菅政権の親中と親台

今日はこの話題です。
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1.穏やかな雰囲気で実現できるよう心から願う


9月17日、自民党の二階幹事長は石破派が都内で開いたパーティーで講演し、日中関係について、「中国とは長い冬の時代があったが、今や誰がみても春を迎えている。私が3000人の訪中団を率いたのがきっかけだ」と述べ、習近平主席の「国賓」来日について、「穏やかな雰囲気で実現できるよう心から願う。中国は引っ越しのできない隣人だ。仲良く手を組み、お互いに共通のことを考える国柄となるよう、切磋琢磨すべきだ」と発言しました。

その一方、中国の「香港国家安全維持法」施行や中国海警局の武装公船が連日、尖閣諸島周辺海域に侵入していることについて触れる事はありませんでした。

あからさまなほどの中国配慮というか媚中と言われても仕方ないほどの発言に見えます。

ただそれでも、習近平主席の国賓来日を「穏やかな雰囲気で」、「願う」といっているところを見ると、今は世論はとても「穏やかな雰囲気」ではなく、「願う」レベルであって、政府として何か進んではいないと認めている訳で、逆にいえば、これら条件を満たさなければ迎えることは出来ないという意味だと捉えることも可能だと思います。


2.菅総理にスガる習近平


9月16日、中国の習近平主席は、菅新総理に向けて「双方は新時代の要求に合致した中日関係の構築を積極的に推し進めるべきだ……長期的に安定し友好的に協力する中日関係を発展させることは、両国民の根本的利益に合致する」と祝電を送りました。

また、李克強首相も同じく、菅総理に祝電を送り、「中国は日本とともに、各分野での友好交流と実務協力を強化し、両国関係の一層の発展を推し進めたい」と表明しました。

この習近平主席の祝電について、評論家の石平氏は極めて異例なことだと指摘しています。

というのも、中国の主席は国家元首であり、日本の総理のカウンターパートではない為、祝電を出すことはないのだそうです。

実際、過去の野田政権、第一次安倍政権では、当時の温家宝首相が祝電を出していました。

石平氏は中国は祝電のみならず、菅総理就任を大きく報じていることも紹介し、その狙いについて、対米外交、対EU外交で行き詰り、四面楚歌に陥っている状況を打破するための「菅縋り」であることと、安倍総理が構築した日米豪印による対中包囲網(クワッド)、すなわちダイヤモンド・セキュリティーから日本を離脱させようとする2つがあると指摘しています。

これを踏まえてみると、冒頭に取り上げた二階幹事長の親中発言も、この習近平政権からのラブコールへの返事ではないかと思いますね。




3.二階幹事長さえ留任してくれればよいのだ


9月12日、自民党総裁選公開討論会で、菅総理は「アジア版NATOは反中包囲網にならざるを得ない。戦略的に正しくない。日米同盟を基軸としてアジアの国々としっかり付き合うのが大事だ。中国にはハイレベルの機会を活用し主張すべき点はしっかり主張する」と発言したのですけれども、石平氏によると、中国はこの発言に注目し、対中包囲網を打開するために日本を引き込もうとしていると述べています。

中国政府は、安倍前総理の次の総理が誰になるかについて左程気にしていなかったそうです。

ジャーナリストの近藤大介氏によると、自民党総裁選の最中、ある中国の外交関係者は「菅義偉新首相が誕生しそうだということよりも、その際に二階俊博幹事長が留任するだろうことが大きい。極論すれば、日本の次の首相が誰になろうと、二階幹事長さえ留任してくれればよいのだ……安倍首相は、二階幹事長の進言を聞かず、対中強硬外交に走った。だが菅新首相は、『後見人』の二階幹事長の声を無視するわけにはいかないだろう」と語っていたというのですね。

このように中国政府は二階幹事長が留任したことで、菅政権について「楽観視」していました。

ところが、その楽観は菅総理の組閣によって、無残に打ち砕かれました。

岸信夫新防衛相の就任です。


4.日本が公式レベルで台湾との関係を強化しないことを希望する


岸防衛相は、台湾の故・李登輝元総統とは長年にわたって親交があり、8月9日には、森喜朗元首相とともに、李元総統の弔問のため、台北を訪れ、その際、蔡英文総統にも面会しています。

