2020年の外交青書は韓国に腰砕けになったのか

今日はこの話題です。
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1.2020年版外交青書


5月19日、茂木敏充外相は持ち回り閣議で2020年版外交青書を報告しました。

外交青書は、外務省によって作成されている日本の外交の記録を綴った白書の一種で、「青書」と呼ばれているのは、外交青書を作成し始めた当時、参考としたイギリス議会の外交委員会の報告書の表紙が青色であったことに由来します。

外交青書は毎年発行され、原則、昨年1年間を総括するものなのですけれども、今回は冒頭で武漢ウイルス感染症に触れ、「グローバル化により、国境を越える人の移動が飛躍的に増加し、流行・伝染の脅威も深刻さを増している」と指摘しています。

その他、今回は昨年の2019年度版で削除した北方領土の法的立場に関し「わが国が主権を有する島々」と表現しており、また、日韓関係でも、2018、2019年版では削除した「韓国は重要な隣国」との表現が復活しています。

この「韓国は重要な隣国」との表現が復活したことについて、ネットでは「官僚が勝手に入れたんじゃね」とか「ダメだこりゃ」といった嘆きの声も上がっています。

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2.韓国は重要な隣国


2020年版外交青書で、韓国についてどのように記述されているかについて、外務省のサイトで公開されている、目次と要旨を拾うと次の通りです。
〇令和2年版外交青書:目次

第2章 地球儀を俯瞰する外交 

アジア・大洋州
1 概観
2 朝鮮半島
3 中国・モンゴルなど
4 東南アジア
5 南アジア
6 大洋州
7 地域協力・地域間協力


〇令和2年版外交青書:要旨

【3 中国・韓国・ロシアといった近隣諸国外交】

〈韓国〉
韓国は、日本にとって重要な隣国であり、日韓両国は、1965 年の国交正常化の際に締結された日韓基本条約、日韓請求権・経済協力協定その他関連協定の基礎の上に、緊密な友好協力関係を築いてきた。

しかし、2019 年は、前年に続き、旧朝鮮半島出身労働者問題に関し韓国が依然として国際法違反の状態を是正していないことを始め、日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)の終了通告(ただし、後に終了通告の効力を停止)、慰安婦問題に関する「和解・癒やし財団」の解散に向けた動き、韓国国会議員などによる竹島上陸や竹島における軍事訓練、竹島周辺海域における韓国海洋調査船の航行、東京電力福島第一原発の処理水に関する韓国側による非建設的な問題提起など、韓国側による否定的な動きは止まらず、日韓関係は厳しい状況が続いた。

このような中、日韓間では、12 月には、1年3か月ぶりとなる日韓首脳会談を実施したほか、頻繁に外交当局間の協議を行った。
確かに「韓国は重要な隣国」の表現が復活しています。


3.過去の外交青書


では、過去の外交青書ではどう表記されていたのか。

2019年版は次の通りです。
〇2019年版外交青書
 
ア 日韓関係
(ア)二国間関係一般

2018年は、旧朝鮮半島出身労働者問題に関する韓国大法院判決、韓国政府による「和解・癒やし財団」の解散方針の発表、韓国国会議員による竹島上陸、韓国主催の国際観艦式において自衛艦旗の掲揚をめぐり日本の艦艇が不参加を余儀なくされた事案、韓国海軍艦艇から自衛隊機に対する火器管制レーダー照射事案など、韓国側による否定的な動きが相次ぎ、日韓関係は非常に厳しい状況に直面した。

その一方で、3回の日韓首脳会談、8回の日韓外相会談を行い、日韓間の困難な問題について日本の一貫した立場に基づき、韓国側に適切な対応を求めるとともに、北朝鮮問題について、日韓、日韓米で緊密に連携していくことを確認した。
2019年版と2020年版を比較すると、2020年版も記載内容そのものは殆ど変らず、2020年版は、「韓国は、日本にとって重要な隣国であり、日韓両国は、1965 年の国交正常化の際に締結された日韓基本条約、日韓請求権・経済協力協定その他関連協定の基礎の上に、緊密な友好協力関係を築いてきた」が冒頭に追加されていることが分かります。

更に、2018年版は次の様になっています。
〇2018年版外交青書 

(2)韓国
ア 日韓関係
(ア)二国間関係一般
日韓両国の連携と協力はアジア太平洋地域の平和と安定にとって不可欠である。また、日本と韓国は北朝鮮問題への対処を始め、核軍縮や不拡散、平和構築、貧困等の地域や地球規模の様々な課題についても連携・協力してきた。今後も、政治、経済、文化などあらゆる分野において、様々なレベルで意思疎通を図り、相互の信頼の下、日韓関係を未来志向の新時代へと発展させていく。

