
1.WHO再編
4月26日、アメリカ・ホワイトハウスのジャッド・ディア報道官は記者会見で、トランプ大統領がフランスのマクロン大統領と電話会談を行い、世界保健機関(WHO)の再編に向けて調整することで合意したことを明らかにしました。
既にアメリカは、WHOへの資金拠出を停止していますけれども、これはは「武漢ウイルスへの対応ミスと情報隠蔽」に関する調査が終わるまで続くとしています。
これについては、マイク・ポンペオ国務長官は4月22日の会見で、「中国が世界保健機関(WHO)にすぐ報告しなかった、と確信している。報告した後も、すべての情報を共有せず、危険性を隠蔽した」と中国を批判しています。
また、ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)もその前日21日にラジオのインタビューで「WHOは中国に支配され、中国のプロパガンダの道具になっている。米国は約5億ドル支払っているが、中国は4000万ドルだ……中国が影響力を持つために、別に資金を支払ったのかどうか、詳細に調査している」と述べています。
要するに「裏金」調査をしているということです。
この発言についてジャーナリストの長谷川幸洋氏は、大統領補佐官がラジオで裏金を調査中と公言したら、相手は証拠隠滅を図るに決まっているのだから、既に調べは終わっていて、それどころかその証拠すら押さえている可能性がある、と指摘しています。
筆者は4月24日のエントリー「サイバー攻撃を受けるWHO」で、WHOは3月半ば以降、激しくサイバー攻撃を受けていることを取り上げましたけれども、その中にアメリカCIAの手が伸びていてもおかしくないでしょう。
長谷川氏はアメリカで調査中と発言した意図は「握った証拠を基に、これから徹底追及するぞ」という戦闘開始宣言なのだと述べていますけれども、なるほど、そのとおりだと思います。
2.自滅した中国ウイルス外交
これに対して中国は"お得意"の裏工作で対応していることが暴露され始めています。
中国政府は、アメリカ・米ウィスコンシン州議会のロジャー・ロス上院議長に、中国のウイルス感染拡大に対する取り組みを称賛する決議案を議会に提案してほしいという依頼のメールを出したことが暴露されています。メールには御丁寧に、中国共産党がいかに素晴らしく対応したかといった論点の決議案まで添付されていたそうで、ロス議長は、これは悪戯に違いないと考えたほどだそうです。
程なく、そのメールがシカゴの中国総領事から送られてきたことが判明したため、ロス議長は「親愛なる総領事殿、ふざけるな」と返信したそうです。
また、ドイツでは、中国外交官が新型ウイルス対応でドイツ政府に対しプラスのコメントを発するよう個人的な接触を図り、ドイツ政府はそれに応じなかったことがドイツ内務省の書簡で明らかとなっています。
更にイタリアでも、中国外務省がイタリアの住民がベランダで歌い、拍手する映像を使い、「中国国歌が演奏される中、『ありがとう、中国』と声をあわせるイタリア人」と紹介した映像が実はイタリア国民が、ウイルスと闘う医師や看護師に拍手を送った様子を、イタリア紙が報じたものだと判明するなどしています。
今の所、こうした中国の情報操作は裏目に出ているように見えます。
イギリス保守党の有力議員達は、ジョンソン首相に中国に対しもっと強硬な姿勢を取るよう求め、イギリスメディアも中国への批判を強めています。更に、イギリス情報機関も中国政府からの脅威に重点的に備えると明言しています。
欧州やオーストラリアは、経済が混乱する中で中国企業が欧州やオーストラリア企業を安く買収するのを阻止すべく対応を急いでいますし、日本も中国依存のサプライチェーンの見直しに入っています。
3.アベノマスクはマスク外交を壊滅させた
ここ最近になって、品薄がつづいていたマスクが店頭に並ぶようになったといわれています。ただ、不思議なことにマスクはドラッグストアでないようなのですね。
25日、歌手の和田アキ子氏は、ニッポン放送「ゴッドアフタヌーンアッコのいいかげんに1000回」で、韓国料理店でテイクアウトをしようと列に並んだとこと、店舗には「"マスクあります"って。マスクを売ってるの」と、品薄状態のはずのマスクが販売されており、サラリーマンが並んでいたと語っています。
