擦り寄る文在寅の罠

今日はこの話題です。
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1.お会いできて嬉しいです



11月14日、オンラインでASEAN+3首脳会議が行われました。

会議はASEAN各国に日中韓の3か国を加える形式だったのですけれども、韓国の文在寅大統領は、冒頭発言で「尊敬する議長、各国首脳の皆様、特に日本の菅首相にお会いできて嬉しいです」と話し関係者を驚かせました。

多国間首脳会議の舞台で特定国家の首脳を名指しして挨拶するのは異例のことですし、ましてや、就任以来ずっと反日言動を続けてきた文大統領にしてこの発言ですから、手の平返しを通し越して気持ち悪いくらいです。

報道では、文大統領が冷え込んだ日韓関係の進展に向けた意志を示したのではないかと述べていますけれども、アメリカ大統領選を睨み、もしバイデン大統領が誕生すれば、同盟を重視するバイデン政権がオバマ政権のように同盟国である日韓の関係改善を要求する可能性が高いとみた故に日韓関係の改善に乗り出しているという見方もあるようです。

これについて、武藤正敏・元駐韓大使は「韓国とすれば、バイデン政権に一番期待していることは北朝鮮との対話、関係改善、北朝鮮への制裁緩和である。これの障害となる状況は少しでも取り除いておきたいのであろう。そのためには、日韓関係の改善は不可欠である」と指摘しています。

なるほど、どこまでいっても北朝鮮な訳です。


2.文在寅の罠


一方、それとは別の狙いがあるという見方もあります。

韓国ウォッチャーの鈴置高史氏は、文大統領の発言は、韓国が今年中に開く予定の日中韓首脳会談に、菅首相に参加して欲しいからだとし、「国際法違反の『いわゆる徴用工』判決を韓国政府が放置し、日本企業の資産を接収したままなら、菅首相は訪韓しない」と日本政府がメディアにリークしたのが効いたのですと述べています。

けれども、鈴置氏は文大統領には、首脳会談を開いて「いわゆる元・徴用工」の問題を話し合うという罠を張っていると警鐘を鳴らしています。

というのは、元徴用工問題が議題に上げた瞬間に、日本が「問題の存在」を認めたことになり、これはそのまま「日韓併合は合法だった」との日本の従来の立場を放棄させることができるからだというのですね。

要するに、尖閣のように、挑発はいちゃもんをつけて係争地化して、領土問題化するという遣り口です。

ところが、菅総理は、元徴用工問題は韓国が解決しない限り訪韓しないとの態度を変えず、そんな罠には引っ掛かりませんでした。

鈴置氏によると、韓国は菅総理が罠に引っ掛からないと見るや、今度は「東京五輪を人質にとる作戦」を仕掛けてきたと指摘します。


3.東京五輪を人質にとる作戦


韓国の与党「共に民主党」は東京五輪を"放射能五輪反対"だと喧伝し、「日本が歴史問題で謝罪しなければ、全世界の良心が五輪ボイコットをするだろう」とか「経済戦犯国に平和の祭典を主催する資格はない」と脅しを掛けてきました。

今の日本の世論からいけば、来たくないのなら別に来ないでよいと、諸手を挙げて喜ぶと思うのですけれども、鈴置氏によると、中国大陸の王朝に仕えてきた朝鮮人は、それでも属国であることは嬉しくない為「中華王朝も、冊封体制に参加する我々の存在によりメンツを保っている」と考えることで自尊心を守ってきた。故に、東京五輪の「離脱」をちらつかせれば、日本も耳を傾けるはずだと、ごく自然に考えるのだそうです。

日本人からみれば、まったく理解できない感覚ですけれども、日本に通用しない自分の国だけの常識で外交されても無駄骨に終わるだけです。

ただ、流石に韓国の"知日派"と呼ばれる人は、そんなのは通用しないと分かっているため、別のカードを切ってきたと鈴置氏は述べています。「北朝鮮カード」です。


4.北朝鮮カード


「共に民主党」の李洛淵代表は、その代わりに「北朝鮮カード」を切りました。

11月13日、李洛淵代表は「東京五輪が成功するには北朝鮮が協力しなければならず、特に文在寅大統領の協力が必要だ。韓日間の争点、韓日首脳会談、さらに年内に予定されている韓日中首脳会談もそのような視点で見るのがよい」と、東京五輪、日韓首脳会談に北朝鮮を搦めてきました。

鈴置氏によると、北朝鮮を絡めたのは、五輪に参加しなければ、テロを起こすかもしれないという含みがあり「ウチの若い衆が何をするか分からないぞ。それが嫌なら、みかじめ料を払え」とのことです。

とんでもない遣り口ですね。

ただ、この手が通用するのは、韓国が北朝鮮とそれなりのパイプを持っていて、仲がよいという前提が必要です。"みかじめ料"を払えと脅すためには、自分に番犬がいると思わせなければなりません。

そうでなければ、説得力がない。

けれども、北朝鮮は韓国の番犬ではありません。今年6月、南北共同連絡事務所を爆破したことから分かるとおり、北朝鮮は韓国を相手にしていません。

日本にとって北朝鮮は拉致問題という大きな課題があります。

これは、アメリカ次期大統領が誰になるかにも依ると思いますけれども、もしトランプ大統領が再選することがあれば、日米で協力し、韓国抜きで対北朝鮮交渉を進めることも出来ると思いますし、寧ろ、拉致問題もそちらの方が話が進む可能性があると思います。

日朝関係が膠着するのか進展するのか。或いは、これは韓国抜きというオプションで進めることも考えてよいのではないかと思いますね。


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