
1.安倍前総理が再始動
11月1日、安倍前総理は、辞任後初めて地元の山口県長門市に入りました。父・安倍晋太郎元外相の墓参り後、支持者との会合で「体調も戻ってきた。今後は一議員として菅首相を支えながら地域振興にも尽くしたい」と抱負を述べました。
安倍前総理は9月16日の退陣後も精力的に活動しています。
10月25日には、自身が会長を務める保守系議員グループ「創生日本」による慰労会に出席。27日には保守系の「日本の尊厳と国益を護まもる会」からゲストに招かれ、最高顧問への就任を要請されています。
また安倍前総理は、菅総理に頼りにされていて、関係者によると、菅総理は首脳会談の前に安倍前総理に電話して度々アドバイスを請うているそうです。
更に、安倍前総理と最近話したある自民党議員は、アメリカ大統領選の開票結果を巡って混乱が生じた場合、「トランプ大統領を説得できるのは安倍さんだけだ」との話題で盛り上がったと明かしています。
2.安倍前総理の再々登板説
安倍前総理は、自民党議員の98人が所属する最大派閥・細田派出身ですけれども、総理就任前に派閥から抜けていました。
それが細田派に復帰を期待する声は根強く上がっています。
10月12日、細田派のドンである森喜朗元総理は、細田会長の政治生活30年を祝う会で、「細田さんからも、早く安倍さんに帰ってきてもらえと言われた」と話しています。
なぜ、細田派への復帰する声が上がっているかというと、ある細田派中堅議員は「細田派は、下村博文政調会長や稲田朋美元防衛相、西村康稔経済再生担当相など、首相候補が乱立し、分裂の危機にあります。ここをまとめられるのは安倍前総理しかいない」とその内情を明かしています。
当の安倍総理はどうかというと、細田派への復帰について、「全党的な支援をいただいた。しばらくは一議員としての活動に専念したい」と明言を避けたものの、細田派議員の政治資金パーティーにこまめに顔を出すなどしています。細田派関係者は「来年には戻るだろう。他派閥が反発しないよう状況を見ながらだ」と述べていますから、細田派内部からは復帰もあると見ているようです。
もしも最大派閥細田派の会長に就任ともなれば、来年の自民党総裁選への出馬も囁かれる可能性も出てきます。3度目の登板ですね。
こうした安倍前総理の動向について、朝鮮日報が鋭く反応しています。
朝鮮日報は、11月2日に複数の東京消息筋が明かした話として「霞が関には、菅首相のデジタル改革が成功せずに国民の支持を失った場合、来年安倍前首相が再登板する可能性もあるという話が出ている」との声を取り上げています。
ネットでは、菅総理に代わることで、悪化した日韓関係について日本側が打開してくれるのではないかと期待していたところ、安倍前総理以上に冷たい態度に失望して安倍政権時代のほうがマシだったと後悔しているのではないかとの意見もあるようですけれども、あるいはそうなのかもしれません。
3.約束を守らない相手との戦略的利益などない
韓国がどこまで安倍総理の再々登板を望んでいるかどうかは分かりませんけれども、少なくとも、菅総理の韓国冷遇には焦りを覚えているようで、韓国の「WoW!Korea」は11月1日付の記事「韓国と日本、『価値観を共有』はどこまで可能か?『自由』民主主義の特徴」で、「国家にとって有害だと見做された対象に容赦ない刑罰を科す韓国は「自由」民主主義国家から遠くなりつつある」と批判しています。
けれども、その一方で、そんな「価値観の共有」ができない場合でも、共通の敵による戦略的利益はあり得るとし、日本と韓国は東西の冷戦時代、北朝鮮の核武装時代、中国の海洋進出時代を経験しながら相互依存を深めてきたと結んでいます。
なんだか、「価値観が違っても戦略的利益で協力することは出来るだろ、韓国を見捨てないでくれ」と日本に懇願しているかのようにさえ見えます。
けれども、たとえ、日韓両国に共通の敵があり、戦略的利益があったとしても、それで、日韓が協力できるとは限りません。
なぜなら、"共通の敵"が齎すところの戦略的利益とは、日韓両国がそれぞれ利益を得られることによって成立するからです。
異なる国でそれぞれ利益を得る為には、通常、何某かの決まり事を取り交わし、それに従って"共同歩調"を取るものです。互いに好き勝手動いて、それで双方が利益を得られるなど稀なことですし、そもそもそれは"戦略的"とは言いません。
けれども、韓国はその大前提である決まり事を守ることについて日本の信頼を失っている。味方のフリをして、いきなり背中を撃ってくる相手とは何の約束も出来ませんし、当然ながら利益を得る"戦略"など描けようもありませんから。
価値観を共有できない相手に対して戦略的利益は有り得ても、約束を守らない相手には戦略的利益もクソも何もないことを知っていただきたいと思いますね。
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