この現象は、一部で評判が悪かった、日本政府による布マスク、いわゆる「アベノマスク」の配布があるからだとも指摘されています。
つまり、高騰を見越して海外の倉庫に溜め込んでた転売ブローカーが慌てて出荷開始し、中国政府が行っていたマスク輸出ストップ戦略を事実上無力化したのだ、というのですね。
筆者は、4月3日のエントリー「消防士のふりをする放火犯」で、マスク買占めについて中国政府が裏で糸を引いている可能性があると述べたことがあります。
中国政府は、世界における中国の評判をコントロールしようと、各国に医療用品や医療機器を提供する、いわゆる「マスク外交」を行っていますけれども、買占めによって意図的にマスク不足を発生させることで、「マスク外交」を側面サポートしていた可能性は除去すべきではないと思います。
もっとも、中国が各国に送った医療用品や医療機器に欠陥が多かったり、中国政府高官が感染は米軍から始まったなどと責任の擦り付けを行ったりと、中国の工作には今ひとつ雑なところが目につきます。
4.中国のワクチン外交を打ち破れ
けれども、中国政府はそれで工作を諦める筈もありません。他国を敵に回してでも、ナショナリズムを強化して、自国民の気を逸らすことで、共産党独裁体制の崩壊を回避できるからです。
マスク外交に陰りの見えてきた今、中国が次に仕掛けるのはおそらく、「ワクチン外交」だと思います。
つまり、中国が開発した武漢ウイルスのワクチンを開発して世界にばら撒くことで、中国が世界を救ったのだと宣伝して、自身の責任逃れをしてくるだろうということです。
26日、香港明報は、中国人民解放軍の軍事医学研究者、陳薇所長が、前日25日の記者会見で「508人のボランティアからアデノウイルスベクターを用いたCOVID-19のワクチン接種を終え、来月、その結果が出るだろう」と全世界で初めての武漢ウイルスワクチンの第2次臨床試験が進んでいることを明らかにしました。
既に中国は、日本のフジフィルムが開発し、効果があると報告されている抗ウイルス薬「アビガン」のジェネリック薬を自国で生産し海外にばら撒いています。
「アビガン」が効果を発揮すればするほど、中国政府は、中国が供給した御蔭だと宣伝しては恩に着せ、中国批判の声を潰してこようとすると思います。なんとなれば、アビガンは日本ではなく中国が開発したのだ、という嘘を大々的に宣伝することだって在り得ます。
その意味では、日本政府が、いち早く、アビガンを世界各国に無償提供して、治験に使って貰おうというのは、中国の戦略を潰す意味でも大きいと思います。
その時、気をつけるべきは、日本がアビガンを安定的に増産、供給できることです。日本がアビガンを世界に供給できないとなれば、それこそ中国が待ってましたとばかり、その功績を横取りしてくるでしょうからね。
ただ、アビガンの原材料の一つである有機化合物「マロン酸ジエチル」は中国からの輸入に依存している状態です。例えば、ワクチン開発前にアビガンの効能が認められ、世界的に使おうとなったとき、中国が何癖をつけて「マロン酸ジエチル」の輸出をストップすることだって十分考えられます。それはレアアースの例をみても明らかです。
それどころかネットでは、中国産のアビガン原料に、中国が混ぜものして送ってきた、なんて噂まである程です。マスク買占めといい、こうしたことが普通に在り得るのが現実の世界であり、すでに戦争になっているということを知る必要があるのではないかと思います。
アビガンの原料である「マロン酸ジエチル」については、政府要請を受け中堅化学メーカーのデンカが新潟県の休止設備を稼働させ、5月に生産を始めるとし、宇部興産やカネカなども原料・原薬の供給に相次いで名乗りを上げていますけれども、中国が武漢ウイルスを利用した世界支配に対抗するためにも、日本はアビガンだけでなく、中国依存していた産品を見直し、国産化に出来るものはどんどん進めるべきだと思いますね。
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