二分割される情報の海とスパモフラージュ

今日はこの話題です。
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1.クリーン・ネットワーク


8月5日、アメリカのポンペオ国務長官は「Clean Network」プログラムの立ち上げを発表しました。

これは、中国共産党などの悪意ある攻撃者から国民とアメリカ企業を守るトランプ政権の包括的なアプローチで、アメリカアメリカの重要な電気通信および技術インフラを保護するためのものです。

Clean Networkは次の5つで構成されます。
1)Clean Carrier:中国の通信キャリアをアメリカの通信ネットワークに接続させない。既にアメリカ連邦通信委員会(FCC)にChina Telecomを含む中国4社への米中間のサービス提供の認可取り消しを要請

2)Clean Store:アメリカ・モバイルアプリストアであるGoogle Play StoreやApp Store等からTikTokやWeChatなど中国製アプリを排除

3)Clean Apps:Huaweiなどの中国メーカー製スマートフォンへのアメリカ製の信頼できるアプリのプリインストールあるいはアプリストアからのダウンロードの阻止

4)Clean Cloud:Alibaba、Baidu、Tencentなどの中国企業のクラウドにアメリカのデータを保存させない

5)Clean Cable:グローバルなインターネットに接続する海底ケーブルの中国からの侵害の阻止
要するに、中国製のハード、ソフトを点んアメリカ国内から排除し、また外部からも接続させない。情報面の永久追放とも言えるものです。

ポンペオ国務長官は「クリーンな要塞を構築することで、すべての国の安全が確保される……自由を愛する全ての国と企業に参加を呼び掛ける」と世界中の政府にこのプログラムへの参加を求めていますから、遠からず日本にも具体的な要請がされるのではないかと思われます。


2.情報の海には中国とアメリカを受け入れる十分な空間がある


この措置に中国は反発。

8月6日、中国外務省の汪文斌副報道局長は記者会見で「非常識で汚いやり口だ。……国家権力を乱用して中国のハイテク企業を弾圧している。断固反対する」と批判した上で、アメリカは情報流出など具体的な証拠を何も示していないと反論しました。

また、人民日報系の環球時報は6日の論説記事で、「ポンペオ氏は反中国の発言をほぼ毎日繰り返すとともに、中米の対立を激化させ、トランプ政権の中国への強硬姿勢を示すための策略を常に用いてきた……長期的な視点で見ると、アメリカの情報産業が中国市場から完全に切り離されることが可能だとは考えられない……アメリカの半導体やソフトウエア、端末機器が中国市場に適合しなくなった場合、アメリカ企業に厳しい試練をもたらすことになる」と警告しています。

実際、ファーウェイやTikTokを運営するバイトダンス、ドローンメーカーのDJI、人工知能(AI)の北京昿視科技(メグビー)や商湯科技開発(センスタイム)、科大訊飛(アイフライテック)、監視カメラの海康威視数字技術(ハイクビジョン)、電子商取引のアリババ・グループなど、世界最先端の技術を持つ中国のハイテク企業が、市場へのアクセスを失いつつある状況です。

このように顔真っ赤にして怒り狂っている中国ですけれども、その中国は2017年11月、中国の習近平"総書記"がトランプ大統領との共同記者発表で「太平洋には中国とアメリカを受け入れる十分な空間がある」と発言しています。

つまり、米中で世界を二分しようと胸を張ったくせに、いざ情報の世界を中国とそれ以外に二分しようとアメリカが動いた途端、この様です。

なんとなれば、「情報の海には中国とアメリカを受け入れる十分な空間がある。アメリカの他にも広大な海原が拡がっている」とでも言い返してもいいのではないかと思いますね。


3.スパモフラージュ


この程、YouTubeは中国のアカウントの多数を組織的な政治的影響力の行使に従事していたとして削除したことが明らかになりました。

4月から6月の四半期における中国アカウントの削除は2596件と、2020年の最初の四半期の削除の227件から急増しています。

Googleは「削除されたチャンネルがアップロードしていたのは主として非政治的コンテンツだったが、一部のコンテンツが中国の政治に関連していた……新型コロナウイルスが中国で発生したものでないなど、中国側主張に対するアメリカの反論に関連したものも含まれていた」と分析しています。

また、AIを活用してソーシャルメディア詳細分析を手掛けるGraphika社は最近「スパモフラージュ・ドラゴンの復活:中国擁護スパムネットワーク再び仕掛ける」と題したレポートで、中国の世界的なプロパガンダ攻勢の一環として今年の初め頃から多数のスパムアカウントがYouTube、Facebook、Twitterなどのソーシャルメディア上で活動を始めていたと述べています。

そして、「スパムネットワークは中国政府を擁護するチャンネルでビデオ画像を大量に使っていた。また中国語、英語の双方で長文の非政治的記事を掲載していた。バスケットの試合や風景、モデル画像、TikTok動画など無害な非政治的コンテンツの間に政治的記事が埋め込まれていた。つまり政治的スパムをカモフラージュしようと意図した行動と考えられる。そこで"スパモフラージュ"と名付けた」とその手口を明かしています。

確かに、こんなステルスマーケティングまがいのプロパガンダをネットで展開していたともなれば、アメリカが「Clean Network」を立ち上げるのも分かります。

今、オーストラリアがこれまでの路線を変え、はっきりと対中強硬路線に転じていますけれども、今後、中国の"サイレントインベージョン"が暴露され、世界に広く認知されていくとすれば、対中包囲の流れは増々強くなっていくのではないかと思いますね。


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