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1.中国企業への投資を禁止する大統領令
11月12日、トランプ大統領は、中国軍が所有または支配していると見なされる中国企業への投資を禁止する大統領令を発表しました。
件の大統領令の全訳(DeepL翻訳)は次のとおり。
この大統領令は、中国軍の支援を受けていると国防総省が今年指定した中国企業31社の株および対象企業に影響を受ける株の保有ないし取引を来年1月11日から証券取引を禁止するというもので、年金基金を通じた保有や直接保有が禁じられ、投資家は2021年11月までに対象企業の証券を売却しなければならないというものです。衆議院議長・上院議長への手紙の文面
海外政策発行日 2020年11月12日
国際緊急経済大国法(50 U.S.C. 1701 et seq.)(IEEPA)、国家緊急事態法(50 U.S.C. 1601 et seq. )および合衆国法典第301条に基づき、私はここに、中華人民共和国が米国の資本から資源を搾取し、軍の開発と近代化を可能にするために米国の資本を利用していることによる脅威に対処するために、国家緊急事態を宣言する行政命令を発令したことを報告します。これにより、中国は大量破壊兵器、高度な通常兵器、米国とその国民に対する悪意のあるサイバー攻撃を開発・展開するなど、米国の祖国と海外の米軍を直接脅かすことを可能にし続けている。
中国は「軍民融合」という国家戦略を通じて、中国の民間企業に軍事・諜報活動を支援させることで、国の軍産複合体の規模を拡大させている。これらの企業は、表向きは民間企業でありながら、中国の軍事・諜報・安全保障装置を直接支援し、その開発と近代化を支援している。同時に、国内外の公的取引所で取引されている米国の投資家に有価証券を販売し、米国のインデックスプロバイダーやファンドに働きかけて有価証券を市場に組み入れるなど、米国の資本へのアクセスを確保するためのその他の行為を行うことで、資本を調達している。このようにして、中国は米国の投資家を利用して軍の開発と近代化に資金を提供しているのである。
行政命令は、中国共産党の軍事企業の上場有価証券、またはその派生物であるか、またはそのような有価証券への投資エクスポージャーを提供するように設計された有価証券を含む特定の購入を禁止しています。これらの企業とは、国防総省が公法105-261条(改正後)第1237条に従って上場している、または上場する予定の企業、または財務長官が同様の基準を用いて中国共産党系軍事企業またはその子会社と特定している企業である。また、同執行令は、その禁止事項を回避したり、回避したりする目的を持つ取引を禁止している。
私は、国務長官、国防長官、国家情報長官、および他の執行部局の長と適宜協議して、適切な規則や規制の公布、IEEPA によって大統領に付与されたその他すべての権限の行使など、執行令の実施に必要な措置を講じる権限を財務長官に委任しました。米国政府のすべての機関は、執行令の規定を実行するために、権限の範囲内ですべての適切な措置を講じるよう指示されています。
私は、私が発令した執行令のコピーを同封しています。
敬具ドナルド・J・トランプ
国防総省が指定した問題の中国企業31社は次の通りです。
Aviation Industry Corporation of Chinaこのブラックリストには、ファーウエイは勿論のこと、監視カメラの製造および供給で世界大手のハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)、中国電信、中国移動通信も入っています。
Chinese Aerospace Science and Industry Corp.
China Aerospace Sciences and Industry Corp.
China Electronics Technology Group Corp.
China South Industries Group Corp.
China Shipbuilding Industry Corp.
China State Shipbulding Corp.
China North Industries Group Corp.
Hangzhou Hikvision Digital Technology (Hikvision)
Huawei
Inspur Group
Aero Engine Corp. of China
China Railway Construction Corp.
CRRC Corp.
Panda Electronics Group
Dawning Information Industry Group (Sugon)
ChinaMobile Communications Group
China General Nuclear Power Corp.
China National Nuclear Corp.
China Telecommunications Corp.
China Communications Construction Company
China Academy of Launch Vehicle Technology
China Spacesat
China United Network Communications Group
China Electronics Corporation
China National Chemical Engineering Group Co.