北朝鮮による核・ミサイル能力の増強が、日本及び国際社会に対するこれまでにない、重大かつ差し迫った脅威となる中、北朝鮮問題に関する日韓、日韓米の連携が今までになく重要となっている。2017年9月3日の北朝鮮による核実験や度重なる弾道ミサイル発射を受けて、日韓両国は首脳・外相間で速やかに電話会談を実施し、日韓・日韓米の緊密な連携を確認した。

2017年5月に文在寅政権が誕生した後、7月にはドイツ・ハンブルクで、9月にはロシア・ウラジオストクで日韓首脳会談が行われた。また、12月19日から20日まで康京和(カンギョンファ)外交部長官が就任後初めて訪日し、河野外務大臣と日韓外相会談を実施した。

2018年2月9日、平昌オリンピック開会式に出席するため平昌を訪問した安倍総理大臣は、文在寅大統領と首脳会談を行った。安倍総理大臣から文在寅大統領に対し、日韓合意は最終的かつ不可逆的な解決を確認したものであり、国と国との約束は二国間関係の基盤であるとの日本の立場を明確かつ詳細に伝えるとともに、未来志向の日韓関係を作り上げていかなければならない、との認識を共有した。北朝鮮問題については、安倍総理大臣から文在寅大統領に対し、対話のための対話には意味がないことを、はっきりと伝えた。また、両首脳は、北朝鮮にその政策を変更させ、北朝鮮の側から対話を求めてくるよう、日韓米の緊密な連携の下、圧力を最大限まで高めていくことで一致した。
こちらは2019年、2020年と比べてずっと分量が多くなっています。2018年と比べると2019年、2020年は随分あっさりした表現です。


4.一昨年ほどではない


ここで、外交青書で韓国に触れた部分について文章構成を見ると一定のパタンがあることが分かります。それは、両国関係の前提と前年の経過報告、そして今後の見通しについて述べている点です。

例えば、2020年版外交青書で中国について述べた部分では次のようになっています。

中国との関係の前提:日本にとって最も重要な二国間関係の一つ
2019年の経過報告 :首脳・外相を含むハイレベルでの対話が活発に行われた
今後の見通し   :習近平主席の国賓訪日は改めて調整していく。東シナ海での中国の振舞いは認められない。

2018~2020年の外交青書における韓国についての記述を同様に整理してみると、次の通りになるかと思います。

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2019年は、日韓関係の前提も今後の見通しも削除されていたのに対し、2020年は、日韓関係の前提こそ復活したものの、今後の見通しは削除されたままです。

2018年の外交青書では、日韓関係の前提も今後の見通しも記載されていたことを考えると、今年の外交青書は昨年よりは歩み寄ったものの、2018年には届いていない記述となっていると思います。


5.価値観も戦略的利益も共有しない


今年の外交青書で「韓国は重要な隣国」との記載が復活しましたけれども、それが日本にとってどのように重要なのかについては一定の疑問があります。

というのも、今年の外交青書要旨の「2 日本外交の展開//①日本外交の基軸である日米同盟の更なる強化」に次のように記述されているからです。
2 日本外交の展開
世界の安定と繁栄を支えてきた基本的な価値に基づく国際秩序が様々な挑戦を受ける中で、日本は、各国との連携を図りながら、従来以上に大きな責任と役割を果たさなければならない。

《中略》

①日本外交の基軸である日米同盟の更なる強化、

日米同盟を基軸として、インド、オーストラリア、EU や英国、フランス、ドイツなどの欧州主要国を始めとする戦略的利益を共有する各国との枠組みや、東南アジア諸国連合(ASEAN)を含むインド太平洋の地域協力など、同盟国・友好国のネットワーク化を推進し、引き続き地域の平和と繁栄に主導的な役割を果たしていく。
「日本外交の展開」の中で、「基本的な価値に基づく国際秩序の中で日本は大きな責任と役割を果たす」とした上で、戦略的利益を共有する各国として挙げた国々の中に韓国は入っていません。

一方、オーストラリアに関する部分では「日豪両国は基本的価値と戦略的利益を共有する特別な戦略的パートナーとして、安全保障、経済、地域情勢など、あらゆる分野での重層的な協力・連携を一層深化させている」と記載しているのですね。オーストラリアに対しては、はっきりと「基本的価値と戦略的利益を共有する」と表現しています。

