制限緩和する仏豪と延長する日本

今日はこの話題です。
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1.遠くない未来に緩和する


4月29日、オーストラリアのモリソン首相は、自国で行っているロックダウンや社会的距離規制ついて、「遠くない未来」に緩和することを明らかにしました。

モリソン首相は、オーストラリアのコロナ蔓延防止対策が成功しており、コロナウイルスのない経済に復帰する道を歩んでいる。間もなく規制を緩和することができるとして、「いくつかの州、準州で規制緩和が進んでいることはご存じの通りだ」と語りました。

また、「規制緩和を促進するもっとも重要なツールの一つが先日政府が発表したCOVIDSafe追跡アプリだ」とも述べています。

COVIDSafe」というのは、ブルートゥースのシグナルを利用して、位置情報は入手せず、人と人が近距離で接触した際の記録を取るアプリです。オーストラリアの保健当局者はアプリが追跡した接触データから、感染者と接触した可能性のある人の追跡が可能になるとしています。

アプリのダウンロードは任意で、政府は効果を得るために少なくとも人口の40%が参加することを望んでいるとのことですけれども、モリソン首相は、「4月29日朝の段階で既に280万回のダウンロードがあった。しかし、まだまだ何百万人もの人がダウンロードしてくれるよう望んでいる。天気のいい日に外出する場合にはサンスクリーンをつけて出かけるだろうが、このアプリも同じように外出する時は携帯電話のアプリをオンにして出かけるつもりでいてもらいたい。国民はコミュニティ・スポーツに戻りたがっている。自由な経済や社会に戻りたければ、このアプリをさらに多くの人がダウンロードすることが重要だ」と訴えかけました。

既に、オーストラリアのクイーンズランド州と西オーストラリア州は、今週から屋外で集まれる人の数を増やすなど、社会的距離を確保する規則をやや緩和する方針を示しています。

下の図は日本の新規感染者数(上段)と、オーストラリアの新規感染者数(下段)の比較グラフですけれども、オーストラリアの新規感染者は4月14日頃から低い水準で安定的に推移していることが分かります。

それに対し日本のそれは、ようやく減少傾向が見え始めた段階であり、オーストラリアに当てはめると4月5日頃の段階ではないかと思われます。
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2.ウイルスと共存していかなければならない


一方、少しの減少傾向でも制限解除に踏み出す国もあります。

28日、フランスのフィリップ首相は議会演説で、武漢ウイルスの感染拡大防止目的の外出制限を5月11日から段階的に解除する方針を明らかにしました。

フィリップ首相は武漢ウイルスの感染について、「緩やかだが縮小が確認された」と指摘。店舗休業により経済が深刻な影響を受けていることを踏まえ、「ウイルスと共存していかなければならない。いつまでも制限は続けられない」として、3月から一斉休校となっている学校は、地域や学年に応じて徐々に再開。少なくとも6月初頭まで休業する飲食店以外の店舗は、感染防止対策を取った上で営業を再開。公共交通機関を利用する際はマスクの着用を義務付けるとしています。

フランスの感染者の増加は、オーストラリアに比べると全然のレベルなのですけれども、それでも緩和せざるを得ないということはそれだけ経済的にヤバいということです。

フィリップ首相は「ウイルスと共存」と述べていますけれども、ある意味、フランスはウイルス封じ込めを諦め、集団免疫を獲得することで共存する道を選んだといえるのかもしれません。


3.緊急事態宣言は一ヶ月延長


4月29日、安倍総理は参院予算委員会で、緊急事態宣言の解除について、現状でも新規の感染者の増加が続いているとしたうえで「5月6日に『緊急事態が終わった』と言えるかどうかについては、依然、厳しい状況が続いているのだろうと思う」と、全面的な解除は難しいという認識を示しました。

また、政府の専門家会議でも、非公式会合で「全国を対象に引き続き宣言を延長すべきだ」という認識で一致。全国知事会の会合でも、東京都をはじめ、大半の知事から緊急事態宣言の延長を求める声が相次ぎ、一部の地域を解除すれば新たな人の動きが生じ感染拡大につながりかねないなどとして、政府に対し全国を対象に延長するよう求める方針を決めています。

こうした動きを受け、政府は緊急事態宣言について、対象地域を全国としたまま1ヶ月程度延長する方向で調整を進めているとしています。

冒頭で、日本の感染者の増加具合は、オーストラリアの一ヶ月遅れ、4月5日くらいの段階にあると述べましたけれども、オーストラリアが今月末になってようやく一部緩和を口にしたことを考えると、一ヶ月程度の延長というのはそれなりに妥当ではないかとも思いますけれども、同時に、日本政府は現時点ではフランスではなく、オーストラリアに倣って、解除には、ある程度以上、おそらくは一日あたりの感染者が一桁になる辺りまでを目標に設定しているのではないかと思われます。

その一方、今の緊急事態宣言の延長によって、経済的ダメージが深くなる懸念もあります。

東京商工リサーチによると、4月27日時点で、負債額が1千万円以上に達したコロナ関連倒産が31都道府県で累計100件に達し、2月は2件、3月は23件だったのが、4月に入って一気に急増しています。

もうそれ程残された時間があるとは思えません。自粛を継続し、なんとか5月中に解除されることを祈りたいですね。


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