China National Chemical Corporation
Sinochem Group Co
China State Construction Group Co.
China Three Gorges Corp
China Nuclear Engineering & Construction Corp
今回の大統領令について、禁止されるのは売買だけで、すでに保有している証券の継続保有は可能とみられていますけれども、具体的な罰則規定は明示されていないことから、今後の情勢は不透明です。
ただ、アメリカ財務省は国際緊急経済権限法(IEEEPA)で認められている「すべての権限」を行使でき、IEEPAの下で厳しい制裁の発動が可能だとされています。
2.国家緊急事態法
この大統領令の冒頭に「国家緊急事態法」という言葉がありますけれども、アメリカ合衆国憲法では平時と戦時について明記していて、この二つは議会による宣戦布告によって切り替わるとされています。
その一方、宣戦布告が間に合わないような危機にどのように対応するのかといった、緊急事態に対する記述がないため、連邦議会は建国期から緊急時に大統領が行使できる権限を規定する法律を個別に定めてきました。
当初は、大統領が緊急事態宣言を布告すると、既存の緊急事態に関するあらゆる権限を行使することが可能となっていました。
ところが、1972年のウォーターゲイト事件を契機として大統領への権限集中が見直され、1976年に国家緊急事態法が制定されました。
この国家緊急事態法では、これまで一度宣言された緊急事態は大統領が終了を宣言しない限りずっと継続していたのを原則1年で終了させるものと規定しています。
そして、大統領が緊急事態宣言する際には、具体的にどの法律のどの権限を発動するかを宣言の中で明示しなければならないとしています。
更に、議会は6ヶ月毎に、緊急事態を終了させるべきかについて、上下両院の合同決議で投票を行わなければならないとし、上下両院の過半数の票によって緊急事態を終了させられるとしています。
ただ、この両院合同決議について、大統領は拒否権を持っていますから、もしも大統領が拒否権を行使した場合、それでも緊急事態を終了させるためには、上下両院は3分の2の特別多数が必要となります。
従って、緊急事態法は、表向きは1年で終わることになっていても、一度宣言されてしまうと中々終了させられない非常に重い宣言だということです。
実際、1976年に国家緊急事態法が制定されてから、実に59の緊急事態が宣言され、そのうち32が継続しています(2019年4月現在)。
2019年2月のものを別にすると、緊急事態は平均して9.6年持続し、25の緊急事態は10年以上継続しています。最長のものは1979年に宣言されたイランに対するもので、39年間継続しています。
従って、今回発令された中国企業への投資を禁止する大統領令も、簡単に1年で終わるようなものではない可能性は十分にあると思います。
3.台湾は中国の一部ではない
今回の大統領令が出た同じ12日、ポンペオ国務長官は、ラジオ番組のインタビューで、中国共産党の一部の過激派が「必要があれば台湾を武力で統一する」と主張していることについて、「北京は台湾に対するアメリカの約束が党派を超えたものだと自覚すべきだと思うか」との質問に、1982年レーガン政権が、台湾への武器売却に終了期限を設けないことなどを公約した「6つの保証」を念頭に、レーガン政権が対台湾政策を制定する際の作業においても、台湾は中国の一部ではないと認めているとし、過去35年間において米国の両党政権はいずれもこれらの政策を順守してきたと言及。「私は確かにこれは党派を超えたものだと考えている」と述べました。
そして、アメリカは台湾への約束を遂行する必要があり、アメリカには台湾への一連の義務があると強調し、アメリカが台湾の防衛能力増強を支援するために行っている武器売却の発表は、中国と台湾の人々への約束を果たすためのものだと説明しました。
このポンペオ発言を受け、翌13日、台湾総統府の張惇涵(ちょうじゅんかん)報道官は、中華民国は主権独立国家であり、これは争いようのない事実だとコメントし、台湾外交部はポンペオ国務長官による台湾への支持と台湾の民主主義への評価に感謝を示しました。
