しくじった王毅と荒れた自民党外交部会

今日はこの話題です。
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1.何ヘラヘラしているのですか?


茂木外相の発言を巡って、批判が高まっています。

11月24日、中国の王毅外交部長を迎えて、日中外相会談が行われました。ところが、1回目の会談後に行われた共同会見で、王毅外交部長が「魚釣島の状況を注視している。事実として日本漁船が魚釣島の水域に入った。これに対してやむを得ず必要な対応を取らなければならない。我々の立場は明確だ。我々は自国の主権を守って行く」と発言したのに対し、茂木外相が一言も反論しなかったとして批判されています。

茂木外相のフェイスブックでも、「茂木外相は三島(由紀夫)が予言した腑抜けな日本の象徴だ」、「何ヘラヘラしているのですか?」、「一体どこの国の大臣?」、「王毅外相に言われたい放題」、「無能な外務大臣は要らない」、「河野太郎さんなら絶対に尖閣の発言は許さなかったし、させなかった」、「共同会見で言われっぱなしの茂木外務大臣は更迭を!」など辛辣な書き込みが連日続いています。




2.王毅はしくじった


王毅外交部長の発言について、嘉悦大学の高橋洋一教授は、彼は失敗したと述べています。

高橋洋一教授は、王毅外交部長が来日した目的は、現在、延期扱いとなっている習近平主席の国賓来日を実現するための下地作りであるとし、にも関わらず、日本の国民感情を刺激する
発言をしたのは逆効果になったと指摘しています。

確かに、茂木発言の炎上具合をみれば、習近平主席の国賓来日なんてとんでもないということに増々なっていくと思います。

11月17日、日本の民間非営利団体「言論NPO」と「中国国際出版集団」が日中両国で行った世論調査結果を発表しました。

それによると、中国に対する印象を「良くない」とする日本人は去年よりも5ポイント増えて89.7%と悪化。対して中国では、日本に対して「良い」印象を持っている人が45.2%と2005年の調査開始以来、過去最高を更新した去年の45.9%とほぼ同水準となっています。

中国当局の関係者によると、実は習近平主席も世論調査を気にしているなどという話もあるようです。

なんでも、習主席は日中関係が冷え込んでいた頃、当時中国の駐日大使だった程永華氏に対して、「日本と中国はお互いの国民の好感度が低い。それなのになぜ中国人は日本に旅行に行くのか」と尋ねたことがあったそうで、この関係者は「それだけ習主席は細部のことまで把握している」と漏らしたそうです。

そんな中での今回の王毅発言です。

王毅氏の来日が習主席の国賓来日の道筋をつけにくる為だったとすれば、高橋洋一教授の指摘のとおり、失敗したといえると思います。




3.荒れる自民党外交部会


一方、この茂木外相が会見の場で反論しなかったことは自民党内の外交部会でも問題視されました。

26日、自民党本部で行われた、外交部会・外交調査会合同会議で茂木発言を巡って紛糾。

会議に出席した青山繁晴参院議員は「中国に激しく抗議し、政府の責任と対応を徹底的に問い、その上で政府ができないなら党がやるべきだ。外交部会と外交調査会が抗議声明を出すべきです」と発言。大きな賛同を得られたそうです。

他の議員からもどんどん発言があり、衛藤征士郎外交調査会長が「王毅外相の尖閣諸島をめぐる発言に厳重に抗議し、茂木外相には緊急記者会見を開いて国民に説明するよう求める決議を出したい」と提起。満場一致で決定しました。

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4.セッティングそのものが間違っていた


タフネゴシエーターと言われる茂木外相にしてなぜこんなことになったのか。

青山繁晴参院議員によると、今回の共同記者会見で王毅外交部長は中国語で発言したのですけれども、通訳も置いていなかったため、茂木外相は王毅氏の話していることを理解できなかったことと、会見では、日中外相双方一回だけ話をして終わりで、更に記者からの質問もなしとという段取りだったそうです。

青山繁晴議員は会見のセッティングそのものが間違っていたと述べていますけれども、確かにこれでは単なる宣伝に成り下がりかねません。

27日、茂木外相は記者会見で、件の会見で反論しなかった理由について「記者発表は会談の概要について、それぞれ1度ずつ発言するルールだったためだ」と説明した上で、発言があった24日の共同記者発表の直後、再開した会談の中で反論したと述べています。

