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1.中国で大規模な洪水
中国の南部で洪水被害が発生しています。
6月になり雨季に入った中国南部では連日豪雨が続き、広西チワン族自治区、広東省、福建省、浙江省、江西省、湖南省、貴州省、雲南省など8つの省で少なくとも52本の河川の水位が警戒水位を超えて洪水が発生。多くの農地や家屋が冠水し、行方不明者も多数出ています。
広西チワン族自治区では32万人以上が被災。桂林市陽朔県をはじめとする複数の町や村落が冠水しました。
更に広西チワン族自治区、湖南省、広東省、雲南省の一部地域で洪水や都市型水害、地滑りが発生しています。
今月の大雨による洪水と地滑りにより、多くの家や道路、作物が被害を受けているそうなのですけれども、地元住民は、当局は援助等何もしていないと述べています。
2.三峡ダム
豪雨は中国南部だけではありません。
6月16日以降、中国南部、中部と西南部で豪雨が継続的に降り続き。17日には四川省のカンゼ・チベット族自治州丹巴県の13ヶ所以上で土砂崩れや地すべりが確認され、梅龍発電所と阿娘溝発電所が、土石流によって崩壊、一部の村が飲み込まれました。
中国のネットでは、四川省などの水害で各地の小型ダムが決壊すれば、湖北省宜昌市にある三峡ダムは崩壊する可能性があるとの声が上がっています。
三峡ダム建設に関わったドイツ在住の水利専門家の王維洛氏は、大紀元の取材に対して、「三峡ダムが崩壊すれば、宜昌市や湖南省岳陽市から、長江の入り江に位置する上海市まで、甚大な被害をもたらす……峡谷が形成されたのは、この地域の地盤が弱いからだ」と述べています。
三峡とは、この地域にある「瞿塘峡」「巫峡」「西陵峡」の三つの渓谷の総称で、古来より詩文にうたわれた風景や古建築が三峡周辺に散在しています。三峡は「瞿塘峡は雄大、巫峡は秀麗、西陵峡は奇絶で険しい(瞿塘雄、巫峽秀、西陵奇)」と評されるほどです。
三峡地域には瞿塘峡・巫峡・西陵峡のような険しく幅の狭い峡谷の部分と、広くなだらかな寛谷の部分があるのですけれども、これは地質の違いによるもので、三峡の峡谷部分は石灰岩が多く、風化には極めて強いものの水には溶食されやすく、水の流れる部分だけが深く削られていきます。
つまり、三峡は自然の力で出来上がったものであり、それゆえ脆いということです。
3.グレーリノ
王維洛氏は、三峡ダムの建設に伴い、多くの住民が新しい町へ立ち退かされた。新しい団地の大半は、山の斜面や山の上に建てられており、耐震補強工事が施されていないうえ、今は土石流に飲み込まれる恐れがあると指摘しています。
また、中国水利部の葉建春次官は6月11日の記者会見で、「中国は全面的に洪水期に入った。計148本の河川で警戒水位を超え、洪水が発生している……一部のダムに決壊のリスクがある……対応基準を超える洪水が、今年のブラック・スワン(予想外の出来事)になりうる」と警告しています。
これについて、王維洛氏は、葉次官が口にした「ブラック・スワン」とは三峡ダムに大きな問題が起きることだと分析した上で、三峡ダムが建設される前から、毛沢東を含む最高指導部の高官や専門家がその危険性を指摘していることから、そのリスクは「ブラック・スワン」ではなく、大問題に発展する確率が高いのに、軽視されたリスクを指す「グレーリノ(灰色のサイ)」だと指摘しています。
筆者は、三峡ダムの決壊リスクについて、3月27日のエントリー「Sに備えよ」で、三峡ダムが湾曲していること、建設には数多くの問題があったこと、建設当時から10年保たないだろうと言われていたことなどを取り上げ、警戒すべきだと述べていましたけれども、そのリスクが増々高まってきたように思います。ちょっと危ないかもしれませんね。
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