
1.石破人気は無党派層の中だけ
9月8~9日、共同通信は自民党総裁選の全国電話世論調査を行いました。
次期総理に「誰がふさわしいか」と尋ねたところ、菅義偉官房長官が50.2%でトップ。石破茂元幹事長が30.9%、岸田文雄政調会長が8.0%となりました。
これまで各種世論調査で軒並み石破氏がトップだったのに、この結果。世論の石破人気とは何だったのか。流れは一気に菅官房長官に流れています。
この世論調査は支持層別でも行われていて、自民党支持層だと、菅官房長官が67.3%、石破氏が21.4%、岸田政調会長が7%。無党派層では菅官房長官が28.8%、石破氏が37.6%、岸田政調会長が8%となっています。
この調査を見る限り、石破人気とは無党派層の中での話であって、自民党支持層や全体に均してみると、人気でも何でもなかったということです。

2.地方票も世論調査どおり
毎日新聞は総裁選に関し、各都道府県連幹部や国会議員を取材して、地方票141票の動向を記事にしています。
地方票は。47都道府県連に各3票が割り当てられているのですけれども、44都府県連が、党員に郵送投票を求める「予備選」を実施。内、36府県が得票数に応じて3票を割り振る「ドント方式」を採用し、7都県が最多得票者が3票全てを得る「総取り方式」を採用します。
総裁選について石破氏は、党員投票を行うべきだと主張していましたけれども、44都府県連が予備選挙を行うのですから、十分党員投票を行っていると言えます。
しかもその大半がドント方式なのですから、まぁ党員の各候補への支持がかなりストレートに見えてくるといってよいと思われます。
件の毎日新聞の記事によると、地方票は、義偉官房長官が過半数の71票を上回り、80票を超える勢いで、石破氏は30票弱、岸田文雄政調会長は10票あまりを確保した模様です。
3候補の地方票の獲得割合を見ると、菅氏、石破氏、岸田氏で67:25:8.3となり、これは、先に取り上げた共同通信の世論調査における自民党支持層の3者への支持の割合である
67.3:21.4:7にかなり近い数字になっています。
つまり、ほぼ毎日の世論調査(自民支持層)の通りに地方票が流れていくだろうということです。

3.総裁選「3番手」なら党内生命の危機
総裁選は、主要3派閥からの支持を取り付け、地方票でも過半数を抑えている菅官房長官の圧勝が見込まれている状況であることから、永田町の関心は石破、岸田両氏のどちらが2位になるかに移っています。
両陣営には「最下位に沈めば、今後の政治生命が絶たれる」という危機感があり、それゆえ、地方票の取り込みに躍起になっているようです。
特に大差の最下位になってしまうと、もう勝てない候補だとレッテルを貼られてしまい、の総裁選で支持を得られるどころか、別の候補にすべきだとの声すら出てきかねません。
党内の支持では、岸田派47名、石破派19名とは岸田氏が上。菅氏を推す主要派閥は軒並み「石破嫌い」ですから、石破氏へ国会議員票が流れる見込みはほとんどありません、
他方、地方票では、毎日の取材の通りであれば、岸田氏10票、石破氏30票と石破氏が逆転しています。
両者の派閥票と地方票を合わせると、岸田氏は57票、石破氏が49票と拮抗することになりますから、やはり、地方票をどれだけとるかが焦点になってきます。
自民党のベテラン議員は、「大差の3位に終われば岸田氏は窮地に立つ。石破氏を嫌う首相サイドが岸田氏に票を回すのではないか」と漏らしているそうですけれども、その可能性は否定できません。
岸田、石破両候補の基礎票が、自派閥票+地方票とすれば、最終得票から引き算すれば、菅陣営から岸田氏に票を回したかどうか大体分かるのではないかと思います。
筆者は石破氏について、「世界観も政策もない」とこれまで何度かの記事で述べていますけれども、それに加えて、昨日のエントリーで取り上げたように、語る言葉さえ「石破構文」で何も話さないのであれば、支持する理由を見出すことは殆ど不可能ではないかとさえ思います。
14日投開票の自民党総裁選、2位争いに注目です。
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