2015年、蔡英文総統が来日した際のエピソードとして、ある首相官邸関係者は「蔡英文氏の宿泊先を、首相官邸から一番近いザ・キャピトルホテル東急に決めたのも岸信夫氏だった。10月8日昼、ホテル特別室のランチの場に、岸氏は安倍首相を連れてきた。日台合わせて10数人のランチだったが、安倍首相が自分がいかに台湾ファンかを熱く語ったりして、大変盛り上がった」と述べています。

安倍政権の7年8カ月、安倍総理が中国を担当し、弟の信夫氏が台湾を担当するという具合に役割分担していたのが、今回菅政権で閣僚、しかも防衛相として前面に出てきた訳です。

菅総理が、岸氏を防衛相に抜擢した理由について、安倍政権時代の官邸関係者は、「安倍前首相に気を遣うと同時に、同盟国アメリカのトランプ政権に、『安倍政権の継承』を示すためだ。このところのトランプ政権は、『台湾シフト』を鮮明にしており、今後は日本にも役割を求めてくる。そうした日米台の連携に、最もふさわしいのが岸氏の起用だったというわけだ」と述べていますけれども、まぁ、誰が見てもそうでしょう。これはそのまま中国に対する強いメッセージです。

当然、中国もこのメッセージを受け取っています。

16日、中国外務省の汪文斌報道官は会見で、岸防衛相についての中国の見解を問う質問に日本が公式レベルで台湾との関係を強化しないことを希望すると、実に分かりやすい反応を見せています。

また、中国の「環球時報」は翌17日付の記事で、岸防衛相について取り上げ、「岸信夫は、二つの点において注目に値する。第一に、岸信夫は日本の政界において著名な『親台派』である。現在まで、岸信夫は日本の国会議員の親台団体である「日華議員懇談会」の幹事長を務めている。第二に、岸信夫は何度も靖国神社を参拝している。2013年10月19日、岸信夫は靖国神社を参拝したが、これは兄(安倍首相)の代理で参拝したと見られている。安倍晋三本人も、2013年12月26日に参拝している」と警戒感を顕わにしています。



5.何かの機会にまたお電話でもお話しができればいいな


更に菅総理は、人事だけでなく、自ら台湾へアプローチを始めています。

9月18日、先々月死去した李登輝元総統の弔問のため、森喜朗元総理が台湾に行ったのですけれども、前日の17日、菅総理は森元総理に電話し、「蔡総統をはじめ台湾の人々によろしく伝えてほしい」と頼んだほか、「何かの機会にまたお電話でもお話しができればいいな」と蔡総統との電話会談の実現に期待を寄せたそうです。

森喜朗元首相率いる日本の弔問団は台湾入りした18日夕、台北市の総統府で蔡総統と会談したのですけれども、その席で、森元総理は、菅総理から電話があったことに言及した上で、蔡総統の電話会談を望む菅総理の考えを明かしました。

これを台湾の中央社が報じると、ほかの台湾メディアも一斉に伝えたのですけれども、報道陣から関連の質問を受けた張報道官は、「現段階で台日双方は電話会談の手配をしていない」としつつも、交流の深化や、両国の国民に有益な取り組みを共同で進めていくことに期待を示しました。

これについて、先に取り上げた、評論家の石平氏は「これは重大な意味を持つニュース。もし菅首相は中国からの圧力を度外視して蔡英文総統に電話をかけていれば、それこそは歴史的壮挙、日本のアジア外交が踏み出す重要な一歩だ。私は昨日配信の石平の中国深層分析では、中国のラブコール攻勢に菅首相がどう対処するかを心配したが、単なる杞憂か」とツイートしています。

党内の幹事長に二階氏を続投させながら、閣内に岸防衛相を据えて、さらに台湾にアプローチする。菅総理、流石安倍政権で7年8ヶ月も官房長官を務めただけのことはあります。中々老獪です。

菅総理は、得意でないと言われる外交について、総裁選の討論会で「外交問題は相談しながら進めていく」と述べていますし、安倍前総理も読売新聞のインタビューで「菅政権を支えるのが私の仕事だ。要請があれば、色々助けたい」と語っています。

外交で安倍前総理のサポートを受けることは、そのまま安倍政権の継承を行うことの証明であり、メッセージになります。

菅政権がどのように安倍外交を継承していくのか。注目です。


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