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1.学術会議が学問の自由の侵害だと叫ぶ訳
10月28日、菅総理の所信表明演説に対する各党代表質問が行われました。
質問に立った立憲民主党の枝野幸男代表は、例の日本学術会議の任命拒否問題を取り上げ、1983年、当時中曽根康弘総理が「政府が行うのは形式的任命」と答弁したことを挙げ、任命拒否した理由について答えるよう求めました。
これに対し菅総理は「過去の答弁は承知しているが、公務員の選定は国民固有の権利だ……必ず推薦通りに任命しなければならないわけではないという点は、政府の一貫した考えだ」と答えました。
この種の質問と回答はこれまで何度も繰り返されていたことであり、特にどうということはありません。
筆者としては10月9日のエントリー「日本学術会議を民営化せよ」で述べたように、1983年の答弁の方がおかしいのであって、今回は正しい運用に戻しただけと認識しています。
それに、任命拒否が違法だというのであれば、裁判所なりどこなり訴えればよい筈です。けれども肝心の学術会議自身すらそうしない。
これについて経済評論家の渡邊哲也氏は、具体的などの法令に反していないために、訴えることが出来ないのだ。そうなると自分達が間違っていることが露呈しますので、憲法まで遡って文句を付け、メディアを使って世論を煽ろうとしているに過ぎないと指摘しています。
なるほど、道理で彼らが「学問の自由の侵害だ」と叫ぶ訳です。
2.軍学共同反対連絡会と一体化している日本学術会議
けれども、そんな学術会議の願いも虚しく、野党は国会でその点には少しも触れませんでした。
少し前まで野党も「学問の自由の侵害だ」と騒いでいたのに、枝野代表は代表質問で、それに触れなかったのですね。
これについてジャーナリストの長谷川幸洋氏は、学問の自由を侵害していたのは、学術会議自身だったことがバレてしまったからだろうと指摘しています。
学術会議が北海道大学に圧力をかけて、奈良林直名誉教授の研究を潰したことは、もう既に知られていますけれども、奈良林教授は産経のインタビューで、「軍学共同反対連絡会」という団体が北大総長に対する面会要求や公開質問状の送付を繰り返し、研究を断念するよう圧力をかけていたと明らかにしています。
この「軍学共同反対連絡会」は「軍学共同反対アピール署名の会」「大学の軍事研究に反対する会」「『戦争と医の倫理』の検証を進める会」の3団体が、軍事研究に反対する目的で、2016年9月に設立した団体です。
この「軍学共同反対連絡会」の共同代表には、名古屋大学名誉教授の池内了氏、立教大学教授の香山リカ氏、岡山大学名誉教授の野田隆三郎氏の3人が名を連ね、「申し合わせ事項」として次のような活動を行うとしています。
(4)活動この中に日本学術会議の文字も見えていますけれども、北大の奈良林教授は、インタビューで「軍学共同反対連絡会」について「日本学術会議と軍事研究に反対する『軍学共同反対連絡会』は一体化している。当時は『軍事研究反対』というのぼり旗が学内に何本も立っていて、シンポジウムを開けば人がたくさん入っていた……私は学術会議が主催しているものと思っていたが、連絡会の方だった。連絡会は北大総長宛に公開質問状を出したり面会を要求したりと、そういったことを何度も繰り返している……防衛省の推進制度に採択された研究を行っていたM教授のもとへも押しかけ、圧力をかけていた。最終的には平成29年3月に学術会議が公表した『軍事的安全保障研究に関する声明』が錦の御旗となり、屈してしまった」と答えています。
本会は、目的を達するため以下の活動を行う。
1)参加者がMLでつながり、情報を共有する。
2)ホームページで情報を随時発信する。
3)軍学共同反対ニュースレターを月1回程度発行する。
4)情勢に見合った、幅広くとりくめる軍学共同反対の取り組み。
また、当面、次の取り組みを行う。
・必要な要請や抗議の提起とその取り組みを行う。
・日本学術会議・同会員への働きかけを行う。
・全国の各大学に軍事研究禁止の明確な見解を出すよう働きかける。
・様々な学会等へ働きかける。
・市民、学生との連携を重視し、追求する。
・学習会の講師派遣などを行い、全国のさまざまな軍学共同反対の活動を支援する。
・記者会見や情報提供などを通してメディアへ働きかける。
・ブックレットや市民向けのパンフを作成し、この問題の普及活動を行う。
BuzzFeedなるファクトチェックを名乗るサイトは、「日本学術会議幹部が『北大総長室に押しかけ研究を辞退させた』は誤り」などという記事を上げていますけれども、奈良林教授のいうことが本当であれば、なんのことはない学術会議は手下を使って圧力をかけていたということです。
実際、軍学共同反対連絡会は北大以外にも「筑波大学」「宇宙航空研究開発機構」「大阪市立大学」「山口大学」「大分大学」「岡山大学」「東京農工大学」「東海大学」「島根大学」などに抗議や申し入れを行っています。
3.任命拒否理由を説明しろ論は無理筋
このように学術会議の方が、学問の自由を侵害していたことが公になってしまった以上、野党が国会で「学問の自由の侵害だ」論を振りかざして政府を追及するのはダブスタです。
畢竟、「任命拒否理由を説明しろ」論で押し通すことしかできなくなるのは道理です。けれども、別に任命拒否自体は違法ではありませんし、人事のことを対象者に説明するなんてことも有り得ません。
入学試験や入社試験で不合格、不採用になった理由をいちいち説明するところなんてありませんしね。
そんな菅総理ですけれども、29日の本会議では会員構成が一部の大学に偏っていると述べ、翌30日には「現在の会員を所属別でみると旧帝国大学と言われる7つの国立大学に所属する会員が45%を占め、それ以外の173の国立・公立大学は17%。615ある私立大学は24%に留まっている。49歳以下の会員は3%に過ぎない」と具体的構成について述べました。
学術会議の会員が皆、優れた研究実績があり、国民の生活向上や国益に資する活動をしていると誰の目にも明らかなのであれば、別に偏っていたとしても、誰も問題視しないかもしれません。
けれども、現実にはどちらも国民には見えてこない。
筆者個人的には、49歳以下の若手研究者がわずか3%しかいない学術会議がどうこれからの日本の未来をリードしていくかも気になるところです。
学術会議は、会員の推薦理由も明らかにしない、中国の千人計画に手を貸しているとの疑惑についてもデマだと叫ぶだけで、千人計画に協力しないようにとの声明すら出さない。
こんな態度で任命拒否を撤回しろといわれても説得力に欠けると思います。
野党がいつまでこのネタを国会で続けるのか分かりませんけれども、モリカケ・サクラと同じく、国民の支持を失うだけだと思いますね。
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