再自粛は必要か

今日はこの話題です。
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1.独自の緊急宣言


7月31日、東京都の小池知事は定例記者会見で、武漢ウイルスの感染者数が更に増加し、医療提供体制が逼迫した場合、「都独自の緊急事態宣言を発することも考えざるを得ない」と述べ、宣言発令時には、業種や地域を絞った休業要請を検討する考えも示しました。

小池知事は「一刻の猶予も許されない」と、酒類を提供する飲食店とカラオケ店に対する営業時間の短縮要請や、繁華街への夜間外出自粛などに理解を求め、モニタリング指標が現在よりも厳しい状況になった場合、休業要請の可能性はあると述べました。

ただ、先日の緊急事態宣言時のような広範囲の要請はせず、「業種や地域はピンポイントに、戦略的に進めたい」と説明しています。


2.日本全体が感染の火達磨に陥っていく


ピンポイントで絞った休業要請については医師会も提言していました。

東京都医師会の尾崎治夫会長は7月10日の記者会見で、「夜の街」に学生や会社員などが行き「知らないうちに感染が広がって、その方々が周囲に感染を広げていると考えている……ホストクラブだけが街の構成ではない。ほかの飲食店、クラブ、キャバレーなどが隣り合って存在する。地域を限定して、補償を伴う休業要請をし、2週間なら2週間休んでいただく。その間に私どもも協力するので、できる限りPCRを徹底的にやっていくことが今の段階では必要なのではないか」と、補償付きの休業要請を行うよう提言していました。

ですから、小池都知事のピンポイントの休業要請は東京都医師会の提言に沿ったものであるともいえます。

ただ、都医師会の低減から都知事の会見まで半月程度のタイムラグがあります。当然その間、ウイルスが寝ている筈もなく、感染拡大は続いてしまう訳です。

7月30日、東京都医師会は30日、記者会見を開き、感染拡大防止に向けて国が金銭的な補償を伴う休業要請を行い、応じない場合は罰則を適用できるよう、新型コロナ対応の特別措置法の改正を政府に求めていく考えを示しました。

尾崎会長は「良識のある国会議員のみなさん、コロナに夏休みはない。国会をひらき、国がすべきことを国民に示し、国民、都民を安心させてほしい……休業のお願いという形のままだと日本全体が感染の火達磨に陥っていく。国が特措法を改正することが全国の火種を消す唯一の方法だ」と早急な対応を訴えました。

尾崎会長は、感染が集中している地域向けの施策として、「休業補償を伴う強制力のある休業要請を地域限定で14日間ほど行う」、「その地域で集中的にPCR検査を実施し、無症状者も含めた感染者の洗い出しと対策を徹底する」ことなどを提言していますけれども、平たくいえば、4月5月の緊急事態宣言による半ロックダウンを、地域を絞って行うということです。


3.今やれば余計に混乱する


では、国は法改正についてどう考えているのか。

西村康稔経済再生担当相は1日までに時事通信のインタビューで、特措法などの改正を検討するかと問われ、次のように答えています。
―特措法などの改正を検討するか。

 内閣法制局とも話している。早い方がいいものもあれば、落ち着いて議論すべきものもある。特措法を使える道があっていい。落ち着いて検討すべきだ。

 他方、休業命令や罰則は検討を急ぎ、改正するかどうか考えたい。

 国と自治体の関係も整理すれば、相当いろんな議論になる。今やれば余計に混乱する。各知事が適切に判断できるようにするのが私の仕事だ。


 ―休業要請と補償のセットは。

 実態から言えば、事実上の補償は既にやっている。持続化給付金や雇用調整助成金、地方創生臨時交付金でかなりの部分をカバーできている。技術的に難しいし、世界の主要国でも例がない。
今やれば余計に混乱するという答えを見る限り、今すぐ法改正するというニュアンスは感じられないですね。また補償についても、今でもかなりの部分をカバーしていると答えていますから、これ以上の補償云々は期待できないと思います。

要するに現状では自粛要請する以外のことは出来ないということです。


4.死者数は抑え込んでいる


その自粛とて既に緊急事態宣言下で一度国民は頑張っています。あれだけ苦しい思いをして頑張ったのにも関わらず、結局元の木阿弥ともなれば、国や都への信頼低下は避けられません。そうなれば、仮に次の自粛要請があったとしても、従わないところも出てきてもおかしくありません。

