
1.アメリカ有力シンクタンクの報告書
7月23日、ワシントンの有力シンクタンク「戦略国際問題研究所(CSIS)」は「日本における中国の影響力」と題する調査報告書を作成・公表しました。
報告書はトランプ政権が中国の対外的な影響力工作や政治宣伝への対応を任務として新設した国務省の「グローバル関与センター」の支援を得て作成されたものです。
内容は、日本の対中政策がどのように形成されるのかをテーマに、中国の統一戦線工作部などの諸機関が日本に対してどのように影響力を行使してどのような結果を得ているのかなどについてのものです。
約50ページの報告書はCSIS研究員やニューヨーク大学教授を歴任した国際政治学者のデビン・スチュワート氏が中心となり、日本、アメリカ、中国などの専門家約40人への面接調査や広範な情報、資料を基に、約2年をかけて作成されました。
2.安倍総理側近を「対中融和派」と名指し
この報告書については、既にメディア等で報じられていますけれども、取り分け、親中派とされる自民の二階幹事長と安倍総理側近である今井尚哉氏・総理補佐官について名指しで言及されていることに注目が集まっています。
たとえば、二階幹事長については次のように指摘されています。
・二階は自分の故郷にある動物園のためにパンダを5頭も中国から買ったことがある。2019年4月には、安倍首相の特使として習近平と会談し、アメリカにはアメリカの意見があるにもかかわらず、日本は「一帯一路」に協力すると提唱した。また、今井尚哉首相補佐官に関しては次の通りです。
・二階は、習の国賓訪日を主張した。同時に長年にわたり、日本の中国に対する巨額の政府開発援助(ODA)の供与を求めてきた。
・日本の対中援助関係は、中国への影響力の始まりだとも捉えられている。自民党の二階幹事長は、習近平の国賓招聘や一帯一路を擁護し提唱するだけでなく、かねてから対中対外援助を擁護してきた。ODAとは、OECDによって「開発途上国の経済発展と福祉を促進することを主たる対象とする政府援助」と定義されている。
・首相補佐官で経済産業省官僚だった今井尚哉は、ビジネス的立場から、中国や中国のインフラプロジェクトに対する姿勢をよりソフトにするよう、安倍首相を説得してきた。もう思いっきり指摘されていますね。
・今井は二階とともに強力なグループを形成していて「二階今井派」とも呼ばれている。
・北村の盟友である経済産業省出身の今井尚哉補佐官は、日本の安全保障戦略の一環として経済問題を提起してきた重要人物である。
※筆者注)北村とは北村茂・国家安全保障局長、内閣特別顧問と指すと思われる
特に閣僚でも党三役でもない首相補佐官である今井氏を二階氏と並べて名指しで指摘しているところは、安倍政権の対中政策について、二階幹事長と同等の重みづけをしているということもであり、相当警戒されているということだと思います。
3.警戒される親中派
それ以外にも、報告書には、森まさこ法相に関しても記載があり、「アリババの創設者であるジャック・マーが3月2日に日本の自民党の親中幹事長である二階俊博に100万枚のマスクを送ったとき、日本の法務大臣森まさこは『ありがとう、ジャック』とツイートした上で、彼女はジャック・マーを『友達』と呼んだ。そして彼女は『ジャック・マーと12月に深い会話』を交わしたと自慢した」、「この賞賛は、日本の右翼の小説家である百田尚樹氏(Japan's right-wing novelist Naoki Hyakuta.)からの批判を受けた」と報告しています。
森まさこ法相への百田氏の批判は3月3日の「誰や、このバカは!こんなんが法務大臣やってんのか。情けないで」ツイートのことだと思いますけれども、わざわざ百田氏の批判まで取り上げているところに、親中派へのアメリカの目線が感じられます。
更に、報告書では、創価学会と公明党が一貫して親中路線を歩んできたことについても詳述していて、創価学会が親中路線をとる理由について、創価学会・公明党の日本の防衛や日米同盟の強化に反対する「消極的平和主義」の路線が中国側の期待に一致することなどを挙げています。
がっつり調べています。
報告書では、今後アメリカと中国が「冷戦」へ向かうし、「日本は二大国の間で微妙な歩みを続ける」と指摘しています。
特に、報告書で名前が挙がった二階幹事長、今井補佐官や公明党などは、トランプ政権からマークされている筈で、今後、スキャンダルがあれば勿論のこと、何か切っ掛けがあれば、やり玉に挙がる可能性は否定できません。
安倍内閣、おそらくは、その次の内閣でも親中派は相当、トランプ政権に警戒され、下手をすれば敵認定されかねないことをも考えておくべきかもしれませんね。
この記事へのコメント
ニック(元祖)
最近のアメリカ政府の考えは日本のネトウヨの考えとかなり近いと思う。
アメリカ政府は日本のネトウヨに乗っ取られたのか?
あるいは、アメリカ政府は日本のネット右翼の発言をチェックしたり、参考にしたりしているのであろうか?