WHOに圧力を掛けた中国

今日はこの話題です。
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1.武漢ウイルス賠償請求


武漢ウイルスの感染拡大に関し、中国の責任を追及する動きが拡がっています。

アメリカはミズーリ州が4月下旬、中国がウイルスの危険性や感染情報を隠したため深刻な経済的影響が出たとして、中国政府や共産党などを相手に損害賠償を求める訴訟を起こし、トランプ政権も中国に対する報復措置を検討。中国政府への賠償請求をするなどが議論されています。

また、イギリス保守系のシンクタンクであるヘンリー・ジャクソン協会は、中国当局の情報統制により、多くの湖北省武漢市民が感染に気づかぬまま春節連休前に海外へ出たことが世界的な感染拡大を招いたと指摘。経済的損失は先進7ヶ国に限っても最低4兆ドル(約425兆円)に上ると試算しています。

そして、中国政府が世界保健機関(WHO)へ十分な情報提供をしなかったことは国際保健規則に反するとして、国際社会は中国に法的措置を取るべきだと提言しています。

更に、インドも弁護士団体などが20兆ドルの賠償を求める請願書を国連人権理事会に提出。ナイジェリアでも弁護士らが、中国政府に対し2000億ドルの賠償を求める考えを表明し、トルコでも大学生が中国大使館に賠償請求の書簡を送ったと報じられています。

こうした動きは武漢ウイルスの被害が拡がるにつれ、まだまだいろんな国で広がっていくものと思われます。


2.中国の報復


これに対し中国は7日、人民日報系の環球時報は「ウイルスはいかなる国にも出現する可能性があり、どの国が最初に蔓延しようとも法的責任はない。世界的な疫病のいくつかは最初にアメリカで広まったが、アメリカに賠償を求めた国はない」とする大学教授の論評を掲載。中国外務省の華春瑩報道局長は、アメリカに対し、「有罪を推定しながら中国を調査したり、賠償を求めたりすることには断固反対する」と反発しています。

更に、12日、中国はオーストラリアの食肉大手4社からの牛肉の輸入を停止しました。

これは、武漢ウイルスの発生源について調査を求めるオーストラリア政府に対し、4月23日、駐豪中国大使が調査を要求することは、豪州産ワインやオーストラリアへの旅行のボイコットにつながりかねないと報復を警告していたのですけれども、それを実施に移した形です。

中国の牛肉輸入停止について、オーストラリアのサイモン・バーミンガム貿易・観光・投資相は、保健およびラベルの証明に関する中国側の必要事項に「ささいな専門上の」違反があったため、豪食肉企業4社の牛肉の出荷が停止されているとし、「停止がかなり専門的な問題に基づいているようで、中には1年超も前の事例も含まれていることから、懸念を抱いている……我々は、事業者ができるだけ早く通常の業務を再開することが可能となる解決策を模索するため、豪中両国の産業界および当局と協力する」と述べました。

オーストラリア放送協会(ABC)は、この食肉大手4社は、オーストラリアから中国への牛肉輸出の約35%を占めており、取引額は約17億オーストラリアドル(約1200億円)だとしています。

世界から批判を浴びている中国にしてみれば、経済的関係が深いオーストラリアを落せば、包囲網を突破できると考えているのかもしれません。


3.パンデミック宣言を遅らせてほしい


先頃、ドイツのデア・シュピーゲル誌はドイツ連邦情報局(BND)に近しい人物に基づいて報じたニュースで、中国が、WHOに、武漢ウイルスが発生した後にパンデミック宣言を延期するよう呼びかけたと伝えています。

それによるとは、「1月21日に中国の習近平国家主席が電話会談で、WHOのテドロス事務局長に、ウイルスが人から人に流行することを伝えないよう、またウイルス流行の警告を延期するよう要請した」ということのようです。

この中国からWHOの圧力が本当であれば、中国が武漢を「都市封鎖」したのが1月23日であることを考えると、どちらも同じ時期であることもさることながら、この段階で中国は武漢ウイルスはヒトヒト感染すると知っていたことになります。そもそもにして、ヒトヒト感染しないのであれば、都市封鎖自体する意味がありません。

それに対し、WHOが武漢ウイルスのパンデミックを宣言したのは3月11日。昨年12月31日に武漢で「原因不明の肺炎」が発生したと明らかになってから約70日後。武漢の都市封鎖から約48日後です。

1月21日の段階でヒトヒト感染すると知っていながら、パンデミック宣言を遅らせたとするならば、WHOは中国と共犯であり、責任を問われることは避けられません。

これに対し、WHOは10日、「1月21日当日、習主席とテドロス事務局長は電話自体をしていない……不正確な報道は新型コロナ大流行を終息させようとする全世界の努力を妨げる」とツイッターで否定しています。

WHOは報道について、不正確とコメントしていますけれども、ドイツのデア・シュピーゲル誌は、調査報道の媒体としてトップクラスの位置を占める、クオリティ・ペーパーです。

1947年ハノーバーで創刊されたデア・シュピーゲル誌は、1952年からハンブルクを本拠地として以来、ずっと発刊を続けています。読者は40歳以上の高学歴、高収入の読者が大多数で、1冊を2時間半かけて読むのだそうです。

デア・シュピーゲル誌は70人にも及ぶファクトチェッカーを抱え、ドイツ語圏では政界、官僚界、学者、知識人にとって、必読の雑誌になっているそうです。

そんなデア・シュピーゲル誌が、中国がWHOに圧力を掛けたと報じたということは、少なくともドイツの政財界や学会は中国およびWHOに疑惑の目を向けているであろうと思われます。



4.武漢で再集団感染


5月10日、武漢市政府は市内の団地に住む89歳の男性が武漢ウイルスに感染し、重症だと発表。更に翌11日にも同じ団地に住む20~80代の男女5人が発症し、うち1人が重症と発表しました。

武漢で発症者が確認されたのは4月3日以来のことで、発症者の確認を重く見た王忠林・市共産党委員会書記は「対策の見直しを進める」とし、現在市内で毎日数万件実施しているPCR検査の拡充などを表明しています。

発症者が出た団地では住民約5000人の全員検査が行われていて、武漢市民には「10日間で市民全員を検査する」との通知が届いているそうです。

また、武漢市当局は今回、発症者の出た地域の責任者を処分していて、何らかの過失や問題があったのではないかともみられているようです。

中国が、ウイルスは収束したと宣言した後での感染発覚。これは中国にとって中々厄介な話です。

なぜなら、武漢ウイルスに対する初動対応で隠蔽したと世界から批判されている中での感染発覚であるからです。

中国は隠蔽批判に対し、隠蔽していない、情報は公開していると啖呵を切って反論している以上、今回の感染に関して隠蔽は遣り難い。隠蔽しようものなら、ほらみたことか、と自分の反論を自分で潰すことになりますからね。

なにやら一周回って、武漢ウイルスに対する対応を再び問われる局面に入る可能性も感じられなくもありません。

世界各国の賠償請求と合わせて、今後の中国当局の発表と動きに注目です。


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