毎日のようにマスコミが新規感染者が増えたと報じていますから、いかにも4月5月のときのような感染拡大になっているようにも見えなくもありませんけれども、新規感染者以外にも目を向けるとまた違った面が見えてきます。

先頃、東京都は、今年6月までに武漢ウイルスに感染して亡くなったことが確認された人についての分析結果を公表しました。

それによると、今年6月までの陽性患者6225人のうち、亡くなったことが確認されたのは325人で、死亡率は5.2%。亡くなった人全体の平均年齢は79.3歳でした。

亡くなった人のうち、20代は1人で全体に占める割合は0.3%、30代は1人で0.3%、40代は5人で1.5%、50代は16人で4.9%、60代は32人で9.9%、70代は93人で28.6%、80代は113人で34.8%、90代は61人で18.8%、100歳以上は3人で0.9%です。

やはり巷で言われているように、武漢ウイルスで亡くなる方は70代以上が多く、全体のおよそ83%を占めています。

ネットなどでは「寿命じゃないか」とか「自粛の必要ないじゃん」とかいう声も上がっています。

下の図は、2月から7月末までの武漢ウイルス新規感染者と死亡者数の推移を表したグラフですけれども、緊急事態宣言を出していた4月5月は、感染者が増えるにつれ、死亡者数も増えていました。

ところが、7月以降は新規感染者が激増しているにも関わらず、死亡者数は殆ど増えていません。つまり死者数では見事に抑え込んでいる訳です。

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5.死亡者の火達磨にはなってない


7月31日、菅義偉官房長官は記者会見で、足元の感染状況について「大事なのは重症者の数ではないか。東京都の重症者はピーク時には105人だったが、31日は6人減って16人だ。陽性者をできるだけ早くホテルなどに隔離し、感染を防止していくことが大事だ……3、4月と比較すると入院や重症化する割合が低い。総合的に判断すると、現時点で緊急事態宣言を再び発出し、社会経済活動を全面的に縮小する状況にはない」と述べています。

筆者も同じ意見です。

東京都医師会の尾崎会長が主張する「休業のお願いという形のままだと日本全体が感染の火達磨に陥っていく」というのは、「感染」という意味ではその通りだとは思いますけれども、それは、「重症化の火達磨」や「死亡者の火達磨」とイコールではありません。

7月31日に厚労省は、武漢ウイルス感染症が流行した1~4月に、過去の統計から予想される死者数を上回る死者が確認される「超過死亡」が、5都県で最大138人発生したと発表していますけれども、4月末時点の武漢ウイルス死者数は400人以上で、超過死亡者数を上回ったものの、それくらいで収まっています。

外出自粛などの要因で交通事故による死者などが大幅に減ったことを差っ引いたとしても、現時点で武漢ウイルスは「死亡者の火達磨」になってはいません。

都による感染者の分析結果でも死亡者割合が高いのは、現役を退いた高齢者です。であるならば、経済活動の主体を担う現役世代においては過度の自粛は必要ないのではないかと思いますね。


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この記事へのコメント

  • mony

    Yahooのリンクにあるコロナ最新状況を見ると
    https://hazard.yahoo.co.jp/article/20200207
    現在感染者数は1.2万人で4月~5月を超えています。
    しかし、下の方にある
    人工呼吸器装着数の推移というリンクがあり、
    ここには、
    「全国の新型コロナウイルス感染者のうち、人工呼吸器が必要な重症患者数の推移を表記しています。数値は、日本集中治療医学会専門医認定施設、日本救急医学会救急科専門医指定施設を中心に日本全国600以上の施設が参加する横断的ICU情報探索システムに蓄積されたものです。」
    とあります。このグラフを見ると直近で見ると100件未満です。全国でです。
    マスコミが煽るほど酷い状況ではないと思うのですが。
    個人的意見ですが騒いでいる人はポジショントークなのではないかな・・・
    マスク・手洗い・うがいはやってますがね。
    2020年08月03日 22:11

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