
1.中国製ドローン新規購入排除
この程、政府は、ドローンが集めたデータなどが盗み取られるのを防ぐため、2021年度から政府が購入するドローンのセキュリティー強化策を決めました。
これは、運航記録や撮影した写真の外部漏洩、サイバー攻撃による乗っ取りを防ぐ機能を備えた機体の購入を義務付けるというもので、全省庁、すべての独立行政法人が対象となります。
これにより、政府機関などはドローンを購入する際、内閣官房に計画書を提出し審査を受けることが義務付けられることになります。
対象は「公共の安全と秩序維持に関する業務に支障が生じる恐れがある場合」で、具体的には「安全保障に関わるもの」「犯罪捜査」「発電所や鉄道などの重要インフラの点検」「人命救助」などを想定しているとのことです。
これは、外部に業務委託した場合も対象になるとのことで、すでに保有済みの機体も1~2年内に置き換えるよう求めるようです。
ドローンは、スマホと同じく、通信機器やカメラ、全地球測位システム(GPS)を搭載し、外部のネットワークに接続しながら飛行するため、セキュリティー対策が弱いドローンの場合、データを抜き取られ悪用される危険があります。
昨今情報の抜き取りが話題になっている中国製のドローンなどは特に警戒が必要と思われます。
2.2015年の航空法改正
ドローンという言葉がここ最近になって急に広まった感もあるのですけれども、ドローンは「無人航空機」とも呼ばれ、操縦者が搭乗をすることなく飛行可能な航空機のことです。
リモコン操作のヘリコプターなどもドローンの一種であり、日本は、産業用無人ヘリコプターなどが約20年以上使われてきた歴史があります。
今では、ドローンを報道局が空撮に利用するほか、カメラを搭載したドローンによって調査や点検がを行うなど幅広く使われるようになっています。
そんな中、2015年4月。総理官邸の屋上で微量の放射性物質を積み、カメラを搭載したドローンが発見される事件が発生しました。
これを切っ掛けに急速にドローンに関する法整備の検討が進められ、2015年9月、ドローンの飛行を規制する改正航空法が成立、12月から施行されました。
更に、2016年3月には原子力発電所などの重要施設周辺のドローンの飛行を禁止する議員立法も公布されています。
2015年の航空法改正では、ドローンの飛行による安全面への配慮として「無人航空機の飛行に当たっ許可を必要とする空域」「無人航空機の飛行方法」「事故や災害救助等の場合の適用除外と罰則」が定められています。

3.ドローン市場を支配する中国DIJ
今回のドローン規制により、中国製ドローンの新規購入が事実上、排除されることになると言われているのですけれども、既存の置き換えを含め、そう簡単に行く話ではありません。
というのも、世界のドローンメーカーのシェア率では中国製が圧倒的になっているからです。
現在世界のドローンメーカーのシェア率ランキングは、中国の「DJI」、フランスの「Parrot」、アメリカの「3D Robotics」の3社がトップ3なのですけれども、このうち中国の「DJI」は世界シェアの約7割を占めると言われています。
DJIは、大きさ、機能、価格など、様々な規格のドローンを販売していて、ドローン業界を独走しています。日本では、品川に日本法人オフィスを構え、新宿と日本橋に認定ストアを設置、そのほかにもいくつか正規代理店を展開し販売しています。

2019年12月、ドローン関連の業界団体である日本UAS産業振興協議会(JUIDA)は独自の市場調査結果を発表しました。それによると、2018年に世界で出荷されたドローンの機体数は400万機あり、国別シェアで見るとアメリカは37.5%の150万機で1位で、日本は3.8%の15万機です。
用途別に見るとその9割がホビー用で、残り1割が産業用とのことですから、圧倒的にホビー用が出回っている訳です。
つまり、いくら政府が政府機関から中国製ドローンを排除したとしても、ホビー用には、依然として中国製ドローンが飛び回っている訳です。

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