河野防衛相と石破元幹事長の戦略レベル

今日はこの話題です。
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1.アメリカ閣僚の台湾訪問


8月6日、台湾の行政院は、アメリカのアザー厚生長官が9日から台湾を訪問すると発表しました。

アメリカの閣僚級の台湾訪問は6年ぶりで、アメリカ厚生省は台湾と外交関係を断絶した1979年以来、最高位の高官だとして「歴史的な訪問でアメリカと台湾の関係を強めたい」と強調しました。

アザー長官は、今回の台湾訪問で蔡英文総統らと会談する他、陳時中衛生福利部長や感染症専門家とも意見を交わし、対策本部にあたる中央感染症指揮センターも訪れて、この分野でのアメリカと台湾の協力関係を強化するとしています。

アザー長官は「台湾の感染対策での指導力に対し、トランプ大統領の支持を伝えたい……アメリカと台湾は独裁的な体制とは対照的に、医薬品などの分野で世界の進歩に寄与できる」として、名指しは避けながらも、思いっきり中国を牽制しています。

アメリカは一昨年、米台間で相互の高官の往来を促進する「台湾旅行法」を成立させており、、今回の訪問についても米台関係の強化の一環だとしていています。

次々と中国に圧力を掛けています。


2.力による現状変更を試みる者は高い代償を支払う


8月7日、河野太郎防衛相はCNNの単独インタビューに応じ、南シナ海の現状を変更しようとする中国の試みについて、国際社会から厳しい対応を招く可能性があるとの認識を示しました。

河野防衛省はインタビューで「力による現状変更を試みる者は全員、高い代償を支払うことを余儀なくされる必要がある」とし、中国が南シナ海の砂州や岩礁を埋め立てて作った人工島について国際秩序の促進や維持につながらないとの見方を示しました。

中国がこの人工島の一部に、ミサイル部隊や戦闘機、爆撃機を配備していることについて、河野防衛相は「安定を損なう動きだ……他のあらゆる地域と同様、南シナ海においても自由で開かれた海洋秩序が重要であり、そこで起きる出来事は国際社会の関心事項となる」と明言しています。

これは、アメリカからみれば非常に分かりやすい明確な発言で、日本は中国の周辺国への侵略を許す積りはないのだな、と受け取るのではないかと思います。

これは多少穿った見方かもしれませんけれども、河野防衛相は次期総裁選、次期総理を睨んで自身の外交ポリシーをアメリカメディアに語った部分もあるかもしれません。

というのも、河野防衛相はアメリカの対中政策の本気度を見極め、トランプ政権に沿った考えを持っていることを明快にしたのではないかということです。

筆者は、アメリカの対中強硬姿勢は本物であると見ているのですけれども、であるが故に、アメリカは自分の立場がブルーチームであることをハッキリさせない次期総理候補は好まないのではないかと思うのですね。

なにせCSISの報告書で親中派の二階幹事長、今井補佐官を名指しで警戒心を顕わにしているのです。当然、日本の次期総理候補の発言はチェックしているものと思われます。

その意味では、河野防衛相のCNNインタビューの発言は安倍政権の姿勢を示すのみならず、自身が総理を目指す上での布石にもした面があるのではないかと思います。


3.日本は米中二者択一の立場取らない


一方、自分がブルーチームだと明言しない総理候補と目される人もいます。石破氏です。

7月3日、石破氏は、日経新聞主催のイベントで講演を行い、日本はアメリカと中国のいずれか二者択一の立場は取らないとし、日米同盟を両国の関係が対等なものに見直す必要性を強調するとともに、中国に対して領土の拡張を許さないことが重要と述べました。

これについて石破氏は6月1日放送のフジ・プライムニュースでも述べています。

ただ、この放送での石破氏の受け答えを見る限り、何をしたいのかが全く見えてきませんでした。

尖閣周辺での中国公船の挑発への対応についても「急迫性の武力攻撃ではないから自衛権の対象ではないかもしれないが、一般の警察権の対象でよいのかというグレーゾーンだ」と発言していますけれども、河野防衛相の「高い代償を支払うことになる」という意見と較べると、グレーいいところです。

また、習近平"総書記"の国賓来日問題についても、「日本は民主主義国家の外交として、当然尖閣の話も、香港についても内政干渉にならないように、言うべきことは言う。嫌中論の話ではなく、国民支持のもと中国に言うべきことは言う。一方で外交儀礼として国賓待遇で迎える。それとこれは話が別」と述べています。

けれども、あくまでもそれは日本の都合であって、中国に通用するとは思えません。言うべき事をいって変わるような中国であれば、今こんなことになっていません。

アメリカは「言うべきことは言う」では埒が開かないと悟ったからこそ、対中圧力に切り替えたのです。にも関わらず石破氏の認識がこれなのであるとすれば、周回遅れどころではありません。

認識のレベルで河野防衛相とは何段階も差を付けられているのではないかと疑う程です。


4.世界観も政策もない石破氏


プライムニュースでの石破氏の発言は、やはり、疑問を提示したり、議論が必要だというばかりで、構想がまったく見えてきません。

尖閣防衛についても自衛権で対応するのか、警察権の対象なのかとか、戦略の階層でいえば、今ある資源(法体制)でどう戦うかという「軍事戦略」という上から4番目のレベルの話をしています。

その他のコメントも似たり寄ったりで、石破氏から世界観や政策の話がでることはありませんでした。

それに対し、河野防衛相の「力による現状変更を試みる者は全員、高い代償を支払う」発言は、戦略の階層の上から二番目の「政策」階層の発言であり、石破氏のそれより二段上の見解を示しています。

日本における中国の影響力と名指しされた親中派」でも述べましたけれども、アメリカ国務省の支援を得て作成された「戦略国際問題研究所(CSIS)」の報告書で、中国からの影響を受けているとして二階幹事長と今井補佐官を名指しされています。

それを考えると、当然トランプ政権も、日本の次期総理候補の考えや発言をチェックしていると思われます。

アメリカ側からみれば、石破氏は何を考えているのか分からない人物と思われるでしょうし、下手をすれば、石破氏は米中を両天秤に掛けて美味しい汁を吸おうとしているのではないかと警戒感を抱かれるかもしれません。

その意味では、このタイミングでCNNのインタビューを受け、「力による現状変更を試みる者は全員、高い代償を支払う」発言をした河野防衛相は少なくとも、トランプ政権の心象を良くしたことは間違いないと思いますね。


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この記事へのコメント

  • 暇工作

    総理なる事が全てであろう石破茂氏に戦略と呼べるものがあるのだろうか?
    その点で、河野太郎氏と比較するのは酷な事ではなかろうか。
    2020年08月10日 14:04

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