マスコミの傲慢と黄昏

今日はこの話題です。
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1.何がニュースかは自分たちが決める



6月11日、トヨタの定時株主総会の壇上で、豊田章男社長は2021年3月期決算の業績見通しに絡んで、マスコミの傲慢を批判しました。

その中で、豊田社長は「ロバの話」を持ち出してマスコミを批判しました。件の発言は次のとおり。
ロバを連れながら、夫婦二人が一緒に歩いていると、こう言われます。『ロバがいるのに乗らないのか? 』と。

また、ご主人がロバに乗って、奥様が歩いていると、こう言われるそうです。『威張った旦那だ』。

奥様がロバに乗って、ご主人が歩いていると、こう言われるそうです。『あの旦那さんは奥さんに頭が上がらない』。

夫婦揃ってロバに乗っていると、こう言われるそうです。『ロバがかわいそうだ』。

要は『言論の自由』という名のもとに、何をやっても批判されるということだと思います。

最近のメディアを見ておりますと『何がニュースかは自分たちが決める』という傲慢さを感じずにはいられません
トヨタは、2021年3月期決算の業績見通しとして、武漢ウイルスの影響で各社が挙って赤字見通しを連発する中、驚きの5000億円の黒字予想を出しました。

発表の当日、豊田社長には、いろんな方が「よく予想を出しましたね」とか「感動しましたよ」などと好意的な声を掛けたそうなのですけれども、マスコミ各社は「トヨタの今期営業利益、8割減の5000億円」、「トヨタ衝撃『8割減益』危機再び」などと報じました。

その結果、報道翌日には「トヨタさん大丈夫」、「本当に大丈夫なの」と心配の声に一転。豊田社長は「一晩明けたときの報道の力に、正直悲しくなりました」と述べています。


2.あまりにもアンフェアだよ


この豊田社長の発言に対し、「すき家」や「ココス」などを展開する外食チェーン大手・ゼンショーホールディングスの代表取締役会長兼社長の小川賢太郎氏は「豊田さんの気持ちは理解できる……民主主義国家である以上、それぞれのメディアが変な忖度をせず、自由に報道すべきなのは大前提です。しかし企業側の感覚からすると、メディアの取材を受けても、『こちらの真意がきちんと伝わった』と思えることはめったにありません。たとえば、テレビであれば10分の取材を受けても、都合のいい10秒だけが切り取られて放送されることもある。『それは、あまりにもアンフェアだよ』という気持ちは、僕が知っている多くの経営者が持っています。豊田さんは、日本を代表する企業のトップとして常に矢面に立ってきたから、なおのことでしょう。企業の責務として山ほど社会貢献をしてもほとんど報じてもらえない一方、ほんの少しでもヘマをすれば、『それ見たことか』と鬼の首をとったように書きたてられる。経営する側も人間ですから、苛立たないほうがおかしいのです」と同情的です。

こうしたマスコミの姿勢に見切りをつけたのか、2019年、豊田社長は自ら肝いりで自社メディア「トヨタイムズ」の運用を開始しました。

トヨタイムズでは、豊田社長の対談動画や株主総会の一部書き起こし記事まで、ずらりとコンテンツが並ぶ充実ぶりです。

トヨタイムズが本格始動して以来、豊田社長は大手メディアのインタビューを殆ど受けなくなったそうです。決算後の会見も、現行の年4回から、年2回に減らす代わりに、トヨタイムズの記事や動画には頻繁に登場し、経営の理念や考えを事細かに語る方針を打ち出しています。

こうしたトヨタの方針に対し、元日本経済新聞記者でジャーナリストの磯山友幸氏は「なぜロバに自分が乗るのか、なぜ妻を乗せるのか、あるいは、なぜ乗らないのか。あらゆる場面ごとに意図を丁寧に説明して、世の中に納得してもらうことこそが、経営者の仕事でしょう。そもそも、消費者の側だって、オウンドメディアが企業のPRの延長上にあることくらいわかります。ひとたび自分たちに都合の良い情報だけしか発信されていないと思われれば、常に眉に唾して読まれる媒体になってしまう。そのことをよく考えなければいけません」と反論しています。

けれども、消費者と向かい合っている企業が「自分に都合の良い情報だけしか流さない」のであれば、あっと言う間に見捨てられてしまいます。ましては人の命が掛かっている車で、都合の悪いことを隠されてしまっては堪ったものではありません。

企業の自社メディアが"自分に都合のよい偏った情報しか流さない"とマスコミが考えているとするのなら、それこそマスコミの傲慢だと思います。




3.肝心な部分は切り落とされ、断片的な表現が流通する


9月22日、朝日新聞が「戦争の伝え方 『炎上』の教訓踏まえて」という社説を掲載したのですけれども、ネットの一部で話題になりました。次に一部引用します。
テレビでは、企画と連動した番組も放送された。10代の若者らが、当時13歳だった男性の日記どおり、20キロの米をかついで同じ道を歩き、あるいは防空壕(ごう)を掘ってみて、当人の気持ちを想像して投稿文を作る。男性が違和感をもてば、それが何に由来するものかをその頃の社会状況を踏まえて説明し、両者の間の溝を埋めてゆく。そんな様子を取材した好番組だった。

 だがツイッターでは、こうした肝心な部分は切り落とされ、背景や文脈を離れて断片的な表現が流通し、炎上する。SNSの特性を踏まえた、より丁寧な発信を心がけるべきだった。

 戦争の伝承は社会全体で取り組んでいかねばならない重要な課題である。NHKは企画に取り組んだ問題意識や反省点を視聴者と共有し、今後にいかす道を考えてもらいたい。

 今回、差別的な記載がまず問題となり、それが日記にはない表現だとわかって批判が広がった。根拠のある話か創作か、全体にわかりにくい仕掛けだったことが混乱を深めた。作り手側の責任は免れないが、一方で、史料や証言を踏まえ、行間や余白にひそむ当時の空気に迫ろうとした企画の試み自体は否定されるものではないだろう。

