

1.武漢ウイルスは通常呼吸や会話を通じて伝染する
4月3日、アメリカ国立アレルギー感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長はFOXニュースに対し、「新型ウイルスは咳やくしゃみだけでなく、会話をしただけでも伝染するという最新の情報がある」とマスク着用のガイドラインを変更する必要があると述べました。
これまでアメリカ保健当局は武漢ウイルスの主な感染経路は感染者のくしゃみや咳によって発生する直径1ミリ程度の飛沫だとしていました。
ところが、4月1日、米科学アカデミー(NAS)が、この問題に関する最近の研究結果をまとめた書簡をホワイトハウスに送付し、そこでは「現在入手可能な研究結果は、通常呼吸によるウイルスのエアロゾル化と整合性がある」と報告。
咳やくしゃみ以外の通常呼吸でもウイルスがエアロゾルになって出てしまうのであれば、感染リスクを下げるためにはマスクなりなんなり、やはりそれなりの対策は必要になってくるでしょう。
2.マスクの推奨を検討するアメリカ
アメリカの現行のガイドラインでは、マスクは医療従事者、病人、介護者のみが着用する必要があるとなっていますけれども、アメリカ国内ではN95マスクや外科手術用マスクが不足していて、医療従事者は1枚のマスクを複数回使用するよう、あるいはマスクがない場合はバンダナを使用するよう指示を受けているそうです。
ファウチ所長によると、ホワイトハウスの武漢ウイルス対策タスクフォースが、より幅広いマスクの使用を推奨するかどうかについて積極的に議論していると述べて、医療従事者用のマスクが十分に供給されれば、「医療現場以外でのもっと幅広い、地域全体におけるマスクの使用を推奨すること」に自分の「考えが傾く」だろうとコメントしています。
ワシントン・ポストが入手したアメリカ疾病対策センター(CDC)の内部資料 によると、普通の布製のマスクでさえ、ウイルス感染のリスクを軽減するのに役立つ可能性があるとしています。
既に、アメリカの保健当局は、すべての国民に対して外出時に顔を覆うよう推奨するかどうかを議論しているそうです。
3.「マスクで感染の抑制可能」実験
4月3日、香港大学などの研究グループは、コロナウイルスに感染した患者に協力してもらい、一般的な使い捨てマスクでウイルスが防げるか調べた実験結果を、医学雑誌「ネイチャー・メディシン」に発表しました。
通常の「かぜ」のコロナウイルスに感染した患者が一般的に使われる使い捨てのマスクをすると、ウイルスはマスクの外に出なかったとする実験結果を香港大学などのグループが発表しました。
新型コロナウイルスでも、患者がマスクをすることで感染拡大のスピードを抑えられる可能性を示しているとしています。
香港大学などの研究グループは、かぜを引き起こすコロナウイルスに感染した患者に協力してもらい、一般的な使い捨てマスクでウイルスが防げるか調べた実験結果を、医学雑誌「ネイチャー・メディシン」に発表しました。
研究グループはウイルスを検出できる特殊な装置を使って30分の間に呼吸や咳を通じて出るウイルスを調べたところ、マスクをしない患者は10人中3人で5ミクロン以上のサイズの飛沫の中にウイルスが検出されたのですけれども、マスクをした患者では11人全員から検出されませんでした。
更に、マスクをした患者では、より小さな空気中を漂うような飛沫の中からも、ウイルスが検出されなかったということです。
患者の中には咳が出なかった人もいたそうですけれども、研究グループは症状が出ていなくてもウイルスは排出されるものの、新型コロナウイルスでも、患者がマスクを着けると、感染拡大のスピードを抑えられる可能性を示しているとしています。
ここで筆者が注目したいのは、呼吸から出るウイルス入りのエアロゾルのサイズが5ミクロンだったということです。
これくらいのサイズとなると、普通の使い捨てマスクのフィルターでも十分防ぐことが出来ますし、実際、研究でもマスクをした人からはウイルスは検出されませんでした。
今回、政府は布マスクを世帯に配布すると発表しました。
一部マスコミは布マスクは目が粗いからウイルス感染予防には役に立たないと批判していますけれども、一般的な布マスクの穴の大きさは5ミクロン程度とされていますから、エアロゾルもギリギリ防ぐこと出来るかどうかくらいの大きさですし、マスクの厚みを通過するまでの距離を考えると、それなりに防いでくれる可能性はあると思います。
当面マスク不足は解消されないとも言われてます。布マスクといえども、ギリギリ、エアロゾルを防いでくれるのであれば、洗って再利用できる利点と相俟って、そこそこ使われていくかもしれませんね。
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