てれば」と、日本の厚労省統計などに基づいて感染症の流行過程を算出する古典的なSIRモデルを使用して検証したそうです。

その試算の結果によると、「楽観的シナリオ」では、日本の感染のピークは4月16日となり、累計の感染者数は2万人以上に達するとされる一方、「悲観的シナリオ」だと、感染のピークは4月26日になり、1日あたりの感染者は2000人を超え、累計の感染者数は5万人以上に達するとしています。

徐准教授は「いまの状況を見る限り、日本は第二の湖北省になる可能性があるが、それ以上に被害が深刻化しているイタリアやアメリカのようにはならないだろう」とする一方で「日本では、湖北省のように厳格な都市封鎖をしていないうえ、韓国のように大規模な検査と隔離も行っていないので、人から人への感染が中韓よりも長く続くと見られる」と今後、日本での更なる感染拡大は不可避だとし、「被害をできるだけ抑えていく『減災』の取り組みで国民の健康を守っていくしかないでしょう」と指摘しています。

そして、徐准教授はPCR検査について「即座に大掛かりな検査の拡大をして、潜在的な感染源を可能な限り探し出し、予防的隔離を講じることが求められます。最近の日本の厚労省の統計によれば検査数はこの1週間ほど増加しており、一定の改善が見られます。しかし、ここ2週間の陽性率は1ヶ月前の陽性率よりも高くなっています。このことは、水面下で感染の拡大が進んで、日本国内に未確認感染者が大量に存在する可能性があることを示しています」と指摘。

更に、「日本は感染の大規模拡大の前半期にあたると思われます。例えば米国のニューヨーク州は3月下旬に毎日検査を7000件行って陽性率は2割でした。4月上旬になって毎日の検査を2万5000件に引き上げたところ、陽性率は4割と逆に上がりました。日本も似たような状況にあると思われます」と潜在的感染者拡大の可能性に触れています。

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4.抗体検査

ただ、武漢ウイルスの厄介なところは、所謂「サイレントキャリア」と呼ばれる無症候性感染者が、一定の割合でいるということです。このサイレントキャリアが知らない内に感染拡大の温床となってしまっている可能性がある。

大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」では乗客3711人にPCR検査を実施した結果、712人が陽性となったものの、そのうち半数にあたる333人が無症候性感染者でした。また、中国CDCの武漢の患者約7万2000人を調べた研究でも、対象者の1.2%が無症候性であることがわかったと報告されています。

このように、無症状の感染者を発見できる方法の一つに、「抗体検査」が挙げられます。

抗体検査とは、体内の免疫細胞が、侵入してきた病原体をそれと認識したときに産生される「抗体」が体内に残っているかを検査するもので、対応する病原体の抗体があれば、同じ感染症にかかることはないとされています。

人体には大別して5種類の抗体があり、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、IgEと呼ばれています。このうち、武漢ウイルスなど、ウイルス感染で調べるのは、危険因子の無毒化、白血球やマクロファージによる抗原・抗体複合体の認識に重要な役割を果たすIgGと、抗原の侵入に際して最初にB細胞から産生されるIgMの2つです。

IgMは病原体が入ったときに最初に作られる抗体ですけれども、比較的早い段階で消失する一方、IgGは比較的ゆっくりと作られるが、そのあとずっと血液中に残っていることから、それぞれの抗体がどの程度残っているかをみることで、理論上は、IgMが陽性でIgGが陰性であれば感染初期の可能性があり、IgMが陰性でIgGが陽性であれば感染は少し前に起こっていたということが分かるのだそうです。

つまり、武漢ウイルスの抗体検査を行って、その抗体を持っていれば、感染時期が分かり、また、今後武漢ウイルスに感染する可能性は低いであろうということです。

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5.想像以上の感染者

実際、ドイツやイギリスではこの抗体検査を広く実施することで「過去に感染して治った人」を明らかにし、その人たちに「免疫証明書」を発行。行動制限を緩めることが検討されているそうです。

