世界観で敗北する中国に未来はない

今日はこの話題です。
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1.国連総会第3委員会で顕在化した新冷戦


10月6日、国連総会第3委員会の会合で中国の人権問題を討議しました。

第3委員会とは、社会開発や人権問題を討議する国連の六大委員会(第1委員会:軍縮・国際安全保障問題
、第2委員会:経済成長と開発、第3委員会:社会開発や人権問題、第4委員会:特別政治問題および非植民地化、第5委員会:国連の行財政、第6委員会:国際法規の整備や国際法の法典化)の一つです。

会合で、ドイツのホイスゲン国連大使が、39ヶ国を代表し「人権を尊重するよう中国に求める。特に新疆ウイグル自治区とチベット自治区で、とりわけ宗教的・民族的少数派に属する人々の権利を守るよう求める」と述べ、国連人権高等弁務官を含む独立調査団の新疆入りを認めるよう中国に求めました。

これに対しパキスタンが55ヶ国を代表し、中国の国家安全法について「香港が長期的な繁栄や安定を享受する正当措置だ」と擁護。またキューバが45ヶ国を代表して、中国が自治区内で人権に配慮しながらテロ対策を講じてきたと中国を持ち上げて見せました。

中国の人権問題を批判した39ヶ国の共同声明に署名した国は、アメリカと日本、ほとんどのEU加盟国、アルバニア、ボスニア、カナダ、ハイチ、ホンジュラス、オーストラリア、ニュージーランドであるのに対し、中国擁護の声明に署名した国は、アフリカや中東諸国が目立ったそうです。


2.裏目に出る戦狼外交


ところが、この日の総会後の記者会見でイギリスのジョナサン・アレン国連大使は「中国を支持しなければ、経済協力を打ち切るとの脅迫を多くの署名国の代表が受けた」と明かしました。

ある匿名希望の国連外交官は、中国の脅迫について「どこにいても中国の外交官に追っかけられていた。夜でも週末でも、電話やメッセージが送られ続けていた。彼らの攻撃は決して止まらなかった」と述べ、「会場の外に呼び出だされ、3人に囲まれた。その行動は非常に攻撃的だった」と自分自身も数人の中国人外交官に威嚇されたと証言しています。

中国の恫喝はいわゆる「戦狼外交」の一環だと思いますけれども、これが国連の場で公言されるということはそれだけ目に余るということだと思います。

実際、今回の中国への人権批判と同じ内容の声明を去年も出していたのですけれども、去年は23ケ国に留まっていました。それが今年16ヶ国増えた。着実に嫌われています。まぁ恫喝や脅迫を繰り返していれば当たり前です。

この国連外交官は、中国が自身を批判した39ヶ国の共同声明に不満を持っていたとし「中国共産党は当初、署名国は30カ国以下に留まるだろうと予想していた」と述べていますけれども、自国の行動がどれだけヘイトを集めているのか本当に分からないのだとしたら、中国排斥の流れは終わらないと思います。

ドイツのクリストフ・ホイスゲン大使は、ドイツの国際公共放送局「ドイチェ・ヴェレ」に対し、今回の共同声明にこれほど多くの国が署名したのは、中国共産党の戦略が裏目に出始めていることを示しているとし、「ますます多くの国が中国の行為に嫌悪感を抱いている」と語っています。

また、人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、「戦狼外交」について「それでも多くの国が今年の宣言に署名した……ロシア、シリア、キューバ、ベネズエラなどの国は、中国を支持しているが、他の国は中国の報復を恐れて支持の立場を選択しているだけだ」と述べていますけれども、まぁ、そういうことですね。


3.世界観で敗北する中国に未来はない


当の中国はというと、張軍国連代表が国連総会第三委員会の一般討論演説で、中国やロシア、ベラルーシ、カンボジア、アンゴラ、キューバ、パレスチナ、ベネズエラなど26カ国を代表し「新型コロナの持続的な蔓延は、すべての国、特に発展途上国に深刻な影響を及ぼしている。予防・抑制活動や回復の実現には世界各国の団結と協力が欠かせない。国連がこのほど採択した新型コロナウイルスに協調して対応するよう呼び掛ける包括的決議案を歓迎する。決議は国際法や国連憲章と合致しない一方的な経済や金融、貿易措置を発表せず、実施しないよう強く促している」とアメリカと名指しはしないものの批判しました。

この国連第三委員会での今回の批判合戦について、評論家の石平氏は、中国を批判したのは一人当たりのGDP上位40ケ国のうち24ヶ国、EU加盟国の殆ど、G7参加国全員、G20参加国中8ケ国が署名している点に対し、中国が代表して西側を批判した国々が人権弾圧で悪名高い国、全体主義的独裁国家、国連制裁を受けている国が多数である点に着目し、「人権」を基軸とした文明国家と"野蛮"な国との新しい冷戦が始まったと述べています。

そして、中国は西側が掲げる「人権」に対抗出来るイデオロギーを持たず、「人権」を旗印にして反発するしかない事実そのものが中国の敗北を示すものであり、自分で自分の未来を断ったことであると指摘しています。

石平氏が指摘する「中国は人権に対抗出来るイデオロギーを持たない」というのは、これまで筆者が何度も述べてきたように、中国は戦略の階層最上位である世界観において、既に敗北している、ということと同じだと思いますけれども、最早、中国自身が「人権」の旗しか掲げられないというのであれば、その嘘を暴くだけで中国は敗走を重ねていくことになります。

後は、中国が札束で顔をはたいて言う事を聞かせる外交を出来なくすれば、今回の国連第三委員会での討議のように中国を擁護する国も無くなっていくでしょう。

その意味では、アメリカが、中国を制裁し、経済的に追い込むのは戦略的に間違っていないと思いますし、日本ははっきりと西側諸国に立つ姿勢を鮮明にし続ける必要があると思いますね。




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