ネットでは、先の大統領令と合わせて、ポンペオ国務長官の発言もバイデン氏への当てつけというか、仮にバイデン政権が誕生したとしても、中国宥和政策を採らせないために、先手を打って縛りつけにかかったのだという意見も出ています。
筆者もそう思いますけれども、もしかしたら更にもう一歩先があるかもしれないと考えています。
それは、アメリカの台湾の国家承認です。
もし、トランプ政権が台湾を国家承認したら、中国は怒り狂うでしょう。場合によっては台湾に軍事侵攻してくるかもしれない。そうなったら、物理での米中戦争となります。
ただ、現在の軍事力ではまだ中国はアメリカには敵いません。かといって何もしなければ、台湾が中国ではない別の国家であると黙認することになります。
同時に、もしバイデン氏が台湾の国家承認を撤回したとしたら、対中弱腰と国内で反発されるのみならず、同盟国のアメリカへの信頼を失うことになります。
つまり、台湾の国家承認は、中国とバイデン氏それぞれに対して踏絵を迫る、二つの踏絵になっているということです。
4.内戦工作と新たな緊急事態宣言
中国は、台湾に軍事侵攻していきなりアメリカ軍と正面切って戦うとは考えにくいですけれども、その代りというか、可能性が高いと思われるのはアメリカ国内に潜ませた工作員等を使っての暴動、あるいは内戦工作です。
既にBLMやANTIFAなどで、暴動、テロが行えることは証明されていますし、混乱する大統領選挙など口実はいくらでもあります。
もし、そうなった場合、トランプ大統領は逆にそれを口実として新たな緊急事態宣言をすることもできますからね。
それに大統領職については、緊急事態宣言の1年延長を繰り返し宣言できるそうですから、なんとなれば、米中戦争のカタがつくまで延々と緊急事態宣言を乱発し、大統領に居座るなんてことも理屈の上では出来るかもしれません。
また、そうでなくても、1年や2年時間を稼ぐことが出来れば、その間に不正選挙疑惑について真相が明らかになったり、連邦最高裁判決が出る事も期待できます。
更には、ウクライナや中国との癒着が囁かれるバイデンスキャンダルも暴かれることなるかもしれません。もしもバイデン氏がお縄になってしまったら大統領就任どころではありません。
もっとも、このタイミングでトランプ大統領が緊急事態宣言を出したこと自体、大統領選挙での逆転勝利の目が少なくなってきたと自覚したが故かもしれないと少し気がかりではあります。
ともあれ、大統領就任式までの2ヶ月。色々と波乱が起こりそうな気がします。
この記事へのコメント
毎年、米海兵隊は台湾軍と共同で軍事演習をしていたそうです。
今回は、四週間で実践中、やるじゃないですか。
自衛隊は、上陸演習を米軍と、これまた一か月規模でやっている。
トランプさんは、やることはやっているな。
弓取り
その背景に、右派か左派かの単純なイデオロギーの違いではなく、外国勢力の暗躍があることは間違いありません。
このままバイデンが就任して、当面は国益尊重の建前で穏当な発言をしていても、遠からず特定国への優遇措置を取り始めることは想像に難くありません。
トランプは選挙についての疑義だけではなく、将来を見越して着々と手を打っているのですね。まともな大統領だと再認識できました。
マスコミによるトランプネガキャンペーンが、日本の安部首相へのそれと似ていたこともむべなるかなです。
弓取り
その背景に、右派か左派かの単純なイデオロギーの違いではなく、外国勢力の暗躍があることは間違いありません。
このままバイデンが就任して、当面は国益尊重の建前で穏当な発言をしていても、遠からず特定国への優遇措置を取り始めることは想像に難くありません。
トランプは選挙についての疑義だけではなく、将来を見越して着々と手を打っているのですね。まともな大統領だと再認識できました。
マスコミによるトランプ批判が、日本の安部首相へのそれと似ていたこともむべなるかなです。
アミーゴ
二階氏発のRCEP(アールセップ)。簡単に言うとアジア版自由貿易協定。
中韓も入っています。
明日にも(15日)調印の流れです。