米軍の台湾駐留論

今日はこの話題です。
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1.アメリカ軍は台湾に駐屯すべきだ


アメリカ陸軍大学発行の軍事誌「ミリタリーレビュー」最新版のある論文が話題になっています。

件の論文は、海兵隊のウォーカー・D・ミルズ大尉の「龍の抑止」と題した論文です。

彼は論文で「東アジアの力の均衡は中国に有利な方向へ変わりつつある。アメリカはこれに対峙するため、台湾へ軍を派遣しなくてはならない」と述べ、現在のパワーバランスでは台湾への奇襲攻撃の「可能性がより高まっている」と警告。

アメリカの指導部は「中国との意図的かつこれまで以上に世界規模に及ぶ紛争」に反対する国際的圧力に「勇敢に立ち向かう」べきだと述べました。

そして、「人民解放軍の攻撃に対してアメリカ軍が迅速に対応できないとしたら、残された道は2つ。人民解放軍があっという間に台湾に侵攻するのを受け入れるか、時間もコストも代償も伴う上に成功の保証もない作戦の遂行を余儀なくされるかだ」と指摘しています。

現場レベルでは中国が台湾に対し電撃奇襲作戦を慣行すると見ているということです。


2.中国には反国家分裂法がある


これに速攻で噛み付いたのが中国です。

環球時報の胡錫進・編集長は、ツイッターにミルズの論文のタイトルを投稿し、「アメリカと台湾でこのような考えを持っている人々に警告する……アメリカ軍が台湾に戻れば、人民解放軍は中国の領土を保全するための正義の戦いを始める決意だ。中国には反国家分裂法がある」と述べました。

反国家分裂法とは、2005年3月、中国の全国人民代表大会が台湾の独立阻止を目的に採択した国内法で、その第8条には次の条文があります。

第8条 「台独」分裂勢力がいかなる名目、いかなる方式であれ台湾を中国から切り離す事実をつくり、台湾の中国からの分離をもたらしかねない重大な事変が発生し、または平和統一の可能性が完全に失われたとき、国は非平和的方式その他必要な措置を講じて、国家の主権と領土保全を守ることができる。

要するに、台湾が独立を宣言した場合には非平和的方式、すなわち武力行使も辞さないとするものです。


3.台湾は防衛の意思を見せられるか


これについて、アメリカ・米バックネル大学国際関係学部のジューチュエン・チュ教授は、「胡のツイートは無視できない。もしもアメリカが本当に台湾に部隊を配備すれば、米中関係は大きく変わり、米中間の軍事衝突が引き起こされることになるだろう」と指摘。「中国政府から見て、台湾への米軍配備は中米関係の根底を壊す行為であり、反国家分裂法を侵害する行為だ。それは戦争の大義名分になる」とし、アメリカ地上軍を台湾に派遣するという提案は「問題の複雑さをひどく過小評価している……台湾問題は、軍事的に解決できる軍事問題ではない。この問題は歴史や政治、外交、経済、安全保障や大国同士の対立などが絡み合った複雑な問題だ」と指摘しています。

一方、ロンドン大学東洋アフリカ学院・中国研究所のディレクター、スティーブ・ツァンは、アメリカ政府が台湾にアメリカ部隊を配備することを計画している兆候は今のところないとの見解を示し、胡の警告が「必要な、あるいは理にかなったものには思えない」と述べています。

9月28日現在、中国人民解放軍は、南シナ海の西沙(パラセル)周辺海域、東シナ海の浙江省沿岸部、黄海の江蘇省沿岸部、渤海の遼寧省沿岸部と、四海域で軍事演習などを同時実施しています。

更に、中国国営の中央テレビは台湾海峡を管轄する東部戦区が市街戦を想定して最近行った演習の動画を公開しました。

市街戦演習は、台湾に向き合う福建省に基地がある第73集団軍が行っていて、台湾への上陸戦演習とみられています。動画によると無人機が偵察後、部隊が市街地へ侵攻。図書館や映画館など100棟以上の建物が演習のために造られています。

もうあからさまに台湾進攻の意図を顕わにしています。

アメリカは1979年に制定された台湾関係法で、台湾の防衛に協力することがアメリカの義務であると定めていますから、台湾が防衛の意思を見せれば、アメリカはバックアップすることになります。

緊迫する台湾情勢から目が離せません。


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