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1.これちょっと三密だよ
昨日のエントリーで取り上げたテレ朝の「羽鳥慎一モーニングショー」とニコニコ生放送「安倍首相に質問!みんなが聞きたい新型コロナ対応に答える生放送」に関してフェイクだとの指摘がされています。
5月8日放送の「羽鳥慎一モーニングショー」ではGW明けにパチンコ店に集まる人達を取材し3密を危惧する報道をしていました。その中で3密はパチンコ店だけではなく、自民党が国会内で開いた経済成長戦略本部と新型コロナウイルス関連肺炎対策本部の合同会議が「3密」だと報じました。
番組では黒地のバックにに白抜きで「これちょっと3密だよ」の文字を映し、「これちょっと3密だよ、これ」の音声を流した後、自民党会合の模様を映したものでした。そして「多くの出席者」のテロップを出し、「会議直前には」とナレーションを入れて再び「これちょっと3密だよ、これ」と音声を流しました。
これを見ると、普通は自民党が「3密」で会議をしたかのように思います。
けれども、実は3密だよとの指摘の声は会議ではなく、取材に集まったマスコミに向けたものであったようなのですね。
会議に出席した自民党の和田政宗議員によると、「これちょっと3密だよ、これ」の声は、「私の前に座っていた議員が、会議室内で密集していたメディア記者達に対し発言したもの」だというのですね。
和田議員の指摘が本当であれば、テレ朝はフェイクニュースを流したことになります。
2.メディアの強い論調は視聴者に強く響き不安を煽ります
5月8日、テレビ朝日は7日に放送した『グッド!モーニング』の内容に不備があったとして、12日に再放送すると発表しました。
これは、件の番組で、ベルギーで医療に従事し、現在日本に帰国して診療にあたっている心臓外科医の澁谷泰介さんにインタビューし、PCR検査を増やすべきだと報じていました。
ところが、取材を受けた澁谷泰介医師が即日、自身のFacebookで「PCR検査を大至急増やすべきだ!というメッセージの一部として僕の映像が編集され真逆の意見として見えるように放送されてしまいとても悲しくなりました」と発言。これが拡散してテレ朝に批判が集まってのことのようです。
件の澁谷泰介氏のFaceBookでの指摘を次に引用します。
昨日の朝、テレビ朝日の方から取材の依頼が来て、夕方にzoomを用いたリモートでの取材という形で依頼を受けました。テレ朝の取材姿勢は全く酷いですね。結論ありきで番組を作っているとしか思えません。これでは単なるドラマや映画の世界であって報道とはいえません。
取材の依頼内容としましては、コロナウイルスへのヨーロッパ と日本の対応に関して現場の生の声を聞きたいとのことでしたので、専門家でないので一医療従事者の声としてしか答えられませんとお断りした上で取材に応じさせていただきました。
が、編集で取材内容とはかなり異なった報道をされてしまい、放送を見て正直愕然としました。
取材では、ヨーロッパ での感染状況に関して、私がベルギーから日本に戻ってきてコロナウイルスに関する診療をするに至った経緯、帰国時に感じた日本の診療体制に関する率直な意見、また日本で再度働き始めて1ヶ月ほど経って現場はどう変わったか、現在の現場の様子、日本のPCR検査への対応に関して、現在医療現場で必要とされているもの、最後に一言、という感じで40分程度質問に答える形で進んでいきました。
その中でも、PCR検査に関してはこれから検査数をどんどん増やすべきだというコメントが欲しかったようで繰り返しコメントを求められましたが、私は今の段階でPCR検査をいたずらに増やそうとするのは得策ではないとその都度コメントさせていただきました。
確かに潤沢な検査をこなせる体制というのは本当に必要な方に対してはもちろん必要です。
ただ、無作為な大規模検査は現場としては全く必要としていない事をコメントさせていただきましたが完全にカットされていましました。
(※大規模検査が必要ない理由に関しては、調べていただければ感染症や公衆衛生の専門家の方々の意見などたくさん出てきます)
カットだけならまだいいのですが、僕がヨーロッパ 帰りということで、欧州でのPCR検査は日本よりかなり多い(日本はかなり遅れている)といった論調のなかで僕のインタビュー映像が使用されて次のコメンテーターの方の映像に変わっていき、だからPCR検査を大至急増やすべきだ!というメッセージの一部として僕の映像が編集され真逆の意見として見えるように放送されてしまいとても悲しくなりました。
また、現場の生の声として、物資の手配と医療従事者への金銭面や精神面での補助に関しても強調してコメントさせていただきましたがそちらも全てカットされてしまいました。
物資の手配に関してはたくさんのコメンテーターの方が繰り返し言っているのでまだいいのですが、最前線への医療従事者の方には危険手当のような補助がないと続かないということは強く言わせてもらったつもりです。
家族などへウイルス感染を持ち込んでしまうことを恐れて1人病院に泊まったり、病院の近くにホテルやマンションを借りて自主的に隔離をしているスタッフも知っています(もちろん自腹です)。
愛する家族子供とも会えずに、身体的精神的な負担だけでも計り知れないのに、金銭面な負担までのし掛かるのは本当に残酷でしかありません。
