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1.移動の自粛緩和
6月18日、安倍総理は、首相官邸で記者会見を開きました。
安倍総理の冒頭発言、4334文字のうち85%に当たる3664文字は、政府の武漢ウイルス対応実績と対策に充てられ、残り15%は憲法改正と安全保障に関するものでした。
会見の模様と全文は官邸のサイトで公開されていますけれども、概略を筆者なりに整理すると次の通りになろうかと思います。
〇コロナ実績と対策これに対し、記者らの質疑を箇条書きにすると次のとおりです。
・クラスター対策は、社会経済活動と感染拡大防止を両立させる有効な手段
・接触確認アプリを導入、人口の6割近くにアプリが普及し、濃厚接触者を早期の隔離につなげることができれば、ロックダウンを避けることが可能
・明日から都道府県をまたぐ移動も全て自由
・検査能力の拡充が必要
・テレワークが一気に普及した。新たな潮流を加速していく
〇憲法改正と安全保障
・憲法改正条文のたたき台に緊急事態条項を含む4項目を示している
・イージス・アショアは配備のプロセスを停止する
・安全保障戦略は徹底的に議論していきたい
〇記者質疑武漢ウイルスに関する質疑は殆どありません。これは、記者達の関心は既に武漢ウイルスにはないということを示しています。けれども逆にいえば、政府の武漢ウイルス対応は非常に上手くいったということでもあると思います。
・河井夫妻逮捕について
・東京五輪
・衆院解散
・憲法改正
・拉致問題
・イージスアショア
・海外とのビジネス往来
・総裁任期
・ポスト安倍
・敵基地攻撃能力
・財政への不安。プライマリーバランスの黒字目標
・在韓日本人の退避について
ブラジルのように、ひたすら感染拡大が続いているのなら、武漢ウイルスに関する質問と批判の嵐になっていたことは間違いありません。
2.接触確認アプリ
けれども、現実を見ると、武漢ウイルスの新規感染者が無くなった訳ではなく、東京都でも連日新規感染者が報告されています。
安倍総理は会見で、オックスフォード大学の研究結果を引き合いに出し、接触確認アプリが人口の6割近くに普及し、濃厚接触者を早期隔離できれば、ロックダウンを避けることが可能と述べました。
これは、オックスフォード大学のクリストフ・フレイザー教授のグループが発表した研究論文で、論文ではアプリで感染者の効果的な追跡を行うアイデアについて、数理シミュレーションを用いて検証した上で、濃厚接触者の感染確認から隔離の期間を短くすることが感染拡大を防ぐ上で効果があるとしています。
試算では、「人口の56%またはスマホユーザーの80%がアプリを使用すれば、エピデミックを防ぐことができる」としています。
けれども、政府の令和元年版 情報通信白書によると、現在日本でスマホの個人保有率が64.7%しかなく、全員がこの接触確認アプリを使ったとしても8割には届きません。
ただ、8割にならないと、効果が出ないという訳ではありません。
オックスフォード大学研究チームの広報担当アンドレア・スチュワート氏によると、「もっと低い普及率」で「接触者の保護効果が表れ始める」と述べています。
下の図はロックダウン解除後の新規感染者増加のオックスフォード・モデルですけれども、普及率が48%とか28%でもそこそこ効果が出ることを示しています。
ただ、普及率が14%程度では何もしないのと殆ど変らないので、出来れば42%くらいまでは普及させたいところです。
3.公衆衛生とは信頼を築くことだ
ただ、本当に、このアプリが普及するのかどうかは、民度というか、国民の意識に掛かっています。
セキュリティ企業のAviraは、アメリカの18歳以上の2005人を対象に濃厚接触を通知するアプリの利用意向について調査を行いました。
その結果、アプリをダウンロードしないと選択した人は実に71%にのぼり、ダウンロードすると答えた人は29%に留まったことが分かりました。
「なぜダウンロードしないのか」という問いに対し、44%の人が「デジタルプライバシーを保護する技術を信頼していないから」と答え、プライバシーへの懸念が理由になっています。
その一方で、「ダウンロードする」と答えた人でも、アップルやグーグル、マイクロソフトといった大企業が提供するからこそプライバシー面で安心できるからだとの答えで、結局政府の信頼度が低いことには変わりありません。
接触アプリの効果をシミュレーションしたオックスフォード大学のフレーザー教授は「公衆衛生とは信頼を築くことだ、と我々は知っています……では、データが永久に共有されると知っている人々が信頼できる環境を、どのように作ればよいでしょうか? 人々はデジタル空間で見られる、データの悪用と同じことが起こらないのかと恐れています。データの建設的な使用を奨励する一方で、どのように悪用を止めたらよいでしょうか? これは明らかに重要な分野です。情報を共有すれば、良い方向へ進む力は増しますが、それにはフレームワークが必要です」と指摘していますけれども、正にこの政府への信頼が感染拡大防止の鍵を握るということです。
その意味では、ともすれば、政府を何でもかんでも批判し、貶め続ける野党やマスコミ、アベガーな人達は、武漢ウイルスの蔓延の片棒を担いでいるかもしれないことを注意してもよいのかもしれません。
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