 社会の風潮も、人々の価値観も異なる時代のことを理解するのは容易ではない。専門家の助言も受けながら、歴史の実相に迫る工夫を凝らしたい。

 戦争を知る年代が相次いで鬼籍に入る時代になった。じかに話を聞く機会が失われていくなか、戦争の記憶を次世代に確実に引き継ぐことが求められている。そのためにはどんな手段が有効か。試行錯誤を重ねながらそれを探るのも、新聞を含むメディアの務めだ。
筆者は最後の一文の「試行錯誤を重ねながらそれを探るのも、新聞を含むメディアの務めだ」の"探る"を"操る"に空目してしまったのですけれども、こうした社説を悪びれることなく堂々と載せるところに"マスコミの傲慢さ"の一端が見て取れます。

案の定、ネットでは「自己紹介乙」だとか「おまゆう」など、まぁ叩かれまくっています。


4.500万部を割った朝日新聞


こうした世論の反応について、名古屋外国語大学教授の小野展克氏は「新聞通信調査会が行った調査によれば、『新聞の情報は信頼できますか』という質問に対し、70代以上であれば60%以上の人が『信頼できる』と評価したのに対し、30代になると50%弱、20代になると40%弱まで落ちてしまいます。企業はそういう状況を見て、『マスコミよりも自分達が直に出す情報のほうが消費者に支持される』と踏んでいるのです。だから、かつては決して表に出すことはなかったオールドメディアへの不満を露にすることを躊躇わなくなってきた」と指摘しています。

そして、官邸とメディアの関係についても「一昨年、森友学園問題に関して『私たちは国民の代表として聞いているんですから、ちゃんと対応してください』と官邸に要求した東京新聞の記者に対し、官邸側が『国民の代表は国会議員。あなたたちは人事で官邸クラブに所属されているだけでしょ』と突き放したことがありました。以前の官邸なら、こんな態度に出ることはなかった。ネットの普及と同時に、『マスコミなんて信用されていないし、取るに足りないものだ』と考える政治家や経営者は、今後どんどん増えていくでしょう」と述べています。

最早、オールドメディアは民衆から支持されていないのです。

当然、支持されない新聞など売れる筈もありません。

日本ABC協会のまとめによると、朝日新聞の8月の販売部数は499万1642部で、前月比2万1千部、前年同月比43万部の減少となり、500万部を割りました。

かつて、1980年代末から2009年にかけて朝日新聞の販売部数は800万部台を誇っていました。ところが、2014年12月に700万部を割り、2018年2月には600万部を下回るなど、ここ10年ほどで300万部失うなど、急減しています。

けれども、新聞販売関係者の間では、読者に配達されないまま廃棄される「押し紙」の分を差し引いた実売部数は300万~350万部程度との見方が強いそうです。

朝日新聞が売り上げを失った原因としては、2014年8月の慰安婦誤報問題や2014年9月の東京電力福島第1原発事故に関する「吉田調書」問題などで長年のコアの読者が離れたという事情が重なったとみられているそうですけれども、朝日新聞の「販売局有志」が2016年に出した内部告発文書では将来の販売部数予測として、2022年には378万部、2024年には292万部と300万部を割るとしています。


5.紙には戻ってこない


オールドメディアは自分達が書く事は読者も知りたい筈だ、なんていう傲慢を捨てるべきだと思います。

先日、朝日が行った、安倍政権に対する評価についての世論調査で、安倍政権を評価するが71%になるという結果が出ていますけれども、政策コンサルタントの原英史氏は、朝日は世間は安倍政権を評価しない筈だ、という思い込みがあり、そのせいで、"普通に"世論調査をした結果、朝日の期待を裏切る結果が出たのだと述べています。

原英史氏は、マスコミは世論調査において、世間の関心事を勝手に決めつけ、その質問ばかりしていると指摘し、もし彼らが立て直そうと思うなら、世間の関心が何処にあるか調査すべきだと述べています。

ここまで世間と新聞社内部とで認識にズレがあるのだとすると、悲しさを通り越して哀れみさえ覚えてしまいますけれども、もしもオールドメディアが自分達を客観的に見れないとするならば、それは、第三者からの批判に晒されていない部分もあるのではないかと思います。

これまで新聞、テレビの報道はやりたい放題であり、その報道について反論されることはありませんでしたけれども、ネットの普及によって、捏造や印象操作などは直ちに批判されるようになりました。

ジャーナリストの永井悠太朗氏は「若年層へのインターネットの浸透・紙離れや高齢層の社会的な退場などで今後読者が『紙』には戻ってこないことを前提に、日経新聞や米ニューヨーク・タイムズのようになりふり構わずデジタル版の有料読者拡大に全力を注ぐ以外もはや道はないのではないか」と述べていますけれども、ネットに移行するのみならず、記事に対する掲示板を充実させ、読者の反応および反論や批判の声を直接受け取る努力をすることが、オールドメディアに残された生き残りの道なのかもしれませんね。




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この記事へのコメント

  • 定年碁打ち

    久しぶりのコメント失礼します。
    祖父の代からのしがらみで、最凶の地方紙を朝刊で取っています。
    某女性寄稿者が、「アホノミクスからスカノミクスへ」という内容で意見を載せていましたが、斜め読みもしませんでした。記事の対象(政府)を、貶めているだけですので。
    重要な情報は、チラシに載っているだけなので、解約の時がきてますね。
    新聞事業は、これから私のような高齢者の減少につれ、立ち行かなくなるでしょう。
    2020年09月24日 08:46

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