青山繁晴議員によると、外相会談中に茂木外相が尖閣についての日本の立場を述べたことについて王毅外交部長は一言も反論しなかったそうです。それをわざわざ記者会見の場でぶっこんできた。ということは何か狙いがあると見るのが妥当だと思います。

これについて、青山繁晴議員によると、外務省は「外相会談で尖閣を持ち出された王毅氏は、その時一言も反論できなかったので、それが影響して共同会見で、ああいう強い言い方をしたのではないか」と述べたそうです。

けれども、筆者はそんな単純な話ではないと見ています。わざわざ共同会見で口にしたということは、多くの人にそれを見せつけたいという思惑があった筈です。




5.尖閣侵攻への伏線


今回の王毅発言について、漢文学者で長崎純心大学人文学部准教授の石井望氏は、中国は日本が偽装漁船を装って、尖閣を獲ろうとしているという口実のもとに尖閣に武力行使して占領する、其の為にわざと公に発言したのだ。つまり尖閣へ武力行使する事前通告だと指摘しています。

事前に武力行使を通告しておけば、実際に尖閣を占領しても、国際世論に言い訳が立つというのですね。

勿論、中国は、日本から反発がくるだろうことも十分承知した上で、決定的な反発にならない程度、7割程度の反発にコントロールしつつ"なんとなく"尖閣を獲るという作戦だと述べています。

もし、そうなれば、日本は7割程度の反発程度ではなく、90%、100%の反発になると思いますし、なんとなれば、対韓国のホワイト国除外のように日本の基幹部品の輸出規制などして締め上げるなど、いろんな展開が考えられます。




6.日本からの制裁など眼中にない


そんなリスクを冒してまで尖閣に手をだしてくるのか。

普通に考えれば、余りにもリスクが大きすぎて、やってくるとは考えにくい。

けれども、これは、台湾もそうだと思いますけれども、中国の習政権が尖閣、台湾を獲ることが、全てに勝る第一の目標だと考えているのであれば、一概にないと決めつけるのは危険だと思います。

評論家の石平氏は、中国は台湾を占領、併合すれば、台湾が持っている最先端技術もおまけでついてくる。それも狙いに入っていると指摘しています。そうなれば、日本が基幹部品の輸出規制をしても効果は薄くなってしまいます。

習近平政権はそこまで見ているのではないか。

7月26日のエントリー「アメリカの反撃と徹底抗戦する中国」で、中国は他国に頼らず、自国で全ての経済を回していく「経済内循環」を唱え、対米徹底抗戦の準備に入っていることに触れましたけれども、本当に、中国国内で完結して経済が回るのであれば、別に日本の基幹部品など要らなくなる訳です。

また、日本の対中感情にしても、すで9割近くは良くないと思っているのですから、尖閣の一つや二つを獲ったところで、これ以上悪化しようがないくらいに考えているのかもしれません。

ましてやアメリカ次期大統領がバイデン氏になるようなことは、対中宥和は勿論のこと、尖閣も一気に危うくなります。

まぁ、日本のマスコミは、先日の菅総理との会談で、バイデン氏が尖閣にも防衛義務があると明言したなどと報じていますけれども、外電では島々の名前には言及していなかったとなっています。

それを考えると、バイデン政権が尖閣を守ってくれる保証があるとは言い切れないと思います。

日本にとってトランプ大統領の再選が望ましいことはいうまでもありませんけれども、その先を考えると、日本は国防にもっともっと力を入れて充実させていくべきだと思いますね。


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この記事へのコメント

  • 匿名希望

    アメリカ国内の分裂が沈静化するまで相当の時間が掛かると診て良いでしょう、日本には協力はさせるが自分の事は自分で考えろと言う話に成りそうです。
    安全保障と最先端技術に関しては、政府が深くコントロール出来る様早急に法整備をすべきと思います、此方は時間や金を掛けなくても即出来るのでは無いでしょうかね。
    日本の科学者が中国で一生懸命お手伝いして居るなんて、その人も政府も異常だと思います。
    2020年11月30日 10:09

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