金正恩重体説

今日は感想エントリーです。
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1.金正恩重体説

4月20日、アメリカCNNテレビは情報当局者の話として、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が手術を受けたと報じました。ただ、重体になっているとの情報もあるとしながらも、武漢ウイルス関連ではないとしているようです。

金正恩委員長については、北朝鮮の朝鮮中央通信が15日の故金日成主席の生誕記念日「太陽節」に金正恩委員長が参拝したかどうかについて触れなかったことから、体調不良の観測が出ていたのですけれども、それを裏付ける報道ではあります。

金正恩委員長が祖父の生誕記念日に際して参拝を行わなかったとしたら、これは最高指導者となって以降は初めてのことであり、そうした観測が出るのも無理からぬことだと思います。

北朝鮮内部のデイリーNK消息筋は、金正恩委員長は、12日に平安北道の妙香山地区にある金氏一家の専用病院・香山診療所で心血管疾患の手術を受け、その後は近くの香山特閣に滞在中だと伝えています。

消息筋は「元帥様は昨年8月から苦しんでいたが、最近、頻繁に白頭山に登ったせいでさらにひどくなった」とし、今回の手術では平壌にある金萬有病院の担当外科医が執刀を担当。ほかにも朝鮮赤十字総合病院、平壌医学大学病院に所属する担当医師たちも動員されたそうで、術後、金正恩委員長の経過が良好だと判断した医療陣は、一部を残し19日までに平壌に復帰したとしています。

現在、香山特閣は親衛隊30人余りと平壌第1護衛局の要員らが厳戒下に置いており、従来の警備要員は一時的に撤収しているとされています。

CNNは重体説を流す一方、デイリーNK消息筋は経過は良好と互いに矛盾した情報ですけれども、消息筋によると、金正恩委員長が手術を受けたと見られる12日には、平壌市内ではヘリコプターが離陸する様子や、金正恩委員長の専用車である1号車両の移動が目撃されたそうですから、やはり何かあったことは間違いないと思われます。




2.狙いは情報戦?

こうした報道について、21日、韓国大統領府報道官は「確認できる内容はなく、現在まで北朝鮮内部に特異な動向も捉えられていない」とのコメントを発表。

同じく21日、中国外務省の耿爽報道官も「報道は見たが、それについては分からない。情報源はどこなのか……中朝は密接な友好隣国で、共に中朝関係を絶え間なく発展させていきたい」と明言を避けました。

北朝鮮情勢に詳しい北京の専門家は「金氏が本当に深刻な状況であれば中国に通告するだろう」と述べ、15日の「太陽節」に金正恩委員長が姿を見せなかった点についても「新型コロナウイルス対策で多数の人が集まることを避けた」とコメントしています。

更に、アメリカのトランプ大統領は18日の記者会見で、金正恩委員長から「素晴らしい書簡を最近受け取った」と語るなど、重体説の真偽は今ひとつ不明です。

これに対し、19日、北朝鮮外務省報道局対外報道室長は談話を発表し、「最近、われわれの最高指導部はアメリカ大統領にいかなる手紙も送ったことはない……事実無根の内容をマスコミに流すアメリカ指導部の企図を分析する計画だ……朝米首脳間の関係は利己的な目的に利用してはならない」と反論しています。

ただ、アメリカのマスコミが報じるような情報をアメリカ政府が掴んでいない筈がありませんし、"役者"のトランプ大統領なら全て分かった上で、そうした発言をしている可能性があります。

その狙いは情報戦です。

ジャーナリストの西岡省二氏は、「米国が金委員長に関する何らかの情報をつかんでいて、それに対する北朝鮮側の反応を見極めようとした可能性もある。独裁的な最高指導者の健康異常説を北朝鮮内外に流布することによって、内部の動揺を誘い出したいという意図があるのかもしれない」と指摘していますけれども、その可能性はあると思います。

仮に、金正恩委員長が、自身の健康異常説を払拭しようとして、表に出ようとしても、武漢ウイルスが蔓延している今の状況化ではリスクが大きい。またぞろ、CG合成感たっぷりな写真を流すという手もなくもありませんけれども、そんなのは直ぐに見破られますからね。

かといって、表に出なければ出ないで、色々と噂が広がる。アメリカにとっては損にならないとても安い情報戦です。

更には、韓国と揉めている在韓米軍駐留費用絡みで、在韓米軍撤退あるいは縮小が取り沙汰されている中、北朝鮮に軍事行動を起こす力があるのかを見極める狙いもあるかもしれません。

なんとなれば、北朝鮮が韓国に攻め込むのであれば、最初はわざと攻め込ませておいて、いよいよソウルが危ないとなったときに、米軍が駆けつけるとか、いろいろやり様はあります。あるいは北朝鮮に過剰なまでの空爆を行って、その威力を見せつけることで、中国への牽制をしようという計画まで睨んでいるかもしれません。

まぁ、武漢ウイルスが猛威を振るう中、大統領選挙を間近に控えるトランプ大統領にとっては、硬軟両面で選択肢を持っておくのは悪いことでありません。


3.刺身のつま

仮に、金正恩委員長重体説が本当であり、近々に死亡するようなことにでもなれば、後継体制がどうなるかが目下の課題となります。金正恩委員長は2月に妹の金与正朝鮮労働党第1副部長を後継者に指名したとも伝えられていますけれども、トランプ大統領が武力行使を使わない「軟」を選ぶのであれば、後継体制が円満に継承されるように動くことも予想されます。

今は、重体説はただの観測レベルの報道にしか過ぎないのですけれども、21日の外国為替市場では、韓国ウォンは急落しました。

金正恩重体説で、韓国ウォンが下がるというのは、どういうリスクを嫌ったのか分かりませんけれども、筆者は、経済危機にある韓国から外資が逃げ出す理由というか「刺身のつま」にされている感じがしないでもありません。

何某かのそれっぽい報道があれば、なんでもかんでも理由にして韓国から撤退する、という訳です。

今月来月と半島で何かが起こってもおかしくないと思いますね。

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