
1.ステイホーム週間
4月23日、東京都の小池知事は記者会見で「今年もいわゆるゴールデンウィーク、大型連休が近づいてきた。しかし、残念ながらゴールデンというわけにはいきません。おうちにいて下さい。ステイホーム週間にしないといけません……とにかく家にいて下さい。人と人との接触を減らして下さい。この2週間はほんとうに大事な2週間になる……おうちにいましょう。東京にいましょう。命を守りましょう。都民や事業者とともに、この国難を乗り越えていきたい。2週間後にいい数字が出るように、共通の目標をもって、ともに頑張っていきたいと思っている。見えない敵のコロナウイルスに打ち勝っていこうではありませんか」と述べ、「4月25日から5月6日までの12日間を、『いのちを守る STAY HOME週間』として、企業の休業などや都民の外出抑制などを一層進めるための取り組みを展開していく」と引き続きの自粛を求めました。
同時に、東京、千葉、埼玉、神奈川県は武漢ウイルスの感染拡大を受け、域内の企業に対して大型連休を含む4月25日から5月6日までの12日間を連続休暇とするよう呼びかけています。
2.翔んで茨城
緊急事態宣言後、自粛が呼び掛けられ、観光地は人出が途絶えていますけれども、地域によっては首都圏の利用客が流入する店も出ています。
例えば、首都圏でありながら、先行して緊急事態宣言を出した7都府県から外れていた茨城県のパチンコ店では、18日も駐車場に100台以上集まり、「千葉」「習志野」「野田」「柏」といった千葉県ナンバーのほか、埼玉県の「大宮」ナンバーも見かけるなど、武漢ウイルス疎開現象が見られています。
パチンコ店に来た、千葉県我孫子市の男性客は「何となく来てしまった。店が閉まっていれば、それほどやりたい気持ちにはならないんだろうが」と話していますけれども、やはりここでも自制心が鍵を握るということです。
21日、新型コロナウイルス対策担当の西村康稔経済財政・再生相は記者会見で、パチンコ店を対象に休業要請の強化を検討していると明らかにしました。
西村担当相が言及したのは改正新型インフルエンザ対策特別措置法45条に基づく措置で、対象店舗に要請より強い「指示」を出したり事業者名を公表したりできるというものです。
西村担当相はパチンコ店について、緩やかな協力を求める要請をめぐり「従わないケースがある」と指摘。「ある地域であいていると、県をまたがって人が集まってくるとの報告も受けている」とも述べています。
これでは、いくら小池都知事がステイホームなどと叫んでも、「翔んで茨城」とか「翔んで帰省」とかは中々防ぐのは難しい。
政府は緊急事態宣言について、全国各地の新規感染者数などの推移を見て、地域ごとに延長するか解除するかを大型連休期間中に判断するとしていますけれども、首都圏に限っては、GW明けの解除は厳しいかもしれません。

3.国道の通行規制案
4月23日、全国知事会は武漢ウイルス感染拡大防止の提言をまとめ、政府に提出しました。
提言では、大型連休中に都道府県境を越えた人の移動を最小化するため、国が管理する道路の通行規制や駐車場の利用禁止などの特例措置を講じることや、各都道府県の休業要請に応じた事業者に支給される協力金を非課税にすることや、国による業界団体への休業協力の働き掛けなどを求めています。
徳島県知事の飯泉嘉門会長は、テレビ会議による国との意見交換会で、「国民大移動と言われる大型連休で人が接触する機会の8割低減を国とともに達成していきたい」と語り、西村康稔担当相は「緊急事態宣言から2週間経過し、いよいよ取り組みの成果が問われる時期に来ている」と強調しました。
会議終了後、記者団の取材に応じた飯泉会長は、通行規制について「通行遮断まではいかないが、注意喚起や駐車場の利用禁止など、できる範囲の手段を活用する」ことだと説明し、西村担当相は国土交通省に伝えると応じたそうです。

4.帰省するなっていうけど田植えはテレワークじゃ出来ねえんだよ
4月22日、安倍総理は「今年のゴールデンウイークにおいては、例えば、実際に帰省するのではなく、ビデオ通話を使用したオンライン帰省を行っていただくなど、外出自粛へのご協力をぜひお願いしたいと思います。今が非常に重要な時期となります。政府としても、感染拡大防止に向けた取り組みを徹底してまいりたいと思います」と述べ、ゴールデンウイークに向けて帰省などの地方への移動を控え、人と人との接触の8割削減を実現するよう、あらためて国民に協力を求めました。
けれども、そうしますと出来る人は良いかもしれませんけれども、当然ながらしたくても出来ない人もいます。例えな米もその一つです。
5月は田植えのシーズンですけれども、実家が農家の方には、GWに帰省して田植えを手伝うのが当たり前なのだそうで、政府や都府県の規制自粛要請に「帰省するなっていうけど田植えはテレワークじゃ出来ねえんだよ」とのツイートに3万超えるリツイートを集め、共感を得ているようです。
確かに田植えなど物理に人手がいる業種はなんともなりません。それこそ植物工場なりロボットにさせるなり、完全自動化が出来ないと無理でしょう。
5.そこら辺の草でも食わせておけ
もしも、武漢ウイルス対策の外出自粛で、全国が田植えの危機に瀕しているとすると、次に気になるのは、食料供給です。
世界各国でも、通常なら輸出に回すはずの農産物を国内に留めておこうという動きが出てきています。
小麦では、世界的な輸出大国のロシアとウクライナが輸出できる量に上限を設け、カザフスタンやキルギスなども制限。米は、ベトナムが輸出量を制限しています。
こうした動きを受け、4月22日、G20の農相は臨時テレビ会議を開いて、安定した食料供給の維持に努めることを確認し、「食料価格の過剰な乱高下につながり、食料安全保障を脅かしかねない不当な制限的措置が行われないよう注意する」ことなどを盛り込んだ共同声明をまとめています。
日本からは江藤農相が参加し、農産物の生産や流通が滞らないように各国が協調して対応し、感染症対策を理由にした不必要な輸出入規制を行わないよう訴えたそうですけれども、カロリーベースでの2018年度食料自給率が37%と自給率が低い日本はここの対策が俄然急務となってくる可能性があります。

農林水産省によると、国内で主要作物は備蓄されており、小麦は食用だけで2~3か月分、家畜の餌となるトウモロコシは約1ヶ月分を確保。更に今のところは日本への輸入に影響はないとしています。
ただ、輸入に影響はないといっても、それは食料制限をしていない国から多く輸入しているからだけであって、それらの国が輸出制限をしたら、日本は途端に食料不安に襲われることになります。
もしも、帰省自粛によって田植えが出来ず、米もなくなったらそれこそ「そこら辺の草」でも食わなければならなくなりかねません。
まぁ、「そこら辺の草」を食えば武漢肺炎が治る、というのならそれもアリかもしれませんけれども、流石にそういう訳にはいかないでしょう。
冗談はさておき、武漢ウイルスは、食料、エネルギーなど生きるのに必須なものを他国に頼り過ぎるのは非常にリスクがあるということを教えているように思えなくもありません。
私達も、今の生活が何によって支えられているのか、それを維持するのに支払うべきコストとは何かをもっと自覚していかなければならない局面を迎えているように思いますね。

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