委任統治に移行する北朝鮮

今日はこの話題です。
画像

 ブログランキングに参加しています。よろしければ応援クリックお願いします。



1.事実上のナンバー2



8月20日、韓国の国家情報院は国会の情報委員会で、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長が、実妹の金与正党第1副部長をはじめ、党や内閣、軍の幹部に権限の一部を委譲する「委任統治」を行っているようだとする見解を明らかにしました。

説明を受けた議員によると、対南・対米事業を始め、国政全般で金正恩委員長の権限を最も多く譲られた人物は金与正氏で、委譲対象の案件では、与正氏が幹部らから中間報告を受けて正恩氏に伝え、正恩氏から直接指示を受けているそうです。

国家情報院側は与正氏を「事実上のナンバー2」と報告していますけれども、全ての報告が一旦与正氏を経由するとなれば、その通りといっていいと思います。

その他、経済は朴奉珠党副委員長と金徳訓首相、軍管理は崔富日党軍政指導部長、武器開発には李炳哲党中央軍事委員会副委員長がそれぞれ総括する構造だと述べたようです。

彼らのうち軍の管理を担う崔富日氏以外は、全員テクノクラート(専門官僚)出身です。

国情院は金正恩氏の健康に異常はみられず、与正氏が後継者に決まったわけではないと分析した上で、権限移譲の理由として「金正恩氏の統治ストレス軽減」と「政策が失敗した場合の責任を他の誰かに押し付けるため」という見方をしているとのことです。

確かに、米朝首脳会談でミソを付けた後は、対北朝鮮制裁と武漢ウイルスで、北朝鮮の経済はガタガタになっていると言われていますから、住民の不満が金正恩氏に向かわせないようにする必要があるというのも理解できます。


2.委任統治に移行する北朝鮮


けれども、過去北朝鮮でこの種の「委任統治」が過去に行われたことはありません。金日成主席以降、誰にもその権限は与えられませんでした。

金正日総書記は腹違いの兄弟を粛正し、ナンバー2と囁かれた部下は直ちに排除しました。そして、金正恩氏も叔父と腹違いの兄を処断しています。

その北朝鮮で、委任統治が行われるの本来在り得ないことです。

それにも関わらず、金正恩氏が主要な権限を委任するとは一体北朝鮮に何が起こっているのか。

実際、金正恩氏は2011年12月の執権以降、ずっと全権を握っていました。建設現場を視察しても、「雑草を抜け」とか「内装材を変えろ」とか細かい指示を出すやり方でした。

勿論、このようなやり方は、健康上の問題などで金正恩氏の統治活動が中断することになれば、意思決定者の不在により北朝鮮の「国家機能」自体が麻痺するとして多くの専門家たちが危険性を指摘してきました。

その意味では、権限の一部を移譲して委任統治形式に以降すること自体は悪いことではありません。


3.いつもの北朝鮮ではなくなっている


この韓国国家情報院の報告について、21日現在、北朝鮮は特別な反応は示していません。

その一方、北朝鮮は国内で党幹部らの自己批判を宣伝しています。

党中央委員会全員会議で金正恩氏が異例の経済失敗を認めたと報じられた翌日、労働党機関誌の労働新聞1面は、党と政府の高官らが「経済失敗」の原因を自らに帰し、改めて忠誠を誓う寄稿文で埋まりました。

これらは、経済失敗を認めた金正恩氏の権威に傷が付くのを避けるため、事前に計画された措置とみられているのですけれども、韓国の元情報機関関係者は「今年、北朝鮮の最大の関心事である労働党創設75周年を祝うほどの成果がみられない状況で、住民の期待を下げようとする措置が始まったようだ」との見方を示しています。

委任統治といい、失敗を認めることといい、どうも、「いつもの」北朝鮮ではないように見えます。

ここ最近は金正恩氏の「健康異常説」や「死亡説」までもが広がっていますけれども、やはり筆者はこれまで述べてきたように既に金正恩氏は死亡していて、金与正氏が事実上のナンバー1として統治しているのではないかと見ています。

既に、全ての報告が一旦与正氏を経由する形であれば、その上の正恩氏がいてもいなくても統治としては成立しますからね。

ただ、本当に死亡していたとして、何らかの理由で北朝鮮がそれを隠していたとしても永遠に隠すことは出来ません。

北朝鮮は来年1月に、父の金正日総書記すら一度も開催しなかった労働党大会を開催するとしています。

或いはその時に金正恩氏の死去を発表し、与正氏が後を継ぐと宣言するのかもしれません。

そうだとすれば、今年一杯は金与正氏の党内権力固めと国内安定に注力する可能性も考えられます。


  twitterのフリーアイコン素材 (1).jpeg  SNS人物アイコン 3.jpeg  カサのピクトアイコン5 (1).jpeg  津波の無料アイコン3.jpeg  ビルのアイコン素材 その2.jpeg  

この記事へのコメント


この記事へのトラックバック