医療者のプロフェッショナルとしての気概だけで現場を回すのには限界があると思い、そういった部分に行政などからサポートを入れて欲しいと強くコメントさせていただきましたが、全てカットになってしまい本当に悲しい限りです。
忙しい最前線の医療スタッフは取材に応じる時間も気持ちの余裕も全くないです。
僕はたまたま非常勤として働いており時間があったので現場の生の声を多くの方に知ってもらえればと思い取材に応じさせてもらいましたが、実際には生の声すら全く届けることは出来ず不甲斐ない気持ちです。
メディアの強い論調は視聴者に強く響き不安を煽ります。
情報が過剰な現在で、どうか正しい知識と情報がみなさんに行き渡って欲しいと切に思いました。
もしも澁谷泰介医師が、番組の間違いを指摘しなければ、テレ朝は謝罪も再放送もしなかったかもしれないと思うと空恐ろしさを感じます。
3.表現の自由を弾圧するマスコミ
5月8日、河野太郎防衛相は記者会見で、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」に関し、政府が秋田の陸上自衛隊新屋演習場への配備を断念する方針と伝えた各社の報道を「フェイクニュース」と批判しました。
切っ掛けは6日に読売新聞が朝刊1面で特報した「イージス、秋田候補地断念」という記事。陸上自衛隊新屋演習場への配備を政府が断念する方向で検討に入り、県内で新たな配備候補地を検討する方針だと伝えたのですけれども、これに対し7日、秋田県の佐竹知事は県庁での報道各社の取材に「政府からの連絡は全くない……まだそういう決定はしていないと言われた……国防上の機密がべらべら漏れている。ますます不信感がわく。当事者のわれわれに何も情報がないから困るんだよ」と発言していました。
ただ、この佐竹知事の「不信感が湧く」発言は報道の真偽によって、その矛先が変ります。
報道では佐竹知事が政府を批判しているようにも聞こえますけれども、それは、新聞報道が正しいという前提があって成り立つものであり、もしも、報道がフェイクであった場合は、その不信感は報道各社に向けられるべきのものです。
河野防衛相は、配備候補地について「再調査をした上でゼロベースで検討する」と改めて説明し、佐竹知事が防衛省から連絡がないと不満を示したことについては「知事はフェイクニュースに対して不信感を発言されたと私は理解している。フェイクニュースを流したメディアは知事にお詫びをしていただけるものと思っている」と述べていますけれども、当然でしょう。
河野防衛相は別のツイートで「メディアが好き勝手なことを言うのは、止められないが、記者が自分で思っていることをあたかも大臣がそう決めたなどと、勝手に報道することは許されない」と述べていますけれども、全くその通り。
ネットでは嘘の報道を罰せられる法律を作るべきだと言う声も上がっています。
まぁ、そういう手も勿論あるとは思います。おそらくそんな事をしようとすればマスコミは「表現の自由」云々と大反対の合唱をするでしょう。
河野防衛相自身「メディアが好き勝手なことを言うのは、止められない」と述べ、「表現の自由」そのものは否定していません。
けれども、メディアが「表現の自由」を謳うならば、他者の「表現の自由」も保証しなければなりません。
先に述べた澁谷泰介医師が自身への取材が真逆に捻じ曲げられて報道した、というのは、その他者の「表現の自由」を弾圧したことと同義だと思います。
河野防衛相が許されないと述べた「記者が自分で思っていることをあたかも大臣がそう決めたなどと、勝手に報道する」行為も、他者の「表現の自由」の弾圧行為だと思います。
自分の表現の自由は保証しろと叫び、好き勝手に報道しながら、「他者の表現」の自由は捻じ曲げ、弾圧する。それはダブルスタンダードです。マスコミ界がこんなことを平気でやってきたのだとすれば、それこそ「不要不急」の職業であると断じられても仕方ないと思います。
4.報道の格付け
武漢ウイルス蔓延に関して、マスコミは不安を煽り過ぎるとか批判されていますけれども、あるいは、これは視聴率至上主義というか、スポンサーを取って来る指標として視聴率が重視され過ぎている部分もあるのではないかとも思います。
確かに、過激な放送や不安を煽る放送は耳目を集めますか視聴率は高くなる部分があると思います。つまり、利益を上げるための指標に視聴率が使われるのなら、利益のために視聴率を上げねばならず、畢竟、過激な放送が増えるのはある意味必然です。
であるならば、視聴率以外の何らかの指標があり、スポンサーがそれを参考にするようになれば視聴率はそれほど重視されなくなる筈です。
たとえば、金融の格付け機関のように報道内容に対して、その結果を追跡して間違っていたときには、マイナス評価、正しかったときいはプラス評価して、マスコミ各社に対して、報道の信頼度格付けをしてそれを四半期ごとに公開するとか。
情報が広く配信普及される現在、フェイクニュースは直ぐにバレるようになっていますけれども、各企業のコンプライアンスが重視されるようになった現代であればこそ、報道内容そのものの格付けがあってもよいような気もします。
マスコミ自身の自浄作用が期待できないのであれば、市場原理によって、牽制が効くような仕組みを考えてもよいかもしれませんね。
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