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1.日中首脳電話会談
8月25日夜、菅総理は、中国の習近平国家主席と就任後初めての電話会談を行いました。
会談は午後9時から、およそ30分間行われ、菅総理は尖閣や東シナ海の情勢に懸念を示したほか、「香港国家安全維持法」を施行したことを念頭に、「地域や国際社会の関心が高い課題についても議論していきたい」と伝えました。
これに対し、習近平国家主席は「近年、両国関係は、双方の努力のもとで、正しい軌道に戻り、改善の勢いを保っている。中国は、日本の新しい政権とともに、歴史などの重大で敏感な問題を適切に処理し、政治的な相互信頼をたえまなく増進させ、新時代の関係の構築に努めていきたい……両国がともに、安定したサプライチェーンと、公平で開かれた貿易や投資の環境を維持し、協力関係をさらに高めたい」と述べ「中国と日本は、多国間主義を積極的に実践し、国連を中心とする国際秩序を断固として守るべきだ」と述べています。
中国としては、アメリカを牽制しつつ、日本を味方に引き入れたいという思惑が透けて見えるような発言です。
もっとも、30分程度では、双方の通訳を入れると実質15分くらいでしょうから、それほど突っ込んだ話が出来るとは思えず、肝心なところは事務方レベルでの調整ということだと思われます。
一方、注目が集まっていた、習近平主席の日本国賓訪問については、話題にならなかったということです。うことです。
2.保守団結の会
習近平主席の国賓訪問については、自民党内でも反対の声が上がっています。
9月25日、自民党の保守系議員グループ「保守団結の会」の赤池誠章代表世話人らは習近平国家主席の国賓来日の中止を求める決議を首相官邸で岡田直樹官房副長官に手渡しました。
「保守団結の会」は稲田朋美幹事長代行が会長の保守系「伝統と創造の会」メンバーのうち、稲田氏が選択的夫婦別姓に理解を示したことなどに反発、離反する形で立ち上げたグループです。
設立総会への出席者は25人。総会では、憲法改正や伝統的な家族制度の堅持などの活動方針を確認しているということですから、ガチ保守のグループというところでしょうか。
決議の内容については、赤池誠章代表世話人のブログに掲載されていますけれども、次の5点を申し入れています。
1)我が国は、日米同盟や基本的な価値観を共有する友好国と連携し、自由で開かれたインド太平洋構想の中で、日中関係について、戦略的競争相手、安全保障上の脅威、人権侵害国として、外交アプローチを転換すべきである。中でも、習近平氏の国賓招聘は正式に取りやめるべきである。習近平主席の来日取り止めはもとより、敵基地等攻撃能力の確保、中国の「サイレントインベージョン」対策、土地買占め対策、サプライチェーン見直し、中国共産党の覇権主義の広報など、安全保障にとって重要かつポイントを抑えた決議になっています。
2)中共の軍事力の急激な強化と一方的な現状変更の試みに対しては、我が国の防衛力の強化を目指し、引き続き、外務、防衛、海保、水産関係省庁の予算を確保し、人員の増大、態勢強化を図らなければならない。特に、年内に策定されるミサイル防衛については、北朝鮮だけでなく、中露の最新鋭の極超音速滑空兵器(HGV)等にも対応するため、敵基地等攻撃能力の確保は急務である。
3)中共の「目に見えぬ侵略」、三戦(輿論戦・心理戦・法律戦)工作に対処すべく、我が国の内閣情報調査室や公安調査庁、警察、外務等の情報コミュニティについて、予算と人員体制の早急な拡充が求められる。
4)経済分野について、安全保障の観点から、外国資本の土地所有を規制し、人材・技術流出の防止に向け、外国関係の情報公開の徹底や必要な施策、法制化を早急に行うべきである。サプライチェーン(供給網)についても自国化への予算拡充を実施し、また、強制労働等の人権リスクへの行動計画を至急作成し、企業にも人権指針作成が求められる。そのための関係省庁の予算と人員体制を強化すべきだ。
5)地方自治体や民間企業、大学や研究機関をはじめ、広く国民に向け、中共の覇権主義の実情に関する広報を強化し、注意喚起すべきである。
3.出なかったは無くなったを意味しない
「伝統と創造の会」の決議文が官邸に渡された日は、奇しくも日中電話会談と同じだったのですけれども、菅総理も決議文そのものは見ていないかもしれませんけれども、前日からの報道でそのおおよその内容は伝わっているものと思われますし、習近平主席の来日には世論も反対しているというのも当然知っている筈です。
ただ、習近平主席の来日が議題にならなかったからといって、来日が無くなった訳ではありません。取り止めになったと公式には何も発表されていないからです。
これについて、自民の青山繁晴参院議員は、自身のブログで、菅総理の会談後のコメントは「一言一句に至るまで、外務省、内閣官房の官僚 ( 行政官 ) たちと摺り合わせて作成されたメモの、事実上の読みあげ」であり、来日が議論にならなかったのは「日中の官僚レベルの水面下交渉で合意されたことであり、それが菅総理も、習近平国家主席も諒解した上でのことだ」と指摘しています。
青山氏はその上で、東京オリンピック・パラリンピックの開会式への出席をはじめ 習主席を日本に招き入れようとする動きが、むしろ着々と進んでいると考えざるをえないと述べています。
そして更に、中国における総理のカウンターパートナーは李克強首相であることから、中国側は国家元首である習近平主席に対する日本のカウンターパートナーとの会談を望んでいる筈だとも述べているのですね。
おそらく、この青山氏の推測は正しいと思います。
1989年の天安門事件で国際的批判に晒された中国は、当時の天皇陛下の訪中を実現させ、それを突破口にしました。
今の中国が置かれた立場は当時とよく似ています。であればこそ、中国は陛下の政治利用を狙ってくると考えるべきだと思います。
日本は二度と、当時の愚を繰り返してはならないと思いますね。
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