これらからも明らかなように、今年の外交青書でも、韓国は価値観は元より戦略的利益すら共有していないと宣言しているのですね。

こういった前置きがあった上で「韓国は重要な隣国」と表現されても、白々しいというか、どこまで意味があるのかと首を捻ってしまいます。

筆者は、今年の外交青書での韓国に対する記述は「そちらが頭を下げてきたら話を聞いてやらんこともない」という「受け身」の態度になっている印象を受けます。


6.やる気のない外交青書


その受け身であっても、今年の青書では「韓国は重要な隣国」との表現が復活したのはどういう意図があるのか。

これは単なる筆者の穿った見方にしか過ぎないのですけれども、米中対立がその背景にあるのではないかと考えています。

というのも、アメリカが中国に仕掛けている「中国包囲網」の一環として、韓国をブルーチーム側に留めておけるものなら留めておきたいという意思があり、それが日本にも協力要請として伝えられているのではないかということです。

アメリカが中国包囲網を仕掛けているとすると、当然行うべきは中国の孤立化です。其の為には中国の味方を減らしていく戦略を採ることになります。

現在、アメリカは、台湾にテコ入れしては、台湾を中国から引き剥がそうとしていますけれども、韓国については積極的に引き剥がそうとしないまでも、レッドチーム、所謂中国陣営に入れさせないようにしているようにも見えるのですね。そのため、韓国を完全に孤立化させるところまでは望んでおらず、畢竟、日本に少し韓国に窓口を開けて置けと内々に要請しているのではないかということです。

何故かここ数日、急に韓国で元慰安婦支援団体の問題が持ち上がっていますけれども、韓国にしてみれば日本に歩み寄らせる圧力になりますから、これもアメリカにとっては、好ましい動きでしょう。

まぁ、日本にしてみれば、迷惑この上ない要請になるのですけれども、ある意味、アメリカの顔を立てる意味で「韓国は重要な隣国」とだけ記した"やる気のない"外交青書になったのかもしれませんし、そう期待したいところです。



7.勝手に遠ざからせよ


ただ、韓国はああいう国ですから、「韓国は重要な隣国」との表現が復活したのを見るや、「日本が折れた」と急に上から目線で、「じゃあ通貨スワップしろ」だの「ホワイト国に戻せ」だの、「入国規制を撤廃しろ」だの、何だの要求してくることも考えられます。

けれども、日本は、これ以上韓国に関わり合いになるのが嫌なのであれば、アメリカを顔を立てつつ、韓国を遠ざけるように立ちまわってもよいのではないかと思います。

其の為にはどうすればよいか。

一番波風が立たないのは、韓国側から遠ざかっていただく方法です。

文在寅政権が反日であるのは今に始まったことではありませんけれども、文政権は、何かと日本のアクションに対するリアクションというか、報復的な政策を採る傾向があります。

日本が韓国をホワイト国から除外すれば、対抗して日本をホワイト国から除外しましたし、また、日本が韓国からの入国制限強化措置を採ると即座に日本からの入国制限措置を取りました。

日本への対抗意識なのか、日本に何かされるのが我慢ならないのか分かりませんけれども、これを利用すればよい。

例えば、これまでの韓国の日本に対する狼藉にたいして謝罪を求めるといったことです。

それこそ一昨年の空自機への火器管制レーダー照射や、旧朝鮮半島出身労働者問題など、枚挙に暇がありません。

今年の外交青書でも、「旧朝鮮半島出身労働者問題」、「GSOMIAの終了通告」「慰安婦問題に関する『和解・癒やし財団』の解散に向けた動き」、「韓国国会議員などによる竹島上陸や竹島における軍事訓練」、「竹島周辺海域における韓国海洋調査船の航行」、「東京電力福島第一原発の処理水に関する韓国側による非建設的な問題提起」が、韓国側による否定的な動きとして取り上げられています。

これら含めて全て謝罪して、国際法違反を解消しろ、そうすれば、話を聞いてやらんこともない、という具合に突き放してやれば、韓国は怒り狂って、自爆的な報復措置を取って勝手に遠ざかってくれるのではないかと思います。

まぁ、全部いっぺんにやってしまうと、その反動で反日暴動だとか、在韓邦人が人質にされる可能性もあるので、少しづつ小出しでもいいかもしれませんけれども、撃たれっぱなしよりは、正当な反撃をして、向こうから勝手に離れていくように仕向けてよいのではないかと思いますね。


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この記事へのコメント

  • 韓国は昔から日本の外交白書に神経とがらせてたからな
    おそらくアメリカの要請だとは思うが、これで中韓に楔を打ち込めたら
    御の字程度の認識ではないかな
    アメリカも日本も韓国が完全にブルーチームに戻るなんて毛頭思ってない
    ただ迷いを生じさせて、そこに中国のリソースを割かせるだけでも意味がある
    2020年05月21日 08:50

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