台湾を参加させなかったWHO総会

今日はこの話題です。
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1.透明性もって情報提供してきた


5月18、WHOの年次総会は、194の全ての加盟国が参加してのオンラインテレビ会議形式で始まりました。

会議に先だって世界の一部の国の首脳もスピーチしたのですけれども、中国の習近平主席もその一人です。

習近平主席はスピーチで、パンデミックとの闘いでより大規模な国際協力を呼び掛けた上で、「新型コロナ感染症ワクチンが中国で開発され利用可能になれば、その活用は世界の公共財とする。開発途上国がワクチンを利用できるようにするための中国の貢献だ」と語り、「中国は一貫して、透明性をもって、責任ある態度で、WHOや関係国に情報を提供してきた」と、ウイルスへの対応をめぐり、初動対応などについて非難を強めるアメリカを念頭に反論。更に、特に途上国でのパンデミックとの闘いを支援するために向こう2年間で20億ドル(約2150億円)を提供することも表明しました。

また、各国で真相の究明を求める声が上がっているウイルスの発生源について「各国の科学者が発生源と感染ルートについて研究を行うことを引き続き支持する」と述べるにとどめています。


2.WHO総会には台湾を参加させるべきだった


今回の総会では、WHOに加盟していない台湾がオブザーバー参加を目指していたのですけれども、総会の議長は、台湾の参加を提案した中南米などの14か国を含む関係各国と非公式に協議を行った結果、今年後半に再び開く予定の総会まで議論を先送りすることで支持を得られたと発表。台湾の参加は認められませんでした。

これについて、アメリカのポンペオ国務長官は、声明を発表し、「テドロス事務局長は台湾を総会に参加させるあらゆる法的な権限があり、前例もあるのに、そうせず、中国政府の圧力を受けて台湾を招かないことを選択した。事務局長が独立性を欠いたため、台湾の科学的ノウハウを総会から奪い、WHOの信頼性と有効性を損なった……台湾を黙らせる中国の悪意のある行為は、感染対策での透明性や国際協力を求める中国の呼びかけが中身がないことをあらわにし、中国と台湾の違いを今まで以上に鮮明にした。台湾は世界の模範的な市民だが、中国はウイルスの発生源などの重要な情報を与えず、研究者への接触や施設の公開を拒否している」とWHOと中国の対応を批判しました。

ポンペオ国務長官が「台湾の科学的ノウハウを総会から奪った」と指摘するとおり、オブザーバーとはいえ、台湾が参加すれば、台湾の武漢ウイルス対応の詳細は元より、台湾が主張している昨年12月にヒトヒト感染についてWHOに警告していた件についても議題になった可能性があります。

これについて、過去15年以上にWHOに勤務し、現在もアドバイザーを務めるイロナ・キックブッシュ氏は、NHKのインタビューに対し、「専門家や医者の中にはそれよりもずっと前に何かが起きていたと指摘する声もある。湖北省武漢で去年11月から12月にかけて何が起きていたのか、私たちはいまだに把握できていない。中国とWHOのやり取りには透明性が欠けていたかもしれず独立した評価が必要だ」と中国は感染が広がった経緯についてもっと明確にすべきだという考えを示しています。

もしも台湾の主張が正しければ、1月中旬まで「ヒトヒト感染の証拠はない」としたWHOの対応に批判が集まりますし、透明性をもって情報を提供してきたという中国の主張も怪しくなります。

パンデミックの最中、武漢ウイルス封込めに成功している台湾を参加させないのは、WHOの存在意義を低下させるだけにしかなりません。

WHOも武漢ウイルスに対し国際協力の強化を強調するなら、台湾を呼んでしかるべきです。


3.感染源と初動対応


武漢ウイルスの発生源調査についてはEUとオーストラリアがWHOの年次総会(WHA)に決議案を提出する動きを見せていて、既に116ヶ国からの支持を確保したことが明らかになったとロイターが報じています。

決議案はWHA参加194メンバーの3分の2の支持を得られれば提出されるのですけれども、先月、中国は、武漢ウイルス流行に対する国際調査を求めるオーストラリアの要求に強く反発していました。今回の決議にあたっても支持するとは表明していません。

まぁ、支持したら、調査を受け入れなければなりませんからね。中国としては決議案そのものが提出されないことが理想でしょうね。

ただ、総会では、習近平主席がスピーチで「各国の科学者がウイルス発生源と感染ルートの研究をすることを支持する」と述べ、WHOのテドロス事務局長も「できる限り早い適切な時期に検証を行う」と発言しているところをみると、証拠隠滅とまではいわないまでも、しっぽを掴まれないような対策を既に取っているのかもしれないと穿ってみたくなります。

もっとも、アメリカはウイルスの発生源よりも、中国の初動対策の拙さを批判していますから、既に論点がずれているかもしれません。

その意味では、やはり昨年11月、12月辺りの対応が焦点になり、付随して台湾からWHOへの情報提供についてもしっかりとした検証が必要になると思いますね。


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