既に、アメリカ・カリフォルニア州サンタクララ郡で試験的に抗体検査を行われたのですけれども、実に驚くべき結果が報告されています。

ABCニュースの報道によると、抗体検査を受けた3300人のうち、抗体反応があったのが2.8~4.2%程度だったそうです。

サンタクララ郡の人口は200万人ほどで、郡内の感染者は公式には1000人程度と発表されていました。けれども、抗体検査の結果から見積もると、実際には4万8000~8万1000人程度がすでに感染していたという訳です。これはPCR検査などで陽性が判明した人の50~80倍に当たります。

尤も、サンタクララ郡での抗体検査はネット上で参加者が募集されているため、比較的若く活動的な層が多いと予想されることから、高齢者や子供などと比べて感染率が高い可能性があるのではないかという見方や、抗体検査の精度にも問題があるのではないかという指摘があります。

抗体検査の一つに1滴の血液を試薬が含まれているシートに含ませるイムノクロマト法とよばれる簡易検査方法がありあります。

いま出ているキットは、抗体があっても陽性と判定される割合が低いという指摘があり、日本の感染症研究所がイムノクロマト法による抗体検査について評価した結果によると、PCR検査で陽性となった患者(37症例)の血液を用いて抗体検査を実施したところ、発症後7~8日の陽性率はIgMが10.0%、IgGが25.0%、9~12日が4.8%、52.4%、13日以降は96.9%だったそうです。

まぁ、それでも、発症後13日以上の経った人のIgG抗体であれば96.9%の検出感度がある訳ですから、ある程度新規感染者の増加が頭打ちになった頃をそれだと見做せば、それなりの検出が期待できるかもしれません。

4月17日、加藤勝信厚生労働相は記者会見で、「状況が整えば、関係者の協力をいただきながら早急に取り組みたい」と武漢ウイルスの流行状況を把握するため、抗体検査に着手すると表明。厚労省が月内にも始められるように準備を進めているようです。

果たしてどれくらいのスピードで結果が出るのか分かりませんけれども、あるいは抗体検査の結果も非常事態宣言の解除の参考に使われるかもしれません。

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6.アビガンとオルベスコ

また、治療薬についても、少しづつ進展があるようです。

4月18日、日本感染症学会の緊急シンポジウムが開かれ、武漢ウイルス感染患者の治療について、インフルエンザ薬や喘息薬の投与で改善したケースもあったことなどが報告されました。

シンポジウムは、観覧者を入れずにインターネット配信の形で行われ、対策にあたる政府の専門家会議のメンバーや、治療にあたる医師などが状況を報告しました。

その中で藤田医科大学の土井洋平教授は、インフルエンザ治療薬の「アビガン」を患者に投与した状況について報告。アビガンを投与された300人のうち、軽症と中等症の患者ではおよそ9割、人工呼吸器が必要な重症患者では6割で2週間後に症状の改善が見られたということで、土井教授は現在行われている治験などでさらに効果を確かめる必要があるという考えを示しました。



また、喘息治療薬「オルベスコ」についても報告され、肺炎になったあとで投与された75人のうち、症状が悪化して人工呼吸器が必要になった患者が少なくとも3人、亡くなった患者は2人だったということで、この薬を使わない場合に比べて悪化する割合を下げられる可能性があるとしています。

土井教授は、「既存薬で改善したケースも出てきているが、有効性を確かめるには、薬の投与がない患者との比較や投与するタイミングなどの検証が今後必要だ」と話しています。

ただ、「オルベスコ」を患者に投与する臨床研究に関わる愛知医科大学の森島恒雄客員教授は、「今回のデータだけではまだ断定はできないが、オルベスコを投与することで、重症の肺炎になって人工呼吸器が必要になる患者を減らせる可能性がある。全国で感染拡大が続く中、医療機関で受け入れ可能な患者数を超えて患者を助けられなくなる『医療崩壊』を防ぐうえで、重要な役割を持つ薬と考えられるので、さらに分析を進めたい」とコメントしています。

アビガンについては、日本政府が治験目的で、感染者が発生している約50ヶ国に無償提供するとしています。多くの患者で効果があると分かれば、正式承認の時期も早まります。良い結果を